29 / 58
第4章 イマーゴ大陸
第29話 弱った原因
しおりを挟む
アミルがつい反応をする。
アミルも成長が遅く、最近まで生えていなかったから、気にしていたようだ。
生えてきたときには、喜んで見せてきた。
「うん? なにがじゃ」
「まあいい。そんなモノを見せろと言っていない。世界樹の事です。何かが出来るかもしれない」
「そうか、そうだな。霊木様の為に、今は何でも試すのも必要か…… よし、共に来い。特別に招待をしよう」
少しおかしなこの女性、精霊種の巫女だったようだ。
彼女が就任してから、たまたまなのか木の調子が急に悪くなり、集落の皆から突き上げられていた。
「私のせいではないのに……」
先代から習った儀式を粛々と務めていた。それなのに効果はなく。まるで、悪しきものでも、取り憑いているのではないかと思う始末。
エンシェントドラゴンが現れたとき。助けだと、これは何かの運命だと感じて、見に来た。
当然、焦ってることは見せないが、頭は綺麗に回っておらず。とんちんかんなことをする。
他種族に、肌を見せてしまうくらいには……
ドラゴンの背に乗り、海を渡る。
しばらく飛ぶと、光り輝く木が見えてきた。
その上部は雲を突き抜けさらに続くが、実体があるようではなく、そう高濃度のエネルギーが、柱になったような、木の形をしているだけの気がする。
近付くにつれ、その大きさはとんでもなく、ドラゴンさえもかわいく思える。
やがてその麓へと、到着をする。
ドラゴンは敬われているようで、人々は集まり礼を取っているのだろう。胸に手をあて、頭を下げていた。
それは良いが、巫女が降り、俺達が降りるといきなり警戒態勢になる。
「貴様ら何者?」
「まあ待て、エンシェントドラゴン様が連れてきた者達じゃ。名乗って貰おうか。私は集落の長、エルランド=ボリス=ヴィンセント=ブロムダールと申すもの。そなた達は?」
そう聞かれて、どこから説明すれば良いのか悩んでしまうが、名前だけでも伝えることにした。
「ヒト族で、アシュアス。弟の病気を治すために旅をしている。世界樹。霊木様が調子が悪いと聞き、何か出来ないかとやって来た」
「同じく、ヒト族リーポス」
「同じくフィア」
「アミルです」
「クノープだ」
それを聞いて、長はハンという、馬鹿にした感じで薄ら笑いを浮かべる。
「ヒト族に何が出来る。何の力も感じんでは無いか」
そう言ったとき、ドラゴンから言葉が降ってくる。
「長とやら。この者達の力を感じんと言うなら修練が足りぬな。こやつらは抑えているだけだ。おい見せてやれ」
ドラゴンにそう言われて、解放をする。
あーうん。初めての体験だったのかな?
慌てふためき、腰が抜けて、集まっていた人たちが色々な物を漏らした。
一人巫女だけは、反応がおかしい。
「力が入らない、駄目。出ちゃう見ないで」
と言いながら見せてくる。
「コイツ、見せたがりなのか?」
そして、まあ。
「見苦しいところをお見せした。そなたら本当にヒト族か?」
「そのはずですが」
アシュアスが答えると、長は考える。
たまに、迷い込む者達がいる。
あれは、劣等種でヒトでは無かったのかもしれない。
どう考えても、この者達と同じ種族だとは思えない。
特に、目の前のアシュアスと言う少年。
昔お会いした、精霊王に似た感じがする。
うむむと、考え始める。
そして……
「とりあえず、状態を教えて貰っても良いかな?」
「えーとねえ。こう、見ての通り全体に力が無いでしょう? 光も弱いし本当はもっと光っているの」
そう言われても、元が分からないと比較が出来ないな。
だけどまあ、力の流れを見てみることにする。
そっと木の幹に触れて、流れを見る。
その時、背後では盛大に精霊種が驚いていた。
そうそう、精霊種とか守人とか言われているが、種族名はエルフと言うらしい。
耳の長さで力が違い、寿命にも差があるとか。
全体的にほっそりしている。
そして自然と共生するためか、最低限の服。
透けるような薄いドレスを着ている。
男も女も。
だがその生地は、森にいるシルクドワームという、特定の木にくっ付いている虫から採っているようで薄くて丈夫。
そのワームに紛れ、糸の取れないワームがいて、そいつが木を食い荒らすと怒っていた。
それは後で聞いた話。
力の流れを見ていると、根の周囲に幾つも妙な反応がある。
「何かが居るぞ」
魔法を、エネルギーの流れに沿って流し、攻撃をしてみる。
木が大きくて、なんとなく大したことが無さそうだが、百以上もいる。
地面の下で、爆発が起き、地面が揺れる。
「あっ、やばい」
根が傷ついた。
あわてて修復をかける。
普通の植物とは違って、イメージで意外と修復が出来る。
そうしていると、そのくっ付いていた何かが、地上に向かって、這い上がってくる。
「何か来る。皆さがって」
震動がするので、あわてて皆が下がり始める。
だが、巨大な根元から這い上がったそれは、地中から地面へコロンと出ると、いきなり形が変わり、芋虫だったのに、鎌のような手が生える。
そして、木の幹を一気に這い上がり始める。
当然見ているだけではなく、攻撃を開始する。
だが見えているのは、自分たちのいる所。
幹自体が直径で数キロあり、とてもじゃないが、手が回らない。
「頼む。退治を手伝ってくれ」
「おっ。わかった」
エルフさん達が、弓を持って走って行く。
モンスターは、シカーダラーバと言うらしい。
アミルも成長が遅く、最近まで生えていなかったから、気にしていたようだ。
生えてきたときには、喜んで見せてきた。
「うん? なにがじゃ」
「まあいい。そんなモノを見せろと言っていない。世界樹の事です。何かが出来るかもしれない」
「そうか、そうだな。霊木様の為に、今は何でも試すのも必要か…… よし、共に来い。特別に招待をしよう」
少しおかしなこの女性、精霊種の巫女だったようだ。
彼女が就任してから、たまたまなのか木の調子が急に悪くなり、集落の皆から突き上げられていた。
「私のせいではないのに……」
先代から習った儀式を粛々と務めていた。それなのに効果はなく。まるで、悪しきものでも、取り憑いているのではないかと思う始末。
エンシェントドラゴンが現れたとき。助けだと、これは何かの運命だと感じて、見に来た。
当然、焦ってることは見せないが、頭は綺麗に回っておらず。とんちんかんなことをする。
他種族に、肌を見せてしまうくらいには……
ドラゴンの背に乗り、海を渡る。
しばらく飛ぶと、光り輝く木が見えてきた。
その上部は雲を突き抜けさらに続くが、実体があるようではなく、そう高濃度のエネルギーが、柱になったような、木の形をしているだけの気がする。
近付くにつれ、その大きさはとんでもなく、ドラゴンさえもかわいく思える。
やがてその麓へと、到着をする。
ドラゴンは敬われているようで、人々は集まり礼を取っているのだろう。胸に手をあて、頭を下げていた。
それは良いが、巫女が降り、俺達が降りるといきなり警戒態勢になる。
「貴様ら何者?」
「まあ待て、エンシェントドラゴン様が連れてきた者達じゃ。名乗って貰おうか。私は集落の長、エルランド=ボリス=ヴィンセント=ブロムダールと申すもの。そなた達は?」
そう聞かれて、どこから説明すれば良いのか悩んでしまうが、名前だけでも伝えることにした。
「ヒト族で、アシュアス。弟の病気を治すために旅をしている。世界樹。霊木様が調子が悪いと聞き、何か出来ないかとやって来た」
「同じく、ヒト族リーポス」
「同じくフィア」
「アミルです」
「クノープだ」
それを聞いて、長はハンという、馬鹿にした感じで薄ら笑いを浮かべる。
「ヒト族に何が出来る。何の力も感じんでは無いか」
そう言ったとき、ドラゴンから言葉が降ってくる。
「長とやら。この者達の力を感じんと言うなら修練が足りぬな。こやつらは抑えているだけだ。おい見せてやれ」
ドラゴンにそう言われて、解放をする。
あーうん。初めての体験だったのかな?
慌てふためき、腰が抜けて、集まっていた人たちが色々な物を漏らした。
一人巫女だけは、反応がおかしい。
「力が入らない、駄目。出ちゃう見ないで」
と言いながら見せてくる。
「コイツ、見せたがりなのか?」
そして、まあ。
「見苦しいところをお見せした。そなたら本当にヒト族か?」
「そのはずですが」
アシュアスが答えると、長は考える。
たまに、迷い込む者達がいる。
あれは、劣等種でヒトでは無かったのかもしれない。
どう考えても、この者達と同じ種族だとは思えない。
特に、目の前のアシュアスと言う少年。
昔お会いした、精霊王に似た感じがする。
うむむと、考え始める。
そして……
「とりあえず、状態を教えて貰っても良いかな?」
「えーとねえ。こう、見ての通り全体に力が無いでしょう? 光も弱いし本当はもっと光っているの」
そう言われても、元が分からないと比較が出来ないな。
だけどまあ、力の流れを見てみることにする。
そっと木の幹に触れて、流れを見る。
その時、背後では盛大に精霊種が驚いていた。
そうそう、精霊種とか守人とか言われているが、種族名はエルフと言うらしい。
耳の長さで力が違い、寿命にも差があるとか。
全体的にほっそりしている。
そして自然と共生するためか、最低限の服。
透けるような薄いドレスを着ている。
男も女も。
だがその生地は、森にいるシルクドワームという、特定の木にくっ付いている虫から採っているようで薄くて丈夫。
そのワームに紛れ、糸の取れないワームがいて、そいつが木を食い荒らすと怒っていた。
それは後で聞いた話。
力の流れを見ていると、根の周囲に幾つも妙な反応がある。
「何かが居るぞ」
魔法を、エネルギーの流れに沿って流し、攻撃をしてみる。
木が大きくて、なんとなく大したことが無さそうだが、百以上もいる。
地面の下で、爆発が起き、地面が揺れる。
「あっ、やばい」
根が傷ついた。
あわてて修復をかける。
普通の植物とは違って、イメージで意外と修復が出来る。
そうしていると、そのくっ付いていた何かが、地上に向かって、這い上がってくる。
「何か来る。皆さがって」
震動がするので、あわてて皆が下がり始める。
だが、巨大な根元から這い上がったそれは、地中から地面へコロンと出ると、いきなり形が変わり、芋虫だったのに、鎌のような手が生える。
そして、木の幹を一気に這い上がり始める。
当然見ているだけではなく、攻撃を開始する。
だが見えているのは、自分たちのいる所。
幹自体が直径で数キロあり、とてもじゃないが、手が回らない。
「頼む。退治を手伝ってくれ」
「おっ。わかった」
エルフさん達が、弓を持って走って行く。
モンスターは、シカーダラーバと言うらしい。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
24
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる