36 / 55
第三章 暗躍する者達
第36話 得手不得手
しおりを挟む
今日も今日とて、暑い。
「遊びに行かない? もう外出禁止は解けたんでしょう」
「ああ、まあな」
電話をすると、珍しく陸斗も行く様だ。
少し遠いが、レジャーランドのプール。
運転手の後居 郷さんが、監視役というか、保護者としてついてきた。
彼も、力は弱いが風を使える。
針の穴を通すような、精密なコントロールができる。
後ろに立つんじゃねえが口癖だ。
「では若、車の方で待機しております」
そう行って帰ろうとする。
「いや、暑いしプールに入れば良いじゃん。護衛だろ」
そう言うと、困った感じになる彼。
「あーそうですね。護衛です。ちなみに此処の深さは?」
前に来たときの記憶を思い出す。
「知らないけれど、そんなに深くないはず」
「そうですか。ならば」
そう言って、やっと一緒に来てくれた。
そう言って中へ入ると、彼の色の白さと鍛え上げた筋肉が目を引く。
隣に立つアマンダと二人、非常に目だつ。
「さてと、流されに行こう」
陸斗は浮き輪を持って、そそくさと流れるプールへと向かう。
「ゆったり流されるのも良いけれど、競争しない?」
雫が、競泳用のプールを指さす。
そうなぜか、アミューズメントな所に、ガチ勢用のプールと、飛び込み専用プールなどもある。
そうかと思えば、半身が浸かる程度の水深で、歩くためのコースもある。
そこは、まあお年寄り向けでだとされるが、流れるプールの底をくぐる所があり、そこは天井がアクリルで透明。
密かな人気スポットになっている。
そして凶悪なウォータースライダー。
もう、うねうねのクルックル。
過去ここでは、幾多のお姉さんが、手ぶらででてくる羽目となった。
紐が、ほどけるのだよ。
そして、アマンダに誘われて、ものすごいにやけ顔で後居さんが並んでいた。
何も考えないアマンダは、順番が来て頭から飛び込む。
その横には、危険ですから足から滑ってくださいの文字。
「次行ってください、下に付いたら速やかに、安全な所へ移動してください」
そう言われながら、後居さんは滑り始める。
途中で、布を一つ拾う。
「アマンダおじょうちゃん落としたな」
だがもう一つ。
やべえ。
角度を変え、滑走スピードを変え、背中から風を使い加速する。
プールへと到着をして、アマンダはすっくと立ち上がる。
この数ヶ月鍛え上げた肉体、多少の衝撃など物ともしない。
だが後ろから来たのは、高速の後居さん。
もろにちゅどーんと命中して、二人が絡まるように吹っ飛ぶ。
水に浮いている二人。
「大丈夫ですか?」
監視員は、様子を見に来て、見てはいけない物を見てしまう。
立ち上がろうとする、アマンダ。
「立たないでください、危険です」
ハッという感じに、アマンダは姿勢を低くする。
そっと、後居さんが布を渡す。
「あっ」
やっと気がつき、水着を着け始める。
後居さんの鼻からは、鮮血が滴っていた。
それはぶつかった衝撃か、それとも……
「もう浮いているの飽きた」
朱莉はもう我慢ができないようだ。
我関せずで流れていく陸斗。
「どうする、上がるか?」
「そうねさっきの勝ちの分、アイス」
「分かったよ」
さっき、雫と競争をした。
飛び込み、ひとかきしたら雫のレーンだけ、流れるプールになっていた。
轟々と流れ、他のレーンは当然逆流だ。
当たり前だが、あっという間にスタート地点に戻るだけなら良いが、他のレーンなで巻き込んで、雫のレーンに吸い寄せられていく。
見たことない男の子や女の子。
ひとまとめになって、流されてしまった。
雫は、喜びながらプールサイドへと上がったが、振り返って愕然とした。
颯司が見たことない女の子と、プールの真ん中でいちゃついていた。
それを見て、雫はつい、水の上を全局疾走。
「真面目に泳いでよ、この子誰?」
そんな事を聞かれても、俺は知らないし、口ごもってしまう。
「あっわたし、戸成の中に通っています。福平 霞です」
「へー何年生? おれ、幽奇北中一年生の風祭 颯司。よろしくね」
挨拶をしながら、奇妙な感覚を覚える。
この子人間じゃない。
「私は、水祭 雫」
「ふふっ、仲が良いけれど、雫さん、水の上に座っていると目だつわよ」
そう言って、彼女は行ってしまった。
さっき一緒に流されていた、男の人と一緒に。
彼は、霞の兄である福平 凪だった。
「むうっ」
「雫、監視員さんが困っているから、中に入れ。泳ぐぞ」
監視員は困っていた。
プールサイドを走った場合は危険だから、速やかに注意をすることになったている。だがプールの上も、人を蹴ったり、危険じゃないのか……
そして先ほどの異変。
いい加減不思議なことが起こるのが、この町幽奇市である。
だが…… 答えが出ないまま、彼は頭を抱えることになる。
「さっきの人ね、仲間みたいよ」
「そうなのか?」
「うん。一見人間ぽいけれど、我らの長にも成れるかも」
「ふーん。あの女の子もそうなのか?」
「あの子は人間、でも力を使っていた」
「じゃあ敵か?」
「どうなんだろ?」
そんなことを言いながら、消えていった。
「遊びに行かない? もう外出禁止は解けたんでしょう」
「ああ、まあな」
電話をすると、珍しく陸斗も行く様だ。
少し遠いが、レジャーランドのプール。
運転手の後居 郷さんが、監視役というか、保護者としてついてきた。
彼も、力は弱いが風を使える。
針の穴を通すような、精密なコントロールができる。
後ろに立つんじゃねえが口癖だ。
「では若、車の方で待機しております」
そう行って帰ろうとする。
「いや、暑いしプールに入れば良いじゃん。護衛だろ」
そう言うと、困った感じになる彼。
「あーそうですね。護衛です。ちなみに此処の深さは?」
前に来たときの記憶を思い出す。
「知らないけれど、そんなに深くないはず」
「そうですか。ならば」
そう言って、やっと一緒に来てくれた。
そう言って中へ入ると、彼の色の白さと鍛え上げた筋肉が目を引く。
隣に立つアマンダと二人、非常に目だつ。
「さてと、流されに行こう」
陸斗は浮き輪を持って、そそくさと流れるプールへと向かう。
「ゆったり流されるのも良いけれど、競争しない?」
雫が、競泳用のプールを指さす。
そうなぜか、アミューズメントな所に、ガチ勢用のプールと、飛び込み専用プールなどもある。
そうかと思えば、半身が浸かる程度の水深で、歩くためのコースもある。
そこは、まあお年寄り向けでだとされるが、流れるプールの底をくぐる所があり、そこは天井がアクリルで透明。
密かな人気スポットになっている。
そして凶悪なウォータースライダー。
もう、うねうねのクルックル。
過去ここでは、幾多のお姉さんが、手ぶらででてくる羽目となった。
紐が、ほどけるのだよ。
そして、アマンダに誘われて、ものすごいにやけ顔で後居さんが並んでいた。
何も考えないアマンダは、順番が来て頭から飛び込む。
その横には、危険ですから足から滑ってくださいの文字。
「次行ってください、下に付いたら速やかに、安全な所へ移動してください」
そう言われながら、後居さんは滑り始める。
途中で、布を一つ拾う。
「アマンダおじょうちゃん落としたな」
だがもう一つ。
やべえ。
角度を変え、滑走スピードを変え、背中から風を使い加速する。
プールへと到着をして、アマンダはすっくと立ち上がる。
この数ヶ月鍛え上げた肉体、多少の衝撃など物ともしない。
だが後ろから来たのは、高速の後居さん。
もろにちゅどーんと命中して、二人が絡まるように吹っ飛ぶ。
水に浮いている二人。
「大丈夫ですか?」
監視員は、様子を見に来て、見てはいけない物を見てしまう。
立ち上がろうとする、アマンダ。
「立たないでください、危険です」
ハッという感じに、アマンダは姿勢を低くする。
そっと、後居さんが布を渡す。
「あっ」
やっと気がつき、水着を着け始める。
後居さんの鼻からは、鮮血が滴っていた。
それはぶつかった衝撃か、それとも……
「もう浮いているの飽きた」
朱莉はもう我慢ができないようだ。
我関せずで流れていく陸斗。
「どうする、上がるか?」
「そうねさっきの勝ちの分、アイス」
「分かったよ」
さっき、雫と競争をした。
飛び込み、ひとかきしたら雫のレーンだけ、流れるプールになっていた。
轟々と流れ、他のレーンは当然逆流だ。
当たり前だが、あっという間にスタート地点に戻るだけなら良いが、他のレーンなで巻き込んで、雫のレーンに吸い寄せられていく。
見たことない男の子や女の子。
ひとまとめになって、流されてしまった。
雫は、喜びながらプールサイドへと上がったが、振り返って愕然とした。
颯司が見たことない女の子と、プールの真ん中でいちゃついていた。
それを見て、雫はつい、水の上を全局疾走。
「真面目に泳いでよ、この子誰?」
そんな事を聞かれても、俺は知らないし、口ごもってしまう。
「あっわたし、戸成の中に通っています。福平 霞です」
「へー何年生? おれ、幽奇北中一年生の風祭 颯司。よろしくね」
挨拶をしながら、奇妙な感覚を覚える。
この子人間じゃない。
「私は、水祭 雫」
「ふふっ、仲が良いけれど、雫さん、水の上に座っていると目だつわよ」
そう言って、彼女は行ってしまった。
さっき一緒に流されていた、男の人と一緒に。
彼は、霞の兄である福平 凪だった。
「むうっ」
「雫、監視員さんが困っているから、中に入れ。泳ぐぞ」
監視員は困っていた。
プールサイドを走った場合は危険だから、速やかに注意をすることになったている。だがプールの上も、人を蹴ったり、危険じゃないのか……
そして先ほどの異変。
いい加減不思議なことが起こるのが、この町幽奇市である。
だが…… 答えが出ないまま、彼は頭を抱えることになる。
「さっきの人ね、仲間みたいよ」
「そうなのか?」
「うん。一見人間ぽいけれど、我らの長にも成れるかも」
「ふーん。あの女の子もそうなのか?」
「あの子は人間、でも力を使っていた」
「じゃあ敵か?」
「どうなんだろ?」
そんなことを言いながら、消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる