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第5章 獣人国平定
第61話 企み
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「んふっ、これどう?」
「アーマーにリボンは要らんな」
「えーかわいいのに」
「ベルトーネは受付だったからな、やはりここは冒険者の私が作って貰ったこれを」
ピカピカに磨いた金属板を繋げた、すだれのような飾り。
「これはだな、上手く使えば太陽の光を反射して、相手の目を眩ませる」
「そんなのは卑怯じゃない、リボンが駄目なら、お花」
ベルトーネがリボンに喜んでいたのは、この世界にはリボンがなかった。
二人にプレゼントするときに、困ったヨシュートが頼んで作って貰った。
それを知ったベルトーネが、りぼんりぼんと喜んでいるのだ。
当然、自分に巻いて、プレゼント、からの、おいしくお食べ。と言うのも、きっちりやった。
さて、今日は出場のため、準備をしていた。
ここは控え室だ。
周りの奴らが睨んでいる。
俺が出場中は、代わりに兵が見張りとして、二人についている。
だが恐ろしいことに、兵より二人の方が強い。
「まあ変な物は付けず、行ってくる」
二人にキスをして部屋を出ていく。
「ほら、ヴァレリーがあんな物を出すから、変な物って言われたわよ」
「あんたでしょ、リボンやら花やら」
「だって、むさ苦しいじゃない、お祭りなのに」
「確かに、まあ応援席に行こう」
「けっ、神聖な戦いに、チャラチャラしやがって」
「やりますか?」
「あんな毛の無い猿をか?」
「あんなのでも、ついてる物はついているでしょ」
「そうだな、あのヨシュートとか言う奴は強い、一応人数を集めとけ、壊れるまでやっちまうか」
「けけっ、手配をしておきます」
物騒な話が、出始める。
その端っこで、やり取りを聞いていた男。
獅子系獣人、レオン。
彼は、気を付けてみておこうと、正義の血を燃え上がらせる。
虎系獣人、コアクは早々に負け、イバリーのセコンドをしていた。
「では、行ってらっしゃいませ。こちらは手配をしておきます」
「おう頼んだぜ、酒も手配しておけ」
「へい」
きっといたぶりながら、晩飯、会場をどこにするかな。
ニヤつきながら、控え室を出て行く。
さて試合だが、二回線となると多少は強者が現れて、きちんと試合の形になる。
表向きは……
組み合わせで、ちょろっと仕組まれた。
対戦者、豹系獣人アンキーは、暗殺系の組織に属している。
依頼を受けて、試合に出ているが、上位は貴族が絡んでいるので、毎回適度なところで負ける。
かれは、新人で目立つ者を潰すのが役目。
体中に、暗器を忍ばせて相手を痺れさせたり眠らせたり、その技は多彩。
無論殺すことも。
胸の一撃で、心細動などの事故はある。
バレることはないし、審判も承知している。
これで試合も、三回目の出場。
一五年か、今回の仕事は実入りが良いし、これで最後かな。
彼は感慨深げに、会場に入ると青い空を仰ぐ。
「出場者中央へ」
中央で向かい合う二人。
両者とも、力が抜けた良い感じのコンディションのようだ。
「それでは始め」
プレッシャーが襲ってくる。
「何だこいつは? さっきと違う」
長年の暗殺家業、危険予知能力は鋭い。
ヨシュートは、どう見ても棒立ち。
「だがどうしてだ。どう打ち込んでも、逆に倒されるビジョンしか浮かばない」
戦闘中につい、ぼやいてしまう。
プロとしては失格だ。
一方、ヨシュートは……
うん? 大丈夫そうだな。
獣人は、顔色が判断しにくい。
来ないなら、行くか。
前に倒れ込むように、加速。
相手の左側から、ステップで切り返して、右側へ移動。
そこで、脇腹にパンチ。
当たる瞬間に反応をしたのか、相手の体が一瞬だけ沈む。
だが、多少上から打ち下ろす感じにフック。
そう、ついやってしまったが、脇腹から加えられた衝撃は上から下への打ちおろしになった。下から上なら、体が伸びきることで多少威力が落ちる。
だが、上から下への打ちおろしは、下が地面、そして踏ん張っているため、力の逃げ道がなかったようだ。
ミシッと、いやな音がする。
そうパンチが入った付近の骨。
第一〇と第十一肋骨、そして第十二胸椎の下側にある骨を大きくゆがめる。
そうギックリ腰を知っているだろうか?
当然やって来る、痛みと腰砕け感。
脂汗が拭きだし、自分ではどうしようもなく、もだえるのみ……
一発のパンチで、その状態となってしまった。
「がはっっっ。ぐわあああぁ」
「すとーっぷ。ヨシュート選手の勝ち、担架早く」
豹系獣人アンキーは、左の脇腹を押さえて呻くだけ。
「ぐっ、がっ、こんな」
悔しそうだが、実際に動けない。
そのまま、彼は運ばれてしまった。
ヨシュートは、応援席に手を振りながら、控え室へと帰る。
その途中にすれ違った、虎系獣人イバリー。
彼は下卑た笑いを浮かべていたが、ヨシュートは相手が獣人のため、判らなかった。
控え室で落ち合い、二人と一緒に屋台の様子を見に行く。
そこでは、仲間に引っ張り込んだ毛のない獣人達が、呆然としていた。
「どうしたんだあれ?」
「ああ連中、稼いだ銭を全部ヨシュート様に掛けたそうで、返ってきた金額で目を回しているんです」
「それは良かったが、危険だな」
彼らは、やはり卑下される存在で、力も純血種よりは弱い。
「帰りは皆寮なので一緒に送っていきます。ご安心ください」
ここへ来たときに、兵達もいるので、もともと学校の寮だった屋敷を買い上げた。
今はそこに、寝泊まりさせてある。
「そうか、それなら安心だ」
ヨシュートはそう言って微笑んだが、危険はヨシュート達に向かっていた。
「アーマーにリボンは要らんな」
「えーかわいいのに」
「ベルトーネは受付だったからな、やはりここは冒険者の私が作って貰ったこれを」
ピカピカに磨いた金属板を繋げた、すだれのような飾り。
「これはだな、上手く使えば太陽の光を反射して、相手の目を眩ませる」
「そんなのは卑怯じゃない、リボンが駄目なら、お花」
ベルトーネがリボンに喜んでいたのは、この世界にはリボンがなかった。
二人にプレゼントするときに、困ったヨシュートが頼んで作って貰った。
それを知ったベルトーネが、りぼんりぼんと喜んでいるのだ。
当然、自分に巻いて、プレゼント、からの、おいしくお食べ。と言うのも、きっちりやった。
さて、今日は出場のため、準備をしていた。
ここは控え室だ。
周りの奴らが睨んでいる。
俺が出場中は、代わりに兵が見張りとして、二人についている。
だが恐ろしいことに、兵より二人の方が強い。
「まあ変な物は付けず、行ってくる」
二人にキスをして部屋を出ていく。
「ほら、ヴァレリーがあんな物を出すから、変な物って言われたわよ」
「あんたでしょ、リボンやら花やら」
「だって、むさ苦しいじゃない、お祭りなのに」
「確かに、まあ応援席に行こう」
「けっ、神聖な戦いに、チャラチャラしやがって」
「やりますか?」
「あんな毛の無い猿をか?」
「あんなのでも、ついてる物はついているでしょ」
「そうだな、あのヨシュートとか言う奴は強い、一応人数を集めとけ、壊れるまでやっちまうか」
「けけっ、手配をしておきます」
物騒な話が、出始める。
その端っこで、やり取りを聞いていた男。
獅子系獣人、レオン。
彼は、気を付けてみておこうと、正義の血を燃え上がらせる。
虎系獣人、コアクは早々に負け、イバリーのセコンドをしていた。
「では、行ってらっしゃいませ。こちらは手配をしておきます」
「おう頼んだぜ、酒も手配しておけ」
「へい」
きっといたぶりながら、晩飯、会場をどこにするかな。
ニヤつきながら、控え室を出て行く。
さて試合だが、二回線となると多少は強者が現れて、きちんと試合の形になる。
表向きは……
組み合わせで、ちょろっと仕組まれた。
対戦者、豹系獣人アンキーは、暗殺系の組織に属している。
依頼を受けて、試合に出ているが、上位は貴族が絡んでいるので、毎回適度なところで負ける。
かれは、新人で目立つ者を潰すのが役目。
体中に、暗器を忍ばせて相手を痺れさせたり眠らせたり、その技は多彩。
無論殺すことも。
胸の一撃で、心細動などの事故はある。
バレることはないし、審判も承知している。
これで試合も、三回目の出場。
一五年か、今回の仕事は実入りが良いし、これで最後かな。
彼は感慨深げに、会場に入ると青い空を仰ぐ。
「出場者中央へ」
中央で向かい合う二人。
両者とも、力が抜けた良い感じのコンディションのようだ。
「それでは始め」
プレッシャーが襲ってくる。
「何だこいつは? さっきと違う」
長年の暗殺家業、危険予知能力は鋭い。
ヨシュートは、どう見ても棒立ち。
「だがどうしてだ。どう打ち込んでも、逆に倒されるビジョンしか浮かばない」
戦闘中につい、ぼやいてしまう。
プロとしては失格だ。
一方、ヨシュートは……
うん? 大丈夫そうだな。
獣人は、顔色が判断しにくい。
来ないなら、行くか。
前に倒れ込むように、加速。
相手の左側から、ステップで切り返して、右側へ移動。
そこで、脇腹にパンチ。
当たる瞬間に反応をしたのか、相手の体が一瞬だけ沈む。
だが、多少上から打ち下ろす感じにフック。
そう、ついやってしまったが、脇腹から加えられた衝撃は上から下への打ちおろしになった。下から上なら、体が伸びきることで多少威力が落ちる。
だが、上から下への打ちおろしは、下が地面、そして踏ん張っているため、力の逃げ道がなかったようだ。
ミシッと、いやな音がする。
そうパンチが入った付近の骨。
第一〇と第十一肋骨、そして第十二胸椎の下側にある骨を大きくゆがめる。
そうギックリ腰を知っているだろうか?
当然やって来る、痛みと腰砕け感。
脂汗が拭きだし、自分ではどうしようもなく、もだえるのみ……
一発のパンチで、その状態となってしまった。
「がはっっっ。ぐわあああぁ」
「すとーっぷ。ヨシュート選手の勝ち、担架早く」
豹系獣人アンキーは、左の脇腹を押さえて呻くだけ。
「ぐっ、がっ、こんな」
悔しそうだが、実際に動けない。
そのまま、彼は運ばれてしまった。
ヨシュートは、応援席に手を振りながら、控え室へと帰る。
その途中にすれ違った、虎系獣人イバリー。
彼は下卑た笑いを浮かべていたが、ヨシュートは相手が獣人のため、判らなかった。
控え室で落ち合い、二人と一緒に屋台の様子を見に行く。
そこでは、仲間に引っ張り込んだ毛のない獣人達が、呆然としていた。
「どうしたんだあれ?」
「ああ連中、稼いだ銭を全部ヨシュート様に掛けたそうで、返ってきた金額で目を回しているんです」
「それは良かったが、危険だな」
彼らは、やはり卑下される存在で、力も純血種よりは弱い。
「帰りは皆寮なので一緒に送っていきます。ご安心ください」
ここへ来たときに、兵達もいるので、もともと学校の寮だった屋敷を買い上げた。
今はそこに、寝泊まりさせてある。
「そうか、それなら安心だ」
ヨシュートはそう言って微笑んだが、危険はヨシュート達に向かっていた。
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