不運だけど、快楽と無双を武器に、異世界を生きていく。

久遠 れんり

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第4章 大陸統一に向けて

第44話 人外の戦い

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 その日、王都グレンデス周辺では、不思議な現象が始まる。

 モンスター達がはじけていく。
 わずか三日で態勢を整え、軍が出て行く。
 その時には、周囲からモンスターは消えていた。

 穏やかな空。
 進軍は順調で、途中の町や村を救援をしながら突き進む。

 ユキは、かなり大きくなり、ゴブリン達など腕の一振りで瞬殺。
 オークすら、一撃。
 嬉しそうに、咥えて、引きずってくる。

 もう、彼女に森の中で虐められていた面影はない。

「よーしよしよし。食っていから、引きずってくるな」
 そう言われて、エーという顔をする。

 まあ褒められたのは分かったのだろう、嬉しそうに尻尾は振っている。

 そんなこんなで、壁があった谷へ到着。

 瓦礫は、ヨシュートが到着すると、砂に戻る。

 手分けをして、埋まっていた兵達を掘り出し、街道から離れた所に埋葬をする。

 立派な石碑を建てる。
 気持ちのものだけだが、それだけで、兵達からすすり泣きが聞こえる。

「責任は取らしてやる」
 戦争だとは分かっている。
 だがそれでもだ……

 まだ見ぬ、真田 竜斗に向けて攻撃の意思を燃やす。

 真田 悠人さなだ ゆうとは、用事は済んだと、王へ謁見に行くと、兵の全滅には嫌そうな顔をされたが、壁がなくなったことを報告をして、褒賞を貰う。

 その時、皇都の周りには、幾重にも囲むモンスターのおかげで騒然としていた。

 これが後に、禍根となり悠人は、狙われることになる。

 皇帝は、早急に兵を集めて、ヒエロニムス王国へと派兵を行う。

 その時、ヨシュート達は、谷を越え、皇都に受けて進んでいた。

 途中の町でも、戦闘はあったが、先ずは降伏を求めて、聞き入れられない場合、煽動をしている貴族のみ滅する方法を採った。

 そのため、消耗なく軍は侵攻をする。

 頭をなくした軍も抵抗をするかと思ったが、神獣を連れた存在は、伝承と共に恐れられる。

 そう、若かりし頃、真田 悠人が暴れた噂が残っていた。

 それが今は、ヨシュートに対して、プラスに働いた。
 そして途中で、皇国軍と鉢合わせをする。

 双方共に、やられた恨み。

 話し合いは、折り合わず戦闘に入る。

 だが、戦場でいくつかの光が煌めく。
 それだけで数千単位で兵が消滅をする。

 流石に、自分たちが自分の魔法で影響を受けたくないから、魔法を抑えた。
 そのため、進軍の露払い的に光が煌めく。

 その光景は、新たな伝承となる。

 戦場に光煌めくとき、死はやって来る。
 何人たりとも、それからは逃げられぬ。
 光煌めく前に、逃げよ。

 そんな話が、広がっていく。

「リュート=シャナダに再度依頼を出せ。あやつは生かしておくと、国の脅威となる」
「御意」

 その頃彼は、貰った金で贅沢三昧中。
 女達を侍らせて、あの恐怖を忘れるためか、放蕩生活を送っていた。

 そこに、連絡が来る。
「皇国の危機である。速やかにさせ参上し、助力を行うこと」
 皇帝の印が押された召集令状。

 行かなければ、お尋ね一直線。
「またかよ」
 そうぼやきながら、皇都にいき、敵の情報を知る。

「光が煌めくとき人々は蒸発し、焼かれ死んでいく。あの光には重々気を付けるよう……」
 丞相アルコルが、宣言をする。


「―― はっ? 光? ひょっとしたら、白く小さなキラキラした球でしょうか?」
 そう聞かれて、報告書を読む。

「その様だな」
 それを聞いて、愕然とする。

「あれだ…… あれはだめだ」
 そう言って、逃げようとする。

「どこへ行く?」
 兵達が周りを囲む。

「いやあれは、やばい本当に」
「そんな事は分かっておるから、そちにたのんでいる。逃げるならば皇帝に反逆の意思有りとして、処理をせねばならぬが……」

 うわぁ、目がマジだ笑っていねえ……

 そう、彼の持つ力は、すでに脅威として認識された。
 反意あれば害せ。
 すでに、これは決定事項。

 彼に、逃げ場はなかった。

 翌日、彼は周りを三十人ほどの兵に囲まれて出発をする。
 そうこいつらは、護衛ではなく、見張り。

 だが、時間が進むにつれ増えていくモンスターにより、立場は逆転をする。

「おい本当に大丈夫なのか?」
「さあ、俺は大丈夫ですけどね」
 ゴブリン達は数千。
 幾ら弱くとも数は脅威。
 狼たちや、オーク。
 オーガまで混ざり始めると、三十人の兵では対処できない。

「逃げれば処せ」
 丞相アルコルから直々に命令されて、兵達はノリノリだった。
 にやけた顔の、ひ弱そうな男一人。
 皇都を出たときには、楽勝だと、そう思っていた。

 だが、すぐにモンスター達が現れて周りを囲み始める。

 そうして初めて、丞相アルコルの言った、奴は脅威である。
 その意味が理解できるようになった。

 だが、相対する敵も、さらに非常識だった。

 丁度町と町の中間、平原で出会う。

「そのモンスター達は従えているのか?」
「そうだ」
「するとお前が、真田 竜斗さなだ りゅうとかぁ」
 ヨシュートが吠える。

 だが、相手は首をひねる。
「いや、真田 悠人さなだ ゆうとだ」
「………… するとお前が、リュート=シャナダかぁ」
「えっやり直し? それに、日本人?」
 双方に、微妙な空気が漂う。

「女神から依頼を受けている」
 そう、その事をヨシュートが言ったことにより、混沌さは増す事になる……
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