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第五章 星々は移ろい、種族は邂逅する。

第109話 プライドの行方

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「さて、以上が今回会談という名の通知。それの全容です」
「これは、しかし、どうする?」

 こんな話が、会談後に各国で行われる。

 すべてが常識から外れた話。

「どうかしようとして、どうにかなる話しなのかね?」
 多くは、こうなる。

 だが中には……

「何だ、あの連中は」
「しかし、あの。我々からするとまるで未知の技術。それに手を引かれると一瞬で人類が……」
「それだって、確認が出来るものではないじゃないか。CGだろ」
「それは……」

「確認をしようとしても、光が届く頃には、すべてが終わっている世界の話です。あなたが、人類を救うために何かが出来ると? 彼らは、核物質や重力をコントロールする。ああ、そうだ。爆発物が、ただ燃えるのを、目の前で見たそうだよ」
「そうだ銃だって、弾が発射できなくなる」
 そう言って憤る数名を、周りは呆れた感じで見守る。

「だが、それでは我が国。アメリカの立場が」
 愛国心の固まりとプライドが、非現実な状況を許すことが出来ない。
 だが、そんな物は、口に出すか出さないかで皆思っている。

 理解してしまえば、口に出せないだけなのだ。
 地頭の違いか、理解力と総合判断。それが出来る人間は、口に出さず納得をする。
 口に出しても、なにも出来ないし変わらないのだから。


 そして、もう一方の人たちは。
「いやあ、竜司君。招いたと言えば聞こえが良いが、ご足労頂いて悪いね」
「いえ。お招きいただきまして、ありがとうございます」
「どうかね。娘達は多少でもお役に立っているかね」
「はい。非常に助かっています」

 そう、すり寄る。

 これからを考えると、どう付き合うかが重要。
 向こう側への、拡大は難しくとも、こちら側でなら、技術の一端を持ってくるだけで市場を支配できる。
 その話は、娘から聞いた。

 向こうでは、電気的基板ではなく、基本回路は光だそうですわ。
 周波数により同一回路上で、働きを変えることが出来るとか。

 などという話が、すでにリークされている。

 そして上映会。
「観光惑星とかもあります」
 そんな話から始まり、資源惑星や農産物。そして畜産プラント。

 工業プラントに、主星。
 すべてが、人工衛星のように、同一公転軌道上で恒星の周りを回っている。
 しかも、重力をコントロールして制御されている。

 今計画されている、宇宙コロニーとは規模が違う。
 他空間で衝突させて、生きた星を作り、持ってくる。

 そんな、夢物語のような馬鹿げた話しが、すでに実用化されている。

「いや、何か得る物があるかと思ったが、常識の範囲外だ。あの自立型の農業プラントは良いね」
「あれは、マークをしたポイント内で、機械制御をしているだけですから、地球でも可能じゃないかと思います」
「後は創薬に関してだが、君達にはあの癒やしの光があるから、あまりないのかね?」
 織戸さんが、話しに入ってきた。

「いえ、地球で皆が進化をして、光を使えるのがおかしな話で、ランクツイン達は使えませんし、メディカルポッドが一般的です」
「そうかね。では……」
「でも、地球人とは本当の意味で人種が違うので使えるとは……」
 そう言いながら思い出す。
 すでに、情報を大量に投げて、自分たちが改造されていることを。

「あーいや。大丈夫ですね。ポッドの輸入をします?」
「欲しいのは欲しいが、為替の問題も。君達の所は貨幣はどんな感じなんだ?」
「すべては、デジタルのクレジットです」
 そう言うと、マイリが補足をする。

「竜司が、軍属に復帰したので、その辺りも復活しています。認識標の再発行中だとか。それに奇特な方の寄付もありますし」
 そうマイリが言った、奇特な方。
 眠り続ける教授。アンガ=ロスの資産は、マイリが握っている。

 そして、簡単に言ったが、後に使用エネルギーがネックになる。
 単純な電気を高エネルギーに変換すると、ポッド一つに原発が一基必要になることがわかった。

 その事で、頭を抱える関係者。

 そして、髙次のエネルギープラント。それの設置が先だとわかり、少し走り回ることになる。

 そう変化は始まり、その一歩を踏み出す。

 プライドに拘った者達は、やがて表舞台から消えていくことになる。

 環境? なんで調整しないの? ポチッとな。そんな世界が始まった。

 ドラガシメルとの調印はなされ、地球政府が樹立。
 国はすべて、特別自治区として扱うこととして、緩やかに統合していくこととなった。

 そして、その管理にはドラガシメルからの支援が入り、犯罪や武装蜂起が起こったときには、人外のハンター達がやってくる。
 そう、おもしろがって、中和剤が未だに撒かれていない。

 モンスターが、散発的に発生し、時期を経ると魔王が復活をする。

 奇妙なファンタジー世界が残った地球は、調印後。一気に発展を開始する。

 その中心は、言わなくても分かるだろう。

「あにゅ。りゅうじしゃま」
 そう、神宮路家を中心としたグループ。

 いち早く、ドラガシメルと繋がり、新技術を持ち込んで一気に発展させた。
 国の規定よりも、ドラガシメルの基準が優先され、どこからともなく圧力が掛かり認可が下りるという、属国あるあるでごり押し。

 何せ、ドラガシメルのトップがそこにいるのだから、下手に苦情を言うと、自治区の上に大艦隊が押し寄せる。
「法と条約を守らないのかね」
 怖い顔をした、行政官がやって来るのだ。

 出世をしたいなら、地球へ行け。
 そんな言葉が、ドラガシメルでも有名になっている様だ。
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