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第5章 獣人国平定
第95話 理解できないなら、無視する
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「あの夜、ヨシュートやらを粛正すると……」
「言うな、それはもう忘れろ」
憲兵達の事務所では、この数日ざわざわが収まらない。
凶悪なほどの力を持つ、家々。
それが、忽然と人が消えた。
それは、ほんの一晩の出来事だ。
一件だけならまだしも、複数の家々。
彼らの強さは、ここの住人なら見知っている。
ほぼ持ち回りのように、どこかの家が獣王を務めている。
それはその家々が最強だと言うこと。
そう各国、王は獣王の下となっている。
その位の、違いがある。
各国の兵達が押し寄せてきても、キングクリムゾンは負けない。
逆に各国で、モンスターの氾濫が出たときには要請が来る。
助けてくれと、その時には各家から数人送れば事が足りる。
その位、差がある。
なのに、彼らが消えた。
まだ、残っている家はある。
町の防衛上、当面の問題は無いだろう。
まあ人々とがそんな事を言っていると、騒動が起こるものである。
ダンジョンの奥底、そこに住まうエンシェントドラゴン。
無論、生物ではない。
すでに肉体は崩れて久しい。
凶悪な黒い魔力を吹きだし纏い、それを振りまく存在。
それにより、邪悪なゴースト系が発生をして地上へと向けて這い上がる。
各階層で、迷い込んだモンスターなども闇の力を吸込み、異常増殖を始めてこのダンジョンが成り立っている。
そして、その上部に造られた都市、そこでは不気味なほど大量で凶悪な聖魔法が使われた。
そう、某屋敷に入り込んだ害獣たちを駆除をして、綺麗にするために発動をしまくった。
綺麗になあれと。
当然その強力無比な波動は、地下深くまで届く事になる。
すると当然だが、苦しいので暴れる。
闇の属性を含んだ魔力が吹き上がり、地上に向けて上昇、そして噴き出す。
「おい、ゲートの水盤が揺れてやがる」
それが示すのは、ダンジョンからの振動。
ダンジョンの中央入口、それは都市の中間に大きく口を開けた穴。
上部には神殿が造られ、封鎖を行っている。
だが物事には限度があり、それを超えるとあふれる。
鐘が鳴り響き、周囲は騒然となる。
「どうしてこんな時に?」
連絡が、各家へと届く。
当然、ヨシュートの所には来ない。
「なんだか、地揺れがしますね」
ヨシュートの部屋では、新作デザート、プリンと、新作スープ類である茶碗蒸しが試食されていた。
ふと食べたくなったから、作ってみた。
思いついたのは、茶碗蒸しの方だったのだが、蒸しているときに、デザートですかという視線が多かったのだ。
今までまんじゅうとか色々作ってみたから、蒸しているとおやつという条件を植え付けたようだ。
だから当家でも、シュウマイとか、色々作ってみたのだが、なぜかそっちは記憶に残りにくいようだ。
「それにしても、微妙に揺れるな」
「ヨシュート、出汁の混ざった卵が余りました」
「それはそっちのバットに入れて」
卵豆腐と、茶碗蒸しほぼレシピは同じだったはず。
卵と出汁が一対三のさらさらの方が茶碗蒸しで、卵豆腐は出汁が一・五だったはず。
むかしむかしの記憶。
子どもならこの三者の違いについて絶対に疑問を持つし、プリンと偽って卵豆腐を食わされた記憶があるだろう。
『ねえ、おやつは?』
『冷蔵庫にあるから食べなさい』
そう親が悪いわけでは無い。
プリンのあの容器と、角いだけの卵豆腐。
喰わない限り、それの違いを記憶することはない。
なぜか子どもの頃、親達しか卵豆腐を食べていなかったんだよね。
それはもっと小さいとき、卵豆腐を食べさせたときに、プリンと勝手に間違えて、佳人がギャン泣きをしたから食べさせることがなくなっただけ。
親子にも、歴史がある。
そして、両者は同じ器で蒸されることになる。
この時には、方や出汁の匂い。
方や牛乳と砂糖が使われて、甘い匂いがする。
茶碗蒸しは強火三分、後弱火で十分程度。
プリンは器にもよるが、二十分から三十分弱火で蒸す。
カラメルは、お好みなので別の鍋で作っている。
「さあてと、じゃあ頂きまあす」
「「「いただきます」」」
まさにその瞬間だった。
直下型のような突き上げ、家が激しく揺れる。
修繕をした時に壁は強化し、レンガ風でも中身は一体化をしてある。
ただ、ユキが持ち上げようとした器が、わずかに揺れに負けた。コロンと転がり、中身がテーブルへ。
彼女は転がり潰れたそれの表面だけを舐め、その瞬間に目が狂気をはらむ。
「当たりだった、プリンだったのに、一体? 何があったのです?」
ヨシュートの試作時に、一口だけ皆は味見をした。
その頃、詰め所では……
「突き上げが来たぞ、全員門へ向かえぇ」
「「「おおっー」」」
鬨の声は高らかに、だが、皆の行動は遅い。
氾濫した奴らが出てくる間際、普段奴らが出てこないように張られている障壁が破られた。
その時には、あのような突き上げが起こる。
凶悪なモンスター達、数千、いや数万。毎回規模は違うが、町の被害はどのくらいとなるのか?
今回は獣王戦の期間中で人も多い。
「なんとかせねば」
旧家の力添えもなく、氾濫。
ため息を付きつつ、兵達の後を追う。
その時、向かう方向に、金色の光が柱となって天を貫いた。
そしてなぜか、氾濫が起こらなかった。
目撃者によると、女が現れ、門に向かって何かを叫んでいたという。
「すみません、兵達は塀の外側に、陣を作っていた最中でして。それを見たのは少数なんです」
そう言い訳をする。
「それでその女が、魔法で一メートルくらいの丸い玉を創り上げて、ダンジョンへ放りこんだんです。そしたらあの光の柱です」
そう言って、彼らは空を仰ぐ。
そう、その後確認をすると、少なくとも十階層より地上寄りにモンスターはいなくなっていた。
その後通常へと町は戻り、平和な暮らしへ戻った。
『予兆だけで何も起こらず、ダンジョンに問題なし』
その時、何かがあったはずだが、それについて記されることはなかった。
「言うな、それはもう忘れろ」
憲兵達の事務所では、この数日ざわざわが収まらない。
凶悪なほどの力を持つ、家々。
それが、忽然と人が消えた。
それは、ほんの一晩の出来事だ。
一件だけならまだしも、複数の家々。
彼らの強さは、ここの住人なら見知っている。
ほぼ持ち回りのように、どこかの家が獣王を務めている。
それはその家々が最強だと言うこと。
そう各国、王は獣王の下となっている。
その位の、違いがある。
各国の兵達が押し寄せてきても、キングクリムゾンは負けない。
逆に各国で、モンスターの氾濫が出たときには要請が来る。
助けてくれと、その時には各家から数人送れば事が足りる。
その位、差がある。
なのに、彼らが消えた。
まだ、残っている家はある。
町の防衛上、当面の問題は無いだろう。
まあ人々とがそんな事を言っていると、騒動が起こるものである。
ダンジョンの奥底、そこに住まうエンシェントドラゴン。
無論、生物ではない。
すでに肉体は崩れて久しい。
凶悪な黒い魔力を吹きだし纏い、それを振りまく存在。
それにより、邪悪なゴースト系が発生をして地上へと向けて這い上がる。
各階層で、迷い込んだモンスターなども闇の力を吸込み、異常増殖を始めてこのダンジョンが成り立っている。
そして、その上部に造られた都市、そこでは不気味なほど大量で凶悪な聖魔法が使われた。
そう、某屋敷に入り込んだ害獣たちを駆除をして、綺麗にするために発動をしまくった。
綺麗になあれと。
当然その強力無比な波動は、地下深くまで届く事になる。
すると当然だが、苦しいので暴れる。
闇の属性を含んだ魔力が吹き上がり、地上に向けて上昇、そして噴き出す。
「おい、ゲートの水盤が揺れてやがる」
それが示すのは、ダンジョンからの振動。
ダンジョンの中央入口、それは都市の中間に大きく口を開けた穴。
上部には神殿が造られ、封鎖を行っている。
だが物事には限度があり、それを超えるとあふれる。
鐘が鳴り響き、周囲は騒然となる。
「どうしてこんな時に?」
連絡が、各家へと届く。
当然、ヨシュートの所には来ない。
「なんだか、地揺れがしますね」
ヨシュートの部屋では、新作デザート、プリンと、新作スープ類である茶碗蒸しが試食されていた。
ふと食べたくなったから、作ってみた。
思いついたのは、茶碗蒸しの方だったのだが、蒸しているときに、デザートですかという視線が多かったのだ。
今までまんじゅうとか色々作ってみたから、蒸しているとおやつという条件を植え付けたようだ。
だから当家でも、シュウマイとか、色々作ってみたのだが、なぜかそっちは記憶に残りにくいようだ。
「それにしても、微妙に揺れるな」
「ヨシュート、出汁の混ざった卵が余りました」
「それはそっちのバットに入れて」
卵豆腐と、茶碗蒸しほぼレシピは同じだったはず。
卵と出汁が一対三のさらさらの方が茶碗蒸しで、卵豆腐は出汁が一・五だったはず。
むかしむかしの記憶。
子どもならこの三者の違いについて絶対に疑問を持つし、プリンと偽って卵豆腐を食わされた記憶があるだろう。
『ねえ、おやつは?』
『冷蔵庫にあるから食べなさい』
そう親が悪いわけでは無い。
プリンのあの容器と、角いだけの卵豆腐。
喰わない限り、それの違いを記憶することはない。
なぜか子どもの頃、親達しか卵豆腐を食べていなかったんだよね。
それはもっと小さいとき、卵豆腐を食べさせたときに、プリンと勝手に間違えて、佳人がギャン泣きをしたから食べさせることがなくなっただけ。
親子にも、歴史がある。
そして、両者は同じ器で蒸されることになる。
この時には、方や出汁の匂い。
方や牛乳と砂糖が使われて、甘い匂いがする。
茶碗蒸しは強火三分、後弱火で十分程度。
プリンは器にもよるが、二十分から三十分弱火で蒸す。
カラメルは、お好みなので別の鍋で作っている。
「さあてと、じゃあ頂きまあす」
「「「いただきます」」」
まさにその瞬間だった。
直下型のような突き上げ、家が激しく揺れる。
修繕をした時に壁は強化し、レンガ風でも中身は一体化をしてある。
ただ、ユキが持ち上げようとした器が、わずかに揺れに負けた。コロンと転がり、中身がテーブルへ。
彼女は転がり潰れたそれの表面だけを舐め、その瞬間に目が狂気をはらむ。
「当たりだった、プリンだったのに、一体? 何があったのです?」
ヨシュートの試作時に、一口だけ皆は味見をした。
その頃、詰め所では……
「突き上げが来たぞ、全員門へ向かえぇ」
「「「おおっー」」」
鬨の声は高らかに、だが、皆の行動は遅い。
氾濫した奴らが出てくる間際、普段奴らが出てこないように張られている障壁が破られた。
その時には、あのような突き上げが起こる。
凶悪なモンスター達、数千、いや数万。毎回規模は違うが、町の被害はどのくらいとなるのか?
今回は獣王戦の期間中で人も多い。
「なんとかせねば」
旧家の力添えもなく、氾濫。
ため息を付きつつ、兵達の後を追う。
その時、向かう方向に、金色の光が柱となって天を貫いた。
そしてなぜか、氾濫が起こらなかった。
目撃者によると、女が現れ、門に向かって何かを叫んでいたという。
「すみません、兵達は塀の外側に、陣を作っていた最中でして。それを見たのは少数なんです」
そう言い訳をする。
「それでその女が、魔法で一メートルくらいの丸い玉を創り上げて、ダンジョンへ放りこんだんです。そしたらあの光の柱です」
そう言って、彼らは空を仰ぐ。
そう、その後確認をすると、少なくとも十階層より地上寄りにモンスターはいなくなっていた。
その後通常へと町は戻り、平和な暮らしへ戻った。
『予兆だけで何も起こらず、ダンジョンに問題なし』
その時、何かがあったはずだが、それについて記されることはなかった。
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