ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

文字の大きさ
62 / 156
始まった新世界

第62話 導かれる

しおりを挟む
「無理」
 トワイライトウォーリアの夢野ゆめの 太志ふとしは、年下の女の子達に叫んでしまう。

「無理と思うから無理なのよ」
 そう言って突き飛ばされる。
 そこへ丁度、棍棒の攻撃が……

「うぼぉ」
 一週目。いきなりボス部屋へ放り込まれた……

 ほぼ全力疾走で各階を走り、休み無しでボス部屋へ。
「ここは、確か倒さないと、出られないのでは?」
「うん? 確か死んでも開くって」
 機嫌が悪い亜矢が、無表情で答える。

「死ぬのは嫌なんですが……」
「オークだから、大丈夫よ」
 何が大丈夫か分からない。
 さっき出たときも、彼女達が助けてくれないと死んでいたよね。

 ナンパしようとした彼女達。
 メタメタにやられて、強いのは知っていた。
 だけど、ここまで強いとは……
 世間話をしながらフルマラソンの距離を走り抜けて、ゴブリンを倒すのに、いちいち止まるなとお叱りを受ける。

 極めつけは、ひとにらみでモンスターの動きが止まる。
「早く倒す」
「はひっ」

 そう、今俺達の装備はもらい物だ。
 司という彼女達のボス? が、裸でうろうろするなと怒って貰ったもの。
 素材に何を使っているのかまったく判らないが、軽くて丈夫なプロテクター類。
 服は、その辺りの量販店で売っているものだった。
 自衛隊の服や、警察の制服も持っているとか。
 何者だろうか?

 そして武器。
 剣に槍、そして盾。
 ヌンチャクに棍棒?
 鍋にすりこぎ?
 彼は何でも持っていた。

 そして、彼女達の武器は、彼が造った物らしい。
 暗闇の中で光りながら獲物を狩る。
 彼女達はこの暗さの中で普通に見えるらしく、身体強化の方法を呆れられて、叱られながらもきちんと習う事に。

 俺達は何も知らなかったのだ。
 それなのに、元々のフィジカルだけで強いと思っていた。
 俺達の力など、今までやっていた戦闘など、彼女達に比べると児戯に等しい。

 そして、探査。
 基本の魔力をレーダーのように使うもの。
 それは基本の基本で、彼女達は探査魔法に思念波、つまり、意識を乗せられるとか。

 よく分からないが、それが必要な場所がすぐにあると言われた。

「おい。夢野生きているか?」
「死んでいるかもしれん」
「今何週目だ?」
「まだ二週目だ」
「はい。無駄口を叩かない。前方ゴブリン三」
「はい」
 俺達は走る。とにかく走る。

 周囲の探査と、身体強化。
 幾度と無く魔力切れでぶっ倒れ、怪我はすぐに治されてひたすら走る。

 そう、司さんは何でも出来る。
 だから、倒れようが死にかかろうが、すぐに治されてこの訓練はひたすら続く。
 そして、魔力切れは本当に地獄。

 彼女達は、うんうん。すぐに慣れるとしか言わない。

 司が百周と言ったなら百周なのだ。
 そこに慈悲はない。
 辛いのは、俺達が弱いからだと教え込まれる。

 追い込んで壊し、甘えさせて、また追い込む。
 そうして彼等もまた、戦闘ジャンキーへと変化をしていく。

 その頃、高校生チームは、一見普通の森に襲われていた。
 三年生となり、少し体格も良くなった。無敵だと自身を振るいたせて、トレントヘの挑戦中。

 だが、高さが三メートルほどある、このマメ科のトレントは蔓で周囲をなぎ払い、種子が銃弾のように周囲を襲う。

 バットで撃ち返そうにも、一つの種子が十センチくらいあり凶悪だ。ソフトボールくらいだが、とにかく早くて重いのだ。
 そして、彼等の武器、バットや棍棒では奴らを切れない。
 とにかく相性が悪かった。

「畜生。盾を装備しないと駄目だ」
「そうだな」

 彼等は押されまくり、撤退を決める。
 だが、なかなか逃げられない。

「おい、周りを囲まれてきたぞ」
「やべえ、やべえぞ。天明。どこか隙間は無いか?」
「周囲探査しているが、まだ増える」
「げえー。どうすんだよ」
 彼等は、絶体絶命。

「何か来る」
 キュピーンと天明がそれに気がついた。

 大きなプレッシャー。
「あれが来たら、俺達は終わる。なんとか逃げ…… もうだめだ、来たぞ!!」

 そこに飛び込んできたのは、モンスターぽいが、モンスターではなく、湯霧ゆきり 次郎じろう。三十歳となったが、まだまだこれから。
 土曜日の仕入れ中だったのだ。

「そこの奴ら、伏せろ」
「えっ?」
「早く」
 攻撃の来る中では、伏せるのも命がけだ。
 だが、選択肢は多くない。

 伏せた瞬間、戦場に風が吹く……

 オーク。いや、湯霧の振るった大きな包丁が空を切る。
 だが、その威力は絶大。

 蔓型のトレントはおろか、その向こうに見える普通の木までぶった切った。

 丁度一メートルくらいの高さで、周辺すべてが刈り取られた。

「すげえ……」
 彼等は助けられて、湯霧の圧倒的な強さに感動をする。

 そして、その蔓科のトレントは、もやしや大豆をドロップした。
「しょっぺえ。これだけ苦労をして、もやし? なんだこのドロップ」
「馬鹿野郎。これが絶品なんだ」
 彼等は叱られた。

 この辺りは、すでに湯霧の仕入れ用に、ドロップがスペシャルチューンされている。

 だが彼等は、そんな事情など知らない。
 いや多くの探索者にとっては、迷惑以外の何ものでもない。

 シンと司、この二人に見込まれるのが、このダンジョン攻略の糸口である。
 ただ、見込まれると、必然的に地獄を経験することになる。

 そう、湯霧と出会ったことで彼等もまた、一歩歩み寄ってしまった。

 彼等の背後に、司の足音がひたひたと近寄ってきていた。

 大学生チームの涙と共に、すぐそこまで……

「えっ、彼等が強くなりたいって?」
「そうなんだよ。気合いなら、そこそこ見込みはありそうなんだが、とにかく弱いんだ」
 一応民間の最強チームである彼等、湯霧から弱い宣言をされる。

 トレントに囲まれて、助けられた以上、文句は言えない。
 あの日から、湯霧に言われて、毎日の様に彼等は野良オークを狩っていた。
 まあここに来ると、宝石採取目的で赤の救済者メサイア達、女子大生達がいつもいるので、高校三年生の彼等も居付いてしまった。そう心の中に、異性に対しての欲望が渦巻くお年頃。
 それは仕方が無いだろう。

 だがしかし、それにより司と出会ってしまった。
「じゃあ、特訓をしようか?」
 爽やかな笑顔で、彼等は司に宣言をされた……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。

猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。 もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。 すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。 主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。 ――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました―― 風景が目まぐるしく移り変わる。 天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。 移り変わる景色こそは、 第一天 ヴィロン。 第二天 ラキア。 第三天 シャハクィム。 第四天 ゼブル。 第五天 マオン。 第六天 マコン。 それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。 気付けば明星は、玉座に座っていた。 そこは天の最高位。 第七天 アラボト。 そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。 ――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。

異世界では地味な俺が、なぜか神々に最愛されて無双してる件

fuwamofu
ファンタジー
平凡な高校生・桐生ユウは、女神の手違いで異世界に転生した。 チートもスキルも貰えず、冒険者登録すらままならない落ちこぼれ……のはずだった。 しかし周囲の異常な好感度、意味不明な強運、そして隠された神格スキルによって、ユウは「無自覚に全能」な存在へと覚醒していく。 気づけば女神も姫騎士も魔王娘も彼に夢中。誤解と崇拝が加速する中、ユウの“地味な日常”は世界を揺るがす伝説になっていく。 笑いあり、胸キュンあり、ざまぁありの最強(なのに本人だけ気づいてない)異世界ファンタジー開幕!

処理中です...