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依頼者シュザンヌ嬢は微笑む
第13話 祭と凶報
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「獲ったどぉー」
なんか、働いてない奴が、元気に宣言をしながら町へと入って行く。
確かに、荷車を作ったり、担架みたいなのを作って運んだりはしたけれど、山の中を走り回り、三十二匹討伐したのは結局俺なんですが。
まあそれと、盗賊達の持ち物を見つけてきた。
それと、村はずれにうち捨てれられた盗賊による被害者は、なんか拝んでくれと言うから浄化をして埋めてきた。
ちなみに曽祖父さんは神官だったが、葬儀用の祝詞など知らないから、四国八十八箇所を回ったときに覚えた般若心経を唱えた。異世界だけど良いのかどうかは知らん。会ったのはあの女神だけだし。
そして、埋めた遺体には魔導回路が残っているけれど、浄化をすれば大丈夫らしい。
何そのご都合主義と聞いたが、そういうもんなんだと。
そうじゃないと、戦時中など、一人一人胸を開いてなどいられないとか……
そんな話しをしたせいではないが、やばいと言っていた隣国がどうも出兵を行ったらしいと、祭の挨拶でギルド長アンジェラが宣言をする。
「心つもりをしておけ」
そう言われてもなぁ。
そう思ったのは俺だけのようで、周りの皆は妙に気合いが入っている。
剣技の相手をしたアルヴィンや体術のルッジェーロなど、隣国の貴族や兵が結構流れてきている。
五年ほど前に起こった惨劇、今の王が王位を手中に収めるために、王だった父親と兄を殺し、周りの臣下を粛正した。
そして今、目の前を通る薬草街道。ヴァーラ国が街道の西、ダミアン国が東に位置して、相互に通行税を取っているが、高くするとダミアン国を迂回する道があるようで、それが気に食わないらしい。
デイク国とニスカ国に戦争を吹っかけるよりは、ヴァーラ国を奪った方が色々と都合が良いらしい。
困ったもんだ。
そんな話しをしながら、オーク肉を怖々囓る。
豚ロースのような甘みのある脂身。
振ってあるのは塩だけだが、美味い。
喰っていたものとか、小屋の中で見た物を思い出さなければ……
そしてユスティが、なぜか昨日よりも甘えん坊になっている。
横から離れないのは、ギルドマスターに対する威嚇やテューニ避けだとは思うが、それにしてもだ……
それにしても、戦争か…… 冒険者も出陣をしないといけないらしく、時間が無いなら、ユスティが暮らしていきやすいように、そして薬草の安定供給が出来るように急いで畑を作らねば。
酒も飲んでいたし、いつもより甘えんぼだったから、念入りに可愛がった。
当然、彼女朝になっても起きられず爆睡。
それを横目に、おれは金属製のバケツを持って、あの岩山に畑を作りにいく。
周辺の木をきりたおし、表土をドンドンへこみへと投げ込んでいく。
これにより岩山の崖っぷちには、簡単に近づけないようにできた。
岩に張り付いてトラバースは危ないので、扉を造る。
適当な岩をくりぬき軽くする。
レールを造ってその上を滑る様にして、扉とする。
無論岩は、あるパズルを解かないと動かないようにした。
そして最後に、キーとなる石棒を突っ込めば石がスライドできる。
簡単な寄せ木細工だが、問題はユスティが覚えられるかだよな。
まあなんとかなるだろ。
上から覗き込むと、土は満杯。
周りに杭を立てて、畑から二メートルほど上に金属製の網を張り、その上に岩の砕いたもの、つまり採石をばら撒いて、その上に表土ごと雑草を植える。
これでもし、上から覗く奴が居ても、単なる草原に見える。
後は、薬草たちと、あいつらを連れてきて、餌か……
きっと魔石も意味があるんだろうな。
光合成が必要ないのは、十分な栄養が取れるから。
それを造るのは、動物の死体と、ワーム達。
「まあ試すしかない」
全開で地獄の裂け目へと走り、岩の避け目から中へと入る。
だが此処でまたしても、バケツが入らない。
薬草は良いんだよ、そっと持ってくれば良いから。
問題は土と、あいつらだ。
布袋を持って出てみる。
奴ら、植物繊維は固いからかじれないのか、一応出てこない。
「大量には必要ないか?」
そう思い、またあの崖まで走っていく。
畑にワームが混ざった土を入れ、そこにばらしたゴブリン達をばら撒く。
そして、いくつかの薬草を植えていく。
畑の上には木の板を渡して橋にしてある。
橋脚部分は石の柱。
本当は天板も石にしようとしたが、綺麗に切ることができなかった。
「まあ良い、これでしばらく様子見だ」
そして、家に帰るとまただよ。
俺を見つけると飛んできてクンクンと体を匂いまくる。
「むう、女じゃないわね」
まだ勘ぐっているのか?
「ああ畑を作っていた」
「畑?」
「ああ薬草の畑だ、上手く行けば、定期的にじいさんのところへ持って行ってくれ」
「判った」
その利益を計算したのか、目が金貨に変化をした。
ところが翌日、寄せ木細工に散々苦労をして、畑に入ると、ワームと餌で引きつることになる。
そして、マンドラゴラの声を聞いて引っくり返る。
俺にはやかましいだけで平気なんだが、そうか普通はこうなるのか。
口から泡吹いて痙攣中。
治癒魔法で癒やす。
まあ色々あったが、一月くらいで、順調に株が増え出した。
「いけるな」
「ああ、ワームが怖いが、こんな役目があったなんて知らなかった」
どうもこいつら、凶悪なミミズのような存在らしい。
肥沃な土を造る。
ところが……
「準備をしろ、三日後に出発だ」
戦争が始まるようだ。
なんか、働いてない奴が、元気に宣言をしながら町へと入って行く。
確かに、荷車を作ったり、担架みたいなのを作って運んだりはしたけれど、山の中を走り回り、三十二匹討伐したのは結局俺なんですが。
まあそれと、盗賊達の持ち物を見つけてきた。
それと、村はずれにうち捨てれられた盗賊による被害者は、なんか拝んでくれと言うから浄化をして埋めてきた。
ちなみに曽祖父さんは神官だったが、葬儀用の祝詞など知らないから、四国八十八箇所を回ったときに覚えた般若心経を唱えた。異世界だけど良いのかどうかは知らん。会ったのはあの女神だけだし。
そして、埋めた遺体には魔導回路が残っているけれど、浄化をすれば大丈夫らしい。
何そのご都合主義と聞いたが、そういうもんなんだと。
そうじゃないと、戦時中など、一人一人胸を開いてなどいられないとか……
そんな話しをしたせいではないが、やばいと言っていた隣国がどうも出兵を行ったらしいと、祭の挨拶でギルド長アンジェラが宣言をする。
「心つもりをしておけ」
そう言われてもなぁ。
そう思ったのは俺だけのようで、周りの皆は妙に気合いが入っている。
剣技の相手をしたアルヴィンや体術のルッジェーロなど、隣国の貴族や兵が結構流れてきている。
五年ほど前に起こった惨劇、今の王が王位を手中に収めるために、王だった父親と兄を殺し、周りの臣下を粛正した。
そして今、目の前を通る薬草街道。ヴァーラ国が街道の西、ダミアン国が東に位置して、相互に通行税を取っているが、高くするとダミアン国を迂回する道があるようで、それが気に食わないらしい。
デイク国とニスカ国に戦争を吹っかけるよりは、ヴァーラ国を奪った方が色々と都合が良いらしい。
困ったもんだ。
そんな話しをしながら、オーク肉を怖々囓る。
豚ロースのような甘みのある脂身。
振ってあるのは塩だけだが、美味い。
喰っていたものとか、小屋の中で見た物を思い出さなければ……
そしてユスティが、なぜか昨日よりも甘えん坊になっている。
横から離れないのは、ギルドマスターに対する威嚇やテューニ避けだとは思うが、それにしてもだ……
それにしても、戦争か…… 冒険者も出陣をしないといけないらしく、時間が無いなら、ユスティが暮らしていきやすいように、そして薬草の安定供給が出来るように急いで畑を作らねば。
酒も飲んでいたし、いつもより甘えんぼだったから、念入りに可愛がった。
当然、彼女朝になっても起きられず爆睡。
それを横目に、おれは金属製のバケツを持って、あの岩山に畑を作りにいく。
周辺の木をきりたおし、表土をドンドンへこみへと投げ込んでいく。
これにより岩山の崖っぷちには、簡単に近づけないようにできた。
岩に張り付いてトラバースは危ないので、扉を造る。
適当な岩をくりぬき軽くする。
レールを造ってその上を滑る様にして、扉とする。
無論岩は、あるパズルを解かないと動かないようにした。
そして最後に、キーとなる石棒を突っ込めば石がスライドできる。
簡単な寄せ木細工だが、問題はユスティが覚えられるかだよな。
まあなんとかなるだろ。
上から覗き込むと、土は満杯。
周りに杭を立てて、畑から二メートルほど上に金属製の網を張り、その上に岩の砕いたもの、つまり採石をばら撒いて、その上に表土ごと雑草を植える。
これでもし、上から覗く奴が居ても、単なる草原に見える。
後は、薬草たちと、あいつらを連れてきて、餌か……
きっと魔石も意味があるんだろうな。
光合成が必要ないのは、十分な栄養が取れるから。
それを造るのは、動物の死体と、ワーム達。
「まあ試すしかない」
全開で地獄の裂け目へと走り、岩の避け目から中へと入る。
だが此処でまたしても、バケツが入らない。
薬草は良いんだよ、そっと持ってくれば良いから。
問題は土と、あいつらだ。
布袋を持って出てみる。
奴ら、植物繊維は固いからかじれないのか、一応出てこない。
「大量には必要ないか?」
そう思い、またあの崖まで走っていく。
畑にワームが混ざった土を入れ、そこにばらしたゴブリン達をばら撒く。
そして、いくつかの薬草を植えていく。
畑の上には木の板を渡して橋にしてある。
橋脚部分は石の柱。
本当は天板も石にしようとしたが、綺麗に切ることができなかった。
「まあ良い、これでしばらく様子見だ」
そして、家に帰るとまただよ。
俺を見つけると飛んできてクンクンと体を匂いまくる。
「むう、女じゃないわね」
まだ勘ぐっているのか?
「ああ畑を作っていた」
「畑?」
「ああ薬草の畑だ、上手く行けば、定期的にじいさんのところへ持って行ってくれ」
「判った」
その利益を計算したのか、目が金貨に変化をした。
ところが翌日、寄せ木細工に散々苦労をして、畑に入ると、ワームと餌で引きつることになる。
そして、マンドラゴラの声を聞いて引っくり返る。
俺にはやかましいだけで平気なんだが、そうか普通はこうなるのか。
口から泡吹いて痙攣中。
治癒魔法で癒やす。
まあ色々あったが、一月くらいで、順調に株が増え出した。
「いけるな」
「ああ、ワームが怖いが、こんな役目があったなんて知らなかった」
どうもこいつら、凶悪なミミズのような存在らしい。
肥沃な土を造る。
ところが……
「準備をしろ、三日後に出発だ」
戦争が始まるようだ。
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