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楽しい旅行
第8話 違和感と頭痛
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「じゃあ、折角だしお邪魔しよう」
なぜか、玲奈がそう言ってノリノリだ。
「本物の古民家よ」
玲奈が古民家マニアだなんて、いままで知らなかった。
彼氏である淳も、首をひねっている。
「まあ日暮れに、谷の横を歩くのは危ないか」
祐司までそんな事を言いだして、おじいさんに誘われるまま。家の中へとお邪魔をすることになる。
中には、六畳ほども広さがある土間に、かまどが設置されていた。直ぐ左脇の座敷には囲炉裏が切ってあった。
ただ座敷に上がるには、五十センチほども高さがあり、皆は這い上がる。
見た感じ、昔ながらの田の字型をした間取りで、障子や襖ではなく板戸で区切られていた。
玄関戸もそうだったのだが、縁側というか廊下の外も板戸で、開いていた二枚ほどを閉めると家の中は真っ暗になる。
おじいさんがかまどヘ行き、灰の中から炭を掘り出す。
少し息を掛けると火がおこる。
炭壺というのか火消し壺なのか、そこから使いかけの炭を追加して、先ほどの炭の上にのせる。
かまど脇に立てかけてあった、太さ三センチほどの長さ四十センチほどの竹を取り上げる。
その竹は、中の節を抜き、最後だけ小さな穴を開けた火吹き棒のようだ。おじいさんはプーッと吹く。
それだけで、あっという間に火が起こり始めた。
そこからは、囲炉裏に炭が運ばれ火がおこる。
天井が茅葺きの為か、天井が高いせいか最初薪を入れたときに起こった煙もそんなに煙くなく、何か懐かしいような、落ち着く匂いがする。
「昼に続いてだが、あのアマゴを出そうぜ」
「そうだな、お世話になるし」
ここに来て、買いすぎた魚が良い仕事をする事になる。
その間にも、おじいさんはゆっくりだが、まるで幾人もいるかのような無駄のない洗練された動きで働いている。
米を研ぎザルにあげ、俺達の方を振り向く。
「自分の分だけしか吸水をしていない。少し固くなるがそれでも良いかね」
そう言われても、一瞬理解ができなかったが、米のことだと美優希が気が付いた。
「突然お邪魔をして申し訳ありません。お魚とかもありますのでお気を使わないでください」
「そうかね。まあ折角だ。この谷は水が美味く寒暖差があるから米が美味いと有名なんじゃ。食ってみい。若い者が気を使うな」
そう言って嬉しそうだ。
だが美優希は、基本人の作った料理とかを嫌う。
きちんとした、チェーン店とかは大丈夫だが、個人店の様に知らない人が、素手で何かを料理とかすると嫌がる。
プチ綺麗好き? 潔癖症でもないのだが……
前に、讃岐うどん店で、それも個人店だったせいか、素手でうどん玉を取り分けているのを見た。当然彼女は食えなかった。受け取った後、湯煎するタイプだったのだが、その湯も濁っていると拒否。俺はうどんを都合三玉食ったことがある。
その後、他の店で飯を食い。俺は大食いの辛さをその時理解をした。
そして、時間が経ち魚を頬張りながら、昼に余った肉も囲炉裏の上に網を置き焼いて食べた。
おじいさんは獣肉か? これは美味いと喜んでくれた。
そして、椀がないからと、おにぎりを作ってくれてお盆にのせてきた。
俺達の器については、キャンプ道具の中にあったのだが、まあ良い。
そして、驚いたことに美優希が平気で食っていた。
確かに、良い匂いはしていたのだが……
いやなら網に乗せて焼き、醤油でも塗ろうと思っていたのだが。
皆が狂ったように、握り飯を食い始めた。
確かにかまで炊いた米は美味かった。
だが、精米度は五分つきくらいで、どうしたってぬかが匂う。
皆が喜んでいるのが少し不思議だ。
まあ、意外な一面を見たな。
そう思った。
この連中は、大学に入ってからの付き合い。
全部全部を知っているわけではない。
そして、例のごとく飲み始めて、じいさんはアルミ缶を珍しそうに見ていたのが少し印象に残った。
夢を見ていた……
ある村で起こった惨劇……
「つっ……」
ひどい頭痛と耳鳴り。
「起きた?」
「いつの間に寝たんだ?」
「食事中にぱったりと行ったわよ。洞窟探検もしていないのに疲れが出たのかしら?」
そう言って、美優希が笑う。
「皆は?」
囲炉裏のある部屋は、途中で出した爆光ランタンのおかげで明るい。
この製品明るすぎて、テント内で使うと中で何をしているかすべて影絵となって見える危険なものだ。
「さあどこかしら? 加奈は退屈だから散策をしに行ったわよ。この村、この時期でも蛍が飛ぶって聞いたから」
「淳たちは?」
「淳くんは、加奈と一緒に行ったの。男子連中は全員寝ていたから。祐司君を起こそうとしたけれど起きなくて、淳くんを連れていったの。その後ね。二十分? えーと三十分くらいして祐司君が起きて、加奈を探しに行くって。加奈はかわいいから、蛍なんかを見に行って、雰囲気がよくなったら淳くんが手を出すかもしれないとか言って」
「そうなのか? 玲奈もついて行ったのか?」
「うん。祐司君にね」
「そうか…… 今何時だ?」
そう言いながら時計を見る。
なぜか、玲奈がそう言ってノリノリだ。
「本物の古民家よ」
玲奈が古民家マニアだなんて、いままで知らなかった。
彼氏である淳も、首をひねっている。
「まあ日暮れに、谷の横を歩くのは危ないか」
祐司までそんな事を言いだして、おじいさんに誘われるまま。家の中へとお邪魔をすることになる。
中には、六畳ほども広さがある土間に、かまどが設置されていた。直ぐ左脇の座敷には囲炉裏が切ってあった。
ただ座敷に上がるには、五十センチほども高さがあり、皆は這い上がる。
見た感じ、昔ながらの田の字型をした間取りで、障子や襖ではなく板戸で区切られていた。
玄関戸もそうだったのだが、縁側というか廊下の外も板戸で、開いていた二枚ほどを閉めると家の中は真っ暗になる。
おじいさんがかまどヘ行き、灰の中から炭を掘り出す。
少し息を掛けると火がおこる。
炭壺というのか火消し壺なのか、そこから使いかけの炭を追加して、先ほどの炭の上にのせる。
かまど脇に立てかけてあった、太さ三センチほどの長さ四十センチほどの竹を取り上げる。
その竹は、中の節を抜き、最後だけ小さな穴を開けた火吹き棒のようだ。おじいさんはプーッと吹く。
それだけで、あっという間に火が起こり始めた。
そこからは、囲炉裏に炭が運ばれ火がおこる。
天井が茅葺きの為か、天井が高いせいか最初薪を入れたときに起こった煙もそんなに煙くなく、何か懐かしいような、落ち着く匂いがする。
「昼に続いてだが、あのアマゴを出そうぜ」
「そうだな、お世話になるし」
ここに来て、買いすぎた魚が良い仕事をする事になる。
その間にも、おじいさんはゆっくりだが、まるで幾人もいるかのような無駄のない洗練された動きで働いている。
米を研ぎザルにあげ、俺達の方を振り向く。
「自分の分だけしか吸水をしていない。少し固くなるがそれでも良いかね」
そう言われても、一瞬理解ができなかったが、米のことだと美優希が気が付いた。
「突然お邪魔をして申し訳ありません。お魚とかもありますのでお気を使わないでください」
「そうかね。まあ折角だ。この谷は水が美味く寒暖差があるから米が美味いと有名なんじゃ。食ってみい。若い者が気を使うな」
そう言って嬉しそうだ。
だが美優希は、基本人の作った料理とかを嫌う。
きちんとした、チェーン店とかは大丈夫だが、個人店の様に知らない人が、素手で何かを料理とかすると嫌がる。
プチ綺麗好き? 潔癖症でもないのだが……
前に、讃岐うどん店で、それも個人店だったせいか、素手でうどん玉を取り分けているのを見た。当然彼女は食えなかった。受け取った後、湯煎するタイプだったのだが、その湯も濁っていると拒否。俺はうどんを都合三玉食ったことがある。
その後、他の店で飯を食い。俺は大食いの辛さをその時理解をした。
そして、時間が経ち魚を頬張りながら、昼に余った肉も囲炉裏の上に網を置き焼いて食べた。
おじいさんは獣肉か? これは美味いと喜んでくれた。
そして、椀がないからと、おにぎりを作ってくれてお盆にのせてきた。
俺達の器については、キャンプ道具の中にあったのだが、まあ良い。
そして、驚いたことに美優希が平気で食っていた。
確かに、良い匂いはしていたのだが……
いやなら網に乗せて焼き、醤油でも塗ろうと思っていたのだが。
皆が狂ったように、握り飯を食い始めた。
確かにかまで炊いた米は美味かった。
だが、精米度は五分つきくらいで、どうしたってぬかが匂う。
皆が喜んでいるのが少し不思議だ。
まあ、意外な一面を見たな。
そう思った。
この連中は、大学に入ってからの付き合い。
全部全部を知っているわけではない。
そして、例のごとく飲み始めて、じいさんはアルミ缶を珍しそうに見ていたのが少し印象に残った。
夢を見ていた……
ある村で起こった惨劇……
「つっ……」
ひどい頭痛と耳鳴り。
「起きた?」
「いつの間に寝たんだ?」
「食事中にぱったりと行ったわよ。洞窟探検もしていないのに疲れが出たのかしら?」
そう言って、美優希が笑う。
「皆は?」
囲炉裏のある部屋は、途中で出した爆光ランタンのおかげで明るい。
この製品明るすぎて、テント内で使うと中で何をしているかすべて影絵となって見える危険なものだ。
「さあどこかしら? 加奈は退屈だから散策をしに行ったわよ。この村、この時期でも蛍が飛ぶって聞いたから」
「淳たちは?」
「淳くんは、加奈と一緒に行ったの。男子連中は全員寝ていたから。祐司君を起こそうとしたけれど起きなくて、淳くんを連れていったの。その後ね。二十分? えーと三十分くらいして祐司君が起きて、加奈を探しに行くって。加奈はかわいいから、蛍なんかを見に行って、雰囲気がよくなったら淳くんが手を出すかもしれないとか言って」
「そうなのか? 玲奈もついて行ったのか?」
「うん。祐司君にね」
「そうか…… 今何時だ?」
そう言いながら時計を見る。
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