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依頼者シュザンヌ嬢は微笑む
第12話 理不尽
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「馬鹿野郎、お前も行け」
「えっおれ、鉄級なんだが」
そう言ったが、呆れた目でじっと見られる。
翌朝に、ユスティを送ってきたら、ギルドマスターに捕まった。
「ユスティじゃ不安だ。お前の方が強いだろ。特別に許可する」
そうオークの村、殲滅ツアー参加の方々をご案内する役目。
ユスティは、姉御と言われているが、単独クラスは黄銅、そんなに強くない。
ギルドマスターのチームに居たおかげで、無茶振りをされて、慣れない冒険者達の面倒を見ていたらそう呼ばれるようになったとか。
「それじゃあ皆さん、こちらです」
旗を作り、皆を連れて行く。
なるべく崖を見せない方から回り込む。
あそこは秘密の場所、皆の目には触れさせない。
だが森に来ると、オーク達は外に出てきていた。
「餌を逃がしたせいかな」
「だろうな」
ユスティはものすごく警戒中。
無論俺が、周辺探査をしていることは喋っていない。
「皆さん、前方二時方向にオークが二匹居ます。距離四百位ですね。どうしますか?」
「無論倒す。二時とはどっちだ?」
「そこから、かい」
まあ当然、腕時計などはないし、この世界に来て時計すら見たことがない。
「あっちだ」
こちらの方という感じで指を指す。
「四百とは?」
「四百歩くらいです」
「なんと、四百パーセ、そこまで判るのか?」
「パーセって一歩と同じ?」
「そうだな」
そんな事も知らないのかという、ユスティの冷たい目。
思わず尻を叩いてしまった。
なぜか、赤くなって嬉しそうな顔。
皆がハンドサインを確認しながら進んでいく。
俺は距離を減算しながら、方向を修正。
幾人かが周囲に展開して、数人がまっすぐオークに向かう。
少しすると、騒がしくなる。
無論叫んだりはしていないが、クッとかハッという気勢が漏れる声。
そして……
「ぐわぁ」
えーと、結構大きい声でしたが。
幸い、他のオークは気がついていないようだ。
急いで見に行く。
上級者ばかりが、我先にと行ったのだが。
一人、腕がぐしゃっとなって、骨が出てる。
「痛そうだな」
「痛い」
「だろうな」
そう言いながら、そのままだとまずそうだから、腕を引っ張り骨の位置を直す。
多少骨が減っている感じなので、それも踏まえて修復。
背後では、ユスティ達が理解をしてくれて、暴れるこいつを押さえ込んでいる。
「ふんがぁ、もがああ」
適当な、ばっちい木の枝を咥えさせられて、かわいそうだがもう少し。
「うん、いいだろう」
光が収まると、彼は失神していた。
痛みではない。
ユスティの締めが、首に入っていたからだ。
「息はしているし、すぐに気がつくだろう」
そう言うと、仲間が走ってくる。
「おお、腕が治ってやがる」
確認のためか適当に引っ張ってる。そっちには曲がらないから、関節が折れる。
「痛え」
おっ目が覚めた。
「行くよ」
まだ、実は戦っている。
援護のつもりで、火焔の槍を使った。
そう、森の中で……
オークの胸を焼きながら突き通し、背後の木が燃え始める。
「うわった」
あわてて水球をぶつける。
「魔力の無駄使いだな」
「ほっとけ」
そんな軽口を言っていたが、周囲はなにかこそこそと話し始める。
その後も指示をしながら、村へと到着をする。
だが餌がなくなったためか、数匹しかいない。
「数が少ない。とりあえず倒そう」
そう言って駆け出すが、気がつけば俺しか戦っていない。
「運搬は任せろ」
「任せろじゃねえよ。戦わないのか?」
なんでか、皆が両手を肩の辺りまで挙げる。
「君は強い、頑張れ!!」
そう言って、周りも頷いてやがる。
「だあ、もう」
仕方が無いからさっさと終わらせる。
するとだ、呆然とみていたユスティだが、俺が戻ってくるとおめめキラキラ。
「ステキ……」
そう言って抱きつかれ、グリグリとマーキング。
革鎧が刺さる痛い、金具がぁ。
「だあ、やめい」
「ええっ?」
そう言って残念そうな顔。
ただそれからも、チラチラうふふ状態。
カグラ…… 訳わかんない奴だが、好きなんだよ。
よく判らないけれど、一緒にいるとドンドン好きになる。
そして、聖魔法が使え、そして、オークの討伐に来て驚いた。
それは、まるで舞い踊るような体捌きで、あのオークを瞬殺していく。
カグラよりも、オークはあたま二つ分は大きな巨体。
それがただ、オロオロするだけで、気がつけば首が落ちる。
その時には、カグラは軽やかに次の獲物へと走る。
上位クラスのみんなが手を出さずに、カグラに頼んだ意味が分かった。
見たところ、強さは、金級以上。
俺の憧れたチーム『暁の闘志』チームリーダー、金級バーリフェルト。
いま、遠征中だが、三十二歳現役。
彼は、もっと剛健。全てをたたき伏せる感じ。だが、強さはどうだろう?
カグラの方が強いかもしれない。
そんな事を思いながら、惚れなおしていた。
そう結構、ユスティはミーハーだった。
強い男が好き、無論かわいい男も好きだが……
守ってあげないといけないと思っていた。だけど、その強さを目の当たりにして、でれでれだった。
だが、カグラは……
「あっちにいるから、誰か行けよ」
「お願いしヤース。おい誰か荷物持ち行け」
「へーい」
とっても理不尽な目にあっていた。 最強の、鉄級爆誕!!
「理不尽だぁ」
「えっおれ、鉄級なんだが」
そう言ったが、呆れた目でじっと見られる。
翌朝に、ユスティを送ってきたら、ギルドマスターに捕まった。
「ユスティじゃ不安だ。お前の方が強いだろ。特別に許可する」
そうオークの村、殲滅ツアー参加の方々をご案内する役目。
ユスティは、姉御と言われているが、単独クラスは黄銅、そんなに強くない。
ギルドマスターのチームに居たおかげで、無茶振りをされて、慣れない冒険者達の面倒を見ていたらそう呼ばれるようになったとか。
「それじゃあ皆さん、こちらです」
旗を作り、皆を連れて行く。
なるべく崖を見せない方から回り込む。
あそこは秘密の場所、皆の目には触れさせない。
だが森に来ると、オーク達は外に出てきていた。
「餌を逃がしたせいかな」
「だろうな」
ユスティはものすごく警戒中。
無論俺が、周辺探査をしていることは喋っていない。
「皆さん、前方二時方向にオークが二匹居ます。距離四百位ですね。どうしますか?」
「無論倒す。二時とはどっちだ?」
「そこから、かい」
まあ当然、腕時計などはないし、この世界に来て時計すら見たことがない。
「あっちだ」
こちらの方という感じで指を指す。
「四百とは?」
「四百歩くらいです」
「なんと、四百パーセ、そこまで判るのか?」
「パーセって一歩と同じ?」
「そうだな」
そんな事も知らないのかという、ユスティの冷たい目。
思わず尻を叩いてしまった。
なぜか、赤くなって嬉しそうな顔。
皆がハンドサインを確認しながら進んでいく。
俺は距離を減算しながら、方向を修正。
幾人かが周囲に展開して、数人がまっすぐオークに向かう。
少しすると、騒がしくなる。
無論叫んだりはしていないが、クッとかハッという気勢が漏れる声。
そして……
「ぐわぁ」
えーと、結構大きい声でしたが。
幸い、他のオークは気がついていないようだ。
急いで見に行く。
上級者ばかりが、我先にと行ったのだが。
一人、腕がぐしゃっとなって、骨が出てる。
「痛そうだな」
「痛い」
「だろうな」
そう言いながら、そのままだとまずそうだから、腕を引っ張り骨の位置を直す。
多少骨が減っている感じなので、それも踏まえて修復。
背後では、ユスティ達が理解をしてくれて、暴れるこいつを押さえ込んでいる。
「ふんがぁ、もがああ」
適当な、ばっちい木の枝を咥えさせられて、かわいそうだがもう少し。
「うん、いいだろう」
光が収まると、彼は失神していた。
痛みではない。
ユスティの締めが、首に入っていたからだ。
「息はしているし、すぐに気がつくだろう」
そう言うと、仲間が走ってくる。
「おお、腕が治ってやがる」
確認のためか適当に引っ張ってる。そっちには曲がらないから、関節が折れる。
「痛え」
おっ目が覚めた。
「行くよ」
まだ、実は戦っている。
援護のつもりで、火焔の槍を使った。
そう、森の中で……
オークの胸を焼きながら突き通し、背後の木が燃え始める。
「うわった」
あわてて水球をぶつける。
「魔力の無駄使いだな」
「ほっとけ」
そんな軽口を言っていたが、周囲はなにかこそこそと話し始める。
その後も指示をしながら、村へと到着をする。
だが餌がなくなったためか、数匹しかいない。
「数が少ない。とりあえず倒そう」
そう言って駆け出すが、気がつけば俺しか戦っていない。
「運搬は任せろ」
「任せろじゃねえよ。戦わないのか?」
なんでか、皆が両手を肩の辺りまで挙げる。
「君は強い、頑張れ!!」
そう言って、周りも頷いてやがる。
「だあ、もう」
仕方が無いからさっさと終わらせる。
するとだ、呆然とみていたユスティだが、俺が戻ってくるとおめめキラキラ。
「ステキ……」
そう言って抱きつかれ、グリグリとマーキング。
革鎧が刺さる痛い、金具がぁ。
「だあ、やめい」
「ええっ?」
そう言って残念そうな顔。
ただそれからも、チラチラうふふ状態。
カグラ…… 訳わかんない奴だが、好きなんだよ。
よく判らないけれど、一緒にいるとドンドン好きになる。
そして、聖魔法が使え、そして、オークの討伐に来て驚いた。
それは、まるで舞い踊るような体捌きで、あのオークを瞬殺していく。
カグラよりも、オークはあたま二つ分は大きな巨体。
それがただ、オロオロするだけで、気がつけば首が落ちる。
その時には、カグラは軽やかに次の獲物へと走る。
上位クラスのみんなが手を出さずに、カグラに頼んだ意味が分かった。
見たところ、強さは、金級以上。
俺の憧れたチーム『暁の闘志』チームリーダー、金級バーリフェルト。
いま、遠征中だが、三十二歳現役。
彼は、もっと剛健。全てをたたき伏せる感じ。だが、強さはどうだろう?
カグラの方が強いかもしれない。
そんな事を思いながら、惚れなおしていた。
そう結構、ユスティはミーハーだった。
強い男が好き、無論かわいい男も好きだが……
守ってあげないといけないと思っていた。だけど、その強さを目の当たりにして、でれでれだった。
だが、カグラは……
「あっちにいるから、誰か行けよ」
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「へーい」
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「理不尽だぁ」
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