はい。ちゅうもーく。これから異世界に向かいます。 - 私立徳井天世高校の修学旅行 -

久遠 れんり

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第五章 本当の戦い

第73話 驚愕の事実

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 陽愛は頑張った。
 そう、パソコンはない。
 手書きでひたすら情報をまとめる。
 それを清書して、郵便屋さんを探す。
 お願いをすると、政府系の郵便なら届けるという事で預かってもらえた。

 今はまだ、交通インフラが復旧をしていないため、自転車で配達をしているらしい。

 そしてその手紙は無事に配達されて、部局へ回る。
 一部から出てきていた、異世界空間との衝突案。

 それが正解であり、その世界は近いところにあるらしく、こちら側との交流があったこと。

 大陸名は不明だが、インセプトラ―王国、ダイモーン王国、サンドウ皇国などを併合し、大陸の覇者となったのがリュイチー=ジンノーであり、神野 龍一じんの りゅういちである。
 私の幼馴染みだったため、求婚して受諾、王家へと入ります。
 私幸せです。 稲田 陽愛。

 なお退職届を同封しておきます。


「何だねこれは?」
 最近幹部は、家に帰れず官舎使用中。
 おかげで、機嫌が悪い。

「うちの職員からの連絡です」
 手紙の内容が内容なので、課長はそれを見た後、上へと上げる。

「今現れたところは、向こうの世界が重なったものであり、逆にそこに在ったものは、おそらく向こうへ行っただろうと?」
 
「ええ、まあ。すべて私立徳井天世高校しりつとくいてんせえこうこうが何かを知っているのでしょうが、そんな学校無いんですよね」
 一応調べた、リストの束がデスクに置かれる。
 すべて手書き。
 手書きだと、すごく時間がかかる。

「少子化で潰れたのか?」
 一応チェックを行っているが、真面目に見る気はない様子。

「いえ、昔も今もそんな学校在りません」
 そう言うと目が少し開く。
 当然、驚いたようだ。

「卒業生達の履歴書とかは?」
「さあ、今この状態ですから、調査するのにも大変なんです。トランジスタとかの回路は三ヶ月ほどで組み始めるようです。戦後五十年位を一足飛びでやってくれるそうですよ」
 そう言われて思い出す。
 今、六十歳くらいの人間が、子どもの時には道路脇の空き地に、無造作にテレビの廃棄物が積まれていて、スピーカーから磁石を取ったり、真空管を引っこ抜いて投げ合ったりしたものだ。

 大らかというか、危機管理などなかった時代。
 主力は、真空管だった。
 それから、トランジスタ回路が出てきて、集積化。

 パソコンの中央集積回路など、動作クロックが2メガヘルツとかだった。
 入力は手入力と、カード入力へ。穿孔パンチリボンタカセットテープ。そして磁気ディスクへ。

「あれから四十年か? どのくらい掛かりそうだ?」
 無論元に戻るまでの時間だ。

「一から開発ではないので、そこそこだそうです」
「期待しよう」
 上司がこんなに素直だったのは、地質学者などから報告が上がってきていたため。

「明らかに、地層が分断されています」
 新たに変わった土地と、従来の日本側。
 嬉しいことに大陸棚堆積物が発見された。
 つまり、レアメタル系鉱物や、ボーキサイトなどが含まれていた。

 王国の土地は、真ん中に大きな山脈がある。
 それは、両側から土地が押されて、隆起が起こったと言う事。
 それは、日本帝国に必要な物。

「まあ職員が、王? 帝かは知らんが幼馴染みなら、その退職願は一時保留という事で返答して、役職を上げて専任として、便宜をはかっていただこう」
 課長は、思っていた事だが、上司から言葉に出されると多少複雑な思いとなる。

 その返信は、備品倉庫にあった郵便局時代のバイクと一緒に返された。
 72CCの排気量。

 軽快な音を立て、廃墟のような高速道路を疾走していく。
 
 その職員は、実に颯爽と帰還したようである。


「えっ? 保留? 何それ」
 手紙を受け取り困惑中の陽愛。

 今彼女は、魔法を習いつつ、文官達を交えて、近代的な貸借管理や法整備についてつめているところである。

 色々な部分で旧世紀の決まり事があり、それは時に連座制などの非人道的なものがある。
 それの悪いところを説明しつつ、近代化を進める。


 そんな中、某大陸の上部と重なった大陸。
 それは、魔人族の領土。

「何だこりゃ」
 動き出したのは四天王たち。

 兵を連れ、見知らぬ土地の奥へと進軍をする。
 オーソローシア帝国である。

 その非道さに、流石の皇帝も驚き、迎撃を命ずる。

 だが相手は魔法が使えるため思ったように攻撃が出来ない。
 帝国も、当然ながら電子機器は死んでいて使えず、大昔の兵器を頼ることになる。

 博物館に収蔵されていた機器を復旧。
 何とか、撃退を行おうとする。

 その頃、再び魔王の肉体は、霊廟の奥で復活を遂げていた。
 まだ目覚めは先ではある。
 邪神も、急速に復活を果たし、その力を取り戻そうとしていた。
 人々の心闇の部分を糧として……


「簡単には死にませんね」
 そう、修学旅行として幾度も退治を行った。
 だが時間が経てば奴らは復活をする。
 完全に消滅をさせるのは、玉を宿した聖戦士たち、彼らが揃い、完全に滅するまで攻撃をしなければ完全な勝利は出来ない。

 彼らの元に、光が降り注ぎ、仲間を探しなさいと命令が下る。
 それは、わずかなヒントと共にもたらされた。

「王の中の王、そして、その側近の元に集え」
 龍一と、楓真はそれが自分たちのことだと理解をした。
 ただ……

「玉を宿すものという事は、全員男か?」
「違うんじゃないか?」
 そんな会話が成された。
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