ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

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始まった新世界

第63話 賢く行こう

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 それは、試練。

 俺達が弱いから仕方が無いんだ。

 引っ張り込まれた男達は、自身の魔力を増やすために、十階以下で周回を始める。
 そう、あの死がテーマの通路。

 五階以下は、仕入れのじゃまになるので、アッという間に下へ追われた。

「またここへ帰ってくるなんて……」
 レッドラスティネイル達から文句が出る。
 無論、彼等はジト目で見られている。

「彼等は弱いから、フォローをしてね」
 司にそう言われて、彼女達はつい答えてしまった。
「「「はい。司さん。喜んで!!」」」
 彼女達は、反射的に二つ返事……
 だが……
「いつも一緒にいてくれると思ったのに…… うそつき」
 彼女達は愕然とする。

 司は、彼女達の予想に反して、湯霧達を連れて一六階ヘと行っている。
 一六階から一九階は特殊で各フロアに精霊がいる。
 まずは、水場のフロアで、ウンディーネがフロアボスとして君臨している。

 水生モンスターのいるダンジョン。
 火を使うか、雷系または強力な水系魔法を使う必要がある。
 だが、階段を降りた瞬間から、足場が膝まである水であり、戦うにはかなり不利である。

「これはかなり辛いな」
「普通ならね。でも考え方を変えれば、問題がなくなるんだよ」
 司は男同士なので、気楽に会話をしている。
 一応、レッドラスティネイル達は女の子なので、やはり気を使って会話をしているのだ。

「どうすればいいんだろ?」
 後ろを歩く、赤の救済者たち。

「水場は足を取られるのと、魔法の威力が水により減衰をする。それをしない様にすれば楽になるんですよ」
「んんー。あっそうか」
 三浦 怜奈が何かを思いつく。

「えい」
 いきなり魔法をぶっ放し、水面が凍り始める。
「どわっ」
 当然だが、水に浸かっている彼等の足ごと凍り始める。

「間違ってはいませんが、これは駄目でしょう」
 司はいつの間にか、土魔法で水底を隆起させて立っていた。
 だが、湯霧達は足が固まる。

「げっ、動けねえ」
「でしょうね」
 司も少しあきれ顔だ。

「土魔法だったのね」
 上条 結心が腕を振る。
 すると魔法の発動と共に、彼女の大きな双球が揺れる。

 凍った水面ごと隆起が始まり、足場が出来上がる。
 バキバキと氷が割れる。

「怜奈ちゃん。少しは考えようね」
 湯霧が苦言。
「ごめんなさい」
 このメンバーだと、司もまったりムード。
 いつもの、死んでも行けという感じではない。

 足場を造りながら、彼等は進む。
 
 一六階から一九階は特殊なので、十キロも進めばフロアボスのいる特殊な舞台へ到着をする。

 そこまでに出てくるのは、サハギンやセイレーン。
 水性ゴーレムやローパー。
 そして、ドラゴニュート達。

 ローパーはイソギンチャクみたいなやつで、触手に絡められた芦屋 柚花を愛でたりして、楽しく進んだのだが、セイレーンに誘われて死にかかったり楽しく進んだ。

 今まで湯霧達は三度来ているが、いずれの回も死にそうになって戻って来ていた。

 初っぱなから、まず足場を造るなど考えもしなかった。

「やっぱり、司君はすごいな」
「いいえ。慣れているだけですよ。来ましたよ。右手二時方向」
 やって来たのは、トビウオのような大きなヒレを持った、カジキタイプの魚型モンスター。

 地面効果翼機の様に揚力を得て滑空をしてくる。
 水面効果や地面効果とは、水面や地面付近を飛ぶことにより、通常の飛行よりも少ないエネルギーで、同距離を移動できる効果であり、水鳥などはその原理を使って長距離を滑空している。
 最近では、新輸送として注目をされている技術でもある。

 水面を滑空することで船よりも圧倒的に速く、効率は飛行機の二・三倍良いのだとか。

 だがまあ、そんな理屈を利用したモンスターは高速で飛来する。
 上顎が発達したふんと翼のようなヒレ。
 ヒレは獲物を、真っ二つにする切れ味を持つ。

「来たわね」
 岸本 莉愛が正面から風の刃を飛ばす。
 だが、モンスターは風を操り速度を増す。
 司が仕方なくシールドを張り、上空へといなす。

 そして、彼女とは逆に、モンスターの後ろから風を送る。
 すると失速をして墜落……
 水面を転がっていくモンスター。
「えっ?」
「滑空を利用しているので、後ろから風を送って圧力差を消しました」
「そうなんだ」
 モンスター退治は、意外と理屈が必要なようだ。

 そして、奴らがやって来た。
 まるで、ウンディーネの住まう水宮を守護する者達のように、ドラゴニュート達達が、盾を装備して槍を持ち、きっちり整列をしてザバザバと水をかき分けてくる。

「はい。怜奈さん。今こそ氷です」
「えっ?」
「来た早々ぶちかまして、みんなが困ったでしょう。使うなら今です」
 そう言われて、やっと何のことなのかを理解した。

「えい」
 魔法が発動。

 水面が急速に凍っていく。
「もっとです。もっと強力に」
「ええっ? もっとって、凍っちゃうよ」
 困惑した顔で、司を見上げる。
 だが、平然と彼は答える。

「凍らせてください」
 そう言われて、司の狙いを理解したみんな。

「それって、ひどくない?」
「効率的と言えば効率的?」
 口々にそんな事を言われる。

 怜奈だけがあまり理解せずに、魔力を加えていく。
 彼女達も、ゾンビ狩りの周回はして、魔力の底上げ地獄は経験をしている。この位で魔力切れは起こさない。

 するとだ……
 足どころではなく、軍団が凍っていく。

 足が固まってきはじめて、整列していた連中もやばいと思ったのだろう。だが時すでに遅く、もう逃れられない。
 彼等の使える魔法は、水限定のようで逃れるすべはない。
 ジタバタしているのだが、徐々に動きが遅くなっていく。

 現れたときに、彼等はすでに死んでいた。

「真面目に戦うと手強いですからね。この方が効率的でしょ」
 そう言って司が笑う。

 彼が、手を振ると風の刃が直撃をして、ドラゴニュート軍団は微細な氷となって壊れてしまう。

「エグいわ……」
 彼女達に、少し引かれてしまった……
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