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第5章 空間崩壊と混ざり合う世界

第8話 夏休みの工作 その2 現地視察

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「よしそれでは、視察だ。見ないと話にならん」

「お出かけ、お出かけ」
 真魚が嬉しそうに笑いながら、走り回っている。
「たいした奴らはいないだろうが、気を付けないとな。そうか、大統領と総理にはしばらく連絡が取れないと、言っておかないとな」

〔ああ大統領、神崎です〕
〔神崎君。グリーンランドはありがとう。助かったよ。どうやっても倒せなくてね〕
〔あれって、小さなものが集まったもので、増殖していたみたいですよ、中心に魔石があって割ったら死にました〕
〔っ、そうだったのか。いやありがとう〕

〔それで連絡です。割れ目の向こう側に行くので、しばらく連絡ができなくなります。あらかじめ言っておこうと思いまして〕
〔向こう側に? 大丈夫かね。君に何かあると困るのだが〕
〔ちょっと、作り直すので、下見というか現地視察ですね。やばそうなら殲滅です。うちの社員、人数も増えたので大丈夫でしょう〕
〔社員が増えたのか? またリストでも送ってくれたまえ。それじゃあ気を付けてな〕
〔はーい〕

〔よしこれで良い。次は総理か〕
 電話をかける。
 また国会中か?
「はいもしもし、神崎君かね。手短にお願いしたいのだが」
〔ああすいません。手短にしますね〕
「いや日本語でたのむ」
「あれ? さっき大統領と話していたから戻らなかったのか? まあいい。ちょっと亀裂の向こう側に行くので、連絡が取れなくなります。以上。それじゃあ」
「ちょ、かんざきく」
 ブチ、ツーツー。

「よし行こうか。おやつは持ったな」
 そう言って、ドゥアトへと転移した。


 こっちへ来ると、ま~たフレイヤたちが、すっぽんぽんだよ。
 2人に服を渡す。
 後ろ側、一部で「ひゅーひゅー」と声援が上がる。だいぶ人格に引っ張られているな。
「見るんじゃねえ」
 威圧を掛ける。

「見た感じは、見事に地獄絵図というか、混沌だな」
 空は割れた部分から、聖なる光がカーテンのように降り注ぎ、地からは黒い魔素が噴出をしている。
 遠くでは火山が炎を噴き出している。
 まあ美しいとか、神々しいとか言える状態ではあるが。
 空は、そのおかげか赤かったり白かったり……。

「フレイヤ。ここって元からこんな感じか?」
「いいえ、もっと暗くて、静かで、何もない所。こんなに賑やかじゃなかったわよ。にゃ」
「にゃは、もういいだろ」
「ここまで来たら、貫くのにゃ」

 
「まあいいや、とりあえず更地へ戻して、天地のほころびをすべてつなぐ。美月、修羅界はお前が作ったんだし、お前が担当な」
「えー、皆でしようよ」
「俺たちは俺たちでやることがある」
「じゃあ、私こっち」
 真魚たちがやって来たと思ったら、みんながぞろぞろ俺の方へやって来た。
「こんなには要らん。少しは美月の方を手伝え」
 そう言うと、ブーイングが出る。

「美月……お前、人望無いな」
 俺が笑いながら、そういった瞬間。
「解」
 ムッとしながら、美月が叫ぶ。

 その瞬間(とき)、底が抜けた。
「くそう、ば〇すかよぉ~」
 みんなが、奈落へ落ちていく。

「畜生、落ちるまでにばらけちまった」
 横にいるのは、落ちるときに腕に引っ付いていた真魚とフレイヤ。
「まだ新しい世界を作っていないからな。殲滅か?」

「暗いね」
 そう言った真魚の顔が、いつの間にかお化け屋敷にいるような、お化けになっていた。
 なんだよ、その長い髪は。
 一瞬びくっとしたが、俺にまで精神干渉できるのか。すごいな。

「フレイヤ。どこから、攻撃がきているかわかるか?」
「にゃ。なあに~、一司。あなたまでにゃんこになったの?」
 そう言ってフレイヤは、けたけた笑っている。
 俺は化け猫らしいな。
「違う。精神攻撃だよ」

「ほんとぉにぃい?」
 そう言って、フレイヤの顔が崩れていく。

「ちっ。偽物か?」
 思わず手が出る。
 一歩踏み込み、渾身の、左右のワンツー。

 あれ?
「あん」
 なんで美月が出てきて……おれは胸をもんでいるんだ?
 両手でむぎゅむぎゅしている。

 体まで、相手に制御されているのか?
「ああ畜生!! 怒った。滅べ。むぎゅ」
 真魚に抱きつかれて、頭を抱えこまれる。
「一司。そうやって、むきになるから干渉されるの。どうしてさっきから、フレイヤちゃんの胸を揉んでいるのかは知らないけれど、落ち着いて」
 そう言って、真魚に抱きしめられる。

「フレイヤのの偽物が居て、殴ろうとしたんだが?」
「殴る? 私が見ていると、なんだか―ぼーっとしていたと思ったら、近づいていきなり胸を揉みだしたわよ。フレイヤちゃんも突き出していたけど」

 ということは、真魚は干渉を受けていないのか?
「はい。いつものこと。揉むのをやめて、息を吸ってはいて、神気を練って循環。そして開放からのシールド。どう?」
「おおできたな。単なる荒れ地に戻った。うーん。あっちか、行こう」


 俺たちがそんなことをしていた頃、
「フェンちゃん、あっちを凍らして次はあっち」
「フェンリル使いが荒いわよ。誰か氷魔法か空間魔法使えないの?」
 人化しているフェンがぼやく。
「当然使えるけれど、あなたの方が早いし強力だもの」

 フェンと、玲己。芳雄とみゆき。
「ここって、焦熱地獄(しょうねつじごく)かな?」
「どこでもいいけど、抜けましょ。ダンジョンみたいなものだから、ボスを倒せばいいわよね」
 玲己がそう言うと、
「それなら、あっちね」
 みゆきが指さす。

 フェンが周りの気温を調整しながら出口?へと向かう。



壮二と神音。一翔と霞。それになつみと四天の3人。
「不動様。ここどこですか?」
「ああ? 一司が修羅界と言っていたが、いろいろ混ざっているようだからな。よくわからん。とりあえず修行にはなる。お前たちがんばれ」
 とりあえず、獄卒だろうか、おなじみゴブリン、オーク、オーガ、その他もろもろがひしめいていた。
 走りだす、壮二と神音。それになつみ。一翔と霞。やっと、四天の3人が走り始める。楡川 隆二。山中 和樹。南部 寛人。

 走りながら後ろを振り返り、もう少し出会いが早ければ、後ろの3人の誰かと付き合っただろうなと考える霞の本体と、きっぱり否定する吉祥天。

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