84 / 95
第五章 本当の戦い
第84話 こちら側
しおりを挟む
あれから三年が経ち、魔導具と電子機器の融合は思いのほか上手く行った。
ただ一足飛びに全部が復活というわけには行かないが、インフラは魔導具のおかげで急速に復活をした。
人々の顔に笑顔が返ってきて、暮らしが多少戻って来た頃だった。
「去年は、食い物がなくて大変だったなあ」
「ああ王国の人が、食料をくれたんだって?」
「あそこの王様は日本人らしいぞ」
「じゃあ、日本なのか?」
「大人の事情で、日本には出来ないらしい」
そんな噂が聞こえ始めていた。
そんな頃、世界中に日本の事情が聞こえ始めていた。
「なに、魔導具? 何だそれは?」
ほとんどの国は、一九五〇年代へと戻っていた。
電子デバイスを使わない機器。
倉庫の奥から、腐りかかっていた農機具などを引っ張り出して修理。
手が必要なため、国境の壁を開き、南から移民を受け入れる。
ほんの三年前に、むきになって送り返していた者達を再び受け入れる。
そんな所に、日本からの噂が聞こえる。
「それにより、急速に復活、電子デバイスの生産も開始したので輸入をするかという打診です。関税は無用だという事です」
「ぐぬぬ。彼が亡くなり、気を使う必要が無くなったというのに……」
色々な事情があるようだ。
「早急に、その魔導具というものの正体を調べろ」
「詳細は不明ですが、インフラにおいて、配管が必要なく、クリーンなエネルギーのようです」
報告書は、タイプライターで打たれていた。
「空気中の魔素を使う? 魔素とは何だ?」
「魔法を使うエネルギーの様なものと、学者は言っています。使用者の意識により物理的なものに変化をする」
「待て魔法?」
「ええ、各地に現れた者達が使うようですよ。日本は同盟を結んだようです。国と認めると」
「国だと? 詳細は」
「これです。時空震の時、日本海から中央帝国にかけて土地が入れ替わったようです」
その資料は驚くべき事が書かれていた。
どこから漏れたのか……
当然日本が、リークした。
牽制のために。
未知の技術を有する王国、そことすでに仲良しだよと。
そこが持つ、魔導兵器は大国でも作れないやばいものだと脚色されて書かれていた。
魔導兵士一人が、キロトン単位の爆弾と一緒。
無手で、街を消滅できる。
そんな内容。
王は、核ミサイルに相当し、お願いをして試すと、一〇式戦車の主砲、44口径120ミリ滑腔砲の弾を素手で受け止める事が出来、空中で制御が奪われて自分の所に戻ってくると言う技を見せられた。
無論風魔法。
ちなみに、44トンもある車体をコロコロと引っくり返すことも出来たと記述があった。
「なっ、これは本当なのか?」
「参考資料だそうです。かなり控えめな」
「ぬうっ」
「そして、これが中央帝国側の資料、嘘八百なので少し注釈を入れます」
バサッと置かれた資料。
こちらは手書きだ。
「三年前に、我が領土に現れた蛮族達。我が国は歩兵一千人を派遣。当時は、電子機器が使えず、小銃のみを装備。これ千人と書かれていますが、武器が心許ないので万人レベルを派遣したようです。そして……」
ガサガサと、書類を漁る。
「ああコレですね。城郭を持つ街、三千年もの昔を思い出すような攻城戦、我々は興奮をしていた。だが、ここは我が国の領土。明け渡すように司令官が通達した後、ふざけるなと返答があった。こちらから攻撃が始まると、その数百倍とも言える苛烈な弾幕が張られ、仲間達はミンチとなった。私は、死んだふりをして、逃走をした。それは一瞬の出来事だった」
目撃譚が、バサッと机に戻される。
「かの国らしい顛末ですが、問題は弾幕が張られた。つまり、見た目は古いが、近代的な武装をしていると言うことです」
「供与したのは日本か?」
「それなら世論でいけますが、自前のようです。職員が現場で採取すると、銃弾ではなく、これ」
手の平には、ダブルポイント形の石が握られていた。長さはおよそ十二センチで、太さが三センチちょっと。
「これは?」
「敵の…… いや、彼らがが使った弾幕の弾です。ちなみに硝煙の反応及び痕跡は無し。どうやって撃ちだしたのか不明。空気かと思いましたが、射程は一キロほどある様で、装備していたプロテクター、矢があるかもしれないとレベルⅡ規格だったようですがあっさり貫通。まあかの国ですから、レベルⅠと思っていた方が良いかと思います」
それを聞いて言う言葉は一つ。
「王国とやらと連絡を取れ、脅威度によって対応は考える」
「はっ、速やかに実行いたします」
そうは言っても、現役が行くとまずいだろうと、退役軍人達で一チーム作り派遣をするつもりだったがまずそうなので、丁度良い傭兵団に依頼をする。
「うちの傭兵団に依頼?」
「ああ君らは、各組織のあがったり、失礼退役者だ。この任務バラバラの方が良い」
「随分な言い草だな、行き先は?」
「日本に出現をした王国。連合国だが、未だに正式名称は決まっておらず、とりあえずはインセプトラ―王国の王都カーブキーへ行き脅威度を探って欲しい」
「随分漠然とした依頼だな。まあいい、飛行機は博物館にあったC-47 スカイトレインを今整備中だが、船とどちらが良い?」
「船だ」
「判った。よい旅を」
ただ一足飛びに全部が復活というわけには行かないが、インフラは魔導具のおかげで急速に復活をした。
人々の顔に笑顔が返ってきて、暮らしが多少戻って来た頃だった。
「去年は、食い物がなくて大変だったなあ」
「ああ王国の人が、食料をくれたんだって?」
「あそこの王様は日本人らしいぞ」
「じゃあ、日本なのか?」
「大人の事情で、日本には出来ないらしい」
そんな噂が聞こえ始めていた。
そんな頃、世界中に日本の事情が聞こえ始めていた。
「なに、魔導具? 何だそれは?」
ほとんどの国は、一九五〇年代へと戻っていた。
電子デバイスを使わない機器。
倉庫の奥から、腐りかかっていた農機具などを引っ張り出して修理。
手が必要なため、国境の壁を開き、南から移民を受け入れる。
ほんの三年前に、むきになって送り返していた者達を再び受け入れる。
そんな所に、日本からの噂が聞こえる。
「それにより、急速に復活、電子デバイスの生産も開始したので輸入をするかという打診です。関税は無用だという事です」
「ぐぬぬ。彼が亡くなり、気を使う必要が無くなったというのに……」
色々な事情があるようだ。
「早急に、その魔導具というものの正体を調べろ」
「詳細は不明ですが、インフラにおいて、配管が必要なく、クリーンなエネルギーのようです」
報告書は、タイプライターで打たれていた。
「空気中の魔素を使う? 魔素とは何だ?」
「魔法を使うエネルギーの様なものと、学者は言っています。使用者の意識により物理的なものに変化をする」
「待て魔法?」
「ええ、各地に現れた者達が使うようですよ。日本は同盟を結んだようです。国と認めると」
「国だと? 詳細は」
「これです。時空震の時、日本海から中央帝国にかけて土地が入れ替わったようです」
その資料は驚くべき事が書かれていた。
どこから漏れたのか……
当然日本が、リークした。
牽制のために。
未知の技術を有する王国、そことすでに仲良しだよと。
そこが持つ、魔導兵器は大国でも作れないやばいものだと脚色されて書かれていた。
魔導兵士一人が、キロトン単位の爆弾と一緒。
無手で、街を消滅できる。
そんな内容。
王は、核ミサイルに相当し、お願いをして試すと、一〇式戦車の主砲、44口径120ミリ滑腔砲の弾を素手で受け止める事が出来、空中で制御が奪われて自分の所に戻ってくると言う技を見せられた。
無論風魔法。
ちなみに、44トンもある車体をコロコロと引っくり返すことも出来たと記述があった。
「なっ、これは本当なのか?」
「参考資料だそうです。かなり控えめな」
「ぬうっ」
「そして、これが中央帝国側の資料、嘘八百なので少し注釈を入れます」
バサッと置かれた資料。
こちらは手書きだ。
「三年前に、我が領土に現れた蛮族達。我が国は歩兵一千人を派遣。当時は、電子機器が使えず、小銃のみを装備。これ千人と書かれていますが、武器が心許ないので万人レベルを派遣したようです。そして……」
ガサガサと、書類を漁る。
「ああコレですね。城郭を持つ街、三千年もの昔を思い出すような攻城戦、我々は興奮をしていた。だが、ここは我が国の領土。明け渡すように司令官が通達した後、ふざけるなと返答があった。こちらから攻撃が始まると、その数百倍とも言える苛烈な弾幕が張られ、仲間達はミンチとなった。私は、死んだふりをして、逃走をした。それは一瞬の出来事だった」
目撃譚が、バサッと机に戻される。
「かの国らしい顛末ですが、問題は弾幕が張られた。つまり、見た目は古いが、近代的な武装をしていると言うことです」
「供与したのは日本か?」
「それなら世論でいけますが、自前のようです。職員が現場で採取すると、銃弾ではなく、これ」
手の平には、ダブルポイント形の石が握られていた。長さはおよそ十二センチで、太さが三センチちょっと。
「これは?」
「敵の…… いや、彼らがが使った弾幕の弾です。ちなみに硝煙の反応及び痕跡は無し。どうやって撃ちだしたのか不明。空気かと思いましたが、射程は一キロほどある様で、装備していたプロテクター、矢があるかもしれないとレベルⅡ規格だったようですがあっさり貫通。まあかの国ですから、レベルⅠと思っていた方が良いかと思います」
それを聞いて言う言葉は一つ。
「王国とやらと連絡を取れ、脅威度によって対応は考える」
「はっ、速やかに実行いたします」
そうは言っても、現役が行くとまずいだろうと、退役軍人達で一チーム作り派遣をするつもりだったがまずそうなので、丁度良い傭兵団に依頼をする。
「うちの傭兵団に依頼?」
「ああ君らは、各組織のあがったり、失礼退役者だ。この任務バラバラの方が良い」
「随分な言い草だな、行き先は?」
「日本に出現をした王国。連合国だが、未だに正式名称は決まっておらず、とりあえずはインセプトラ―王国の王都カーブキーへ行き脅威度を探って欲しい」
「随分漠然とした依頼だな。まあいい、飛行機は博物館にあったC-47 スカイトレインを今整備中だが、船とどちらが良い?」
「船だ」
「判った。よい旅を」
0
あなたにおすすめの小説
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる