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精霊国。ソルヴェイ・オーセ・ネレム姫
第72話 目的
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「えーと王太子様?」
「なんだ」
「この先には、何があります?」
刻々と変化をする獣人達の位置。
そう、次々に伝令がメモを届けに来る。
海岸線から奥へ入ると、まるで剣で切られたような丘がある。
そうカグラに記憶があれば、そこに違和感を感じたはずだ。
まるで地獄の裂け目のようだと……
彼等は、その奥にある谷へと向かっているようだ。
「知らぬ、だが谷なら水を求めているのではないか?」
簡単にそう言って捨てる。
だけど俺は、思い出す。
「この大陸は、ご神木のおかげか精霊力が濃くて、幻獣様達が暮らしているの。お山にはドラゴン様がいて、この辺りにはヒュドラー様が居るから近寄っちゃ駄目よ」
スタージアが言っていたところは、この辺りではなかったか?
彼女は読書家で色々なことを知っていた。
この兄貴は獣人と同じで脳筋なのかもしれない。
「書物で見るのと、現実は違うのね。アエクオと一緒にする行為。こんなに気持ちよくて暖かく、そして安心できる事だなんて知らなかった」
そう言って彼女は、オレの上から離れない。エロフそんな言葉が脈絡なく頭に浮かぶ。
「聞いておるのか? 兵をどう配置する」
総司令が何か言ってる。
「それを決めるのが司令では?」
「やかましい、貴公の力を見よと王からの命令だ。力の無いスタージアなど誰にくれてやってもよいと思うのだが」
そう言って、お兄様はご機嫌斜め。
俺が、精霊族ではないのも機嫌が悪い原因のようだ。
そう流れ着き、迷い込んでくるヒト族。
彼等はすぐ死んでしまうと皆が知っている。
そう、姫が俺と戯れていても、すぐに終わる関係だと思っている。
人は、寿命が短いから、次世代。
子をなすことに必死になり、それが彼女達にとって新鮮。
精霊族は、人生で数度しか発情しない。
そのための期間だけは、必死になるようだが。
「追い返すなら、彼等が向かう地点へ先回りをして迎え撃てばよいでしょう。ですが懸念があります」
「懸念? なんだ」
「ここは、スタージアが言うには、ヒュドラーの生息地だそうですが」
そう言うと、珍しくびしっと固まる。
「ヒュドラー様だと? この場所に?」
「ええ城の書庫に、書物があったそうですよ」
そう言うと、勤勉な妹のことを思い出したのだろう。
小さな頃、字が読めるようになると書庫に入り浸り、兄が折角教えようとした弓術や剣術から逃げ回った記憶。
「そういえば、本ばかり読んでいたが、まさかな。本にそんな大事な事が書かれているとは知らなかった」
彼曰く、本に書かれている物は、あてにはならないことが多く、自信が経験をして研鑽をした先に本当の解があるという。
「まあ、武術全般は、努力の必要がありますよね」
頭に通信教育とか空手とか浮かぶ。
動画サイトで見たんだと、中学校二年生の頃いきっていた友人が、ヤンキーに突撃してボコられていたな。
『人は見ただけでは強くなれない』
そんな迷言を残していた。
素人は、一ラウンド二分のスパーで立てなくなる。
実に弱き者なのだよ。
動画の達人達は、弱そうに見えても、努力により化け物になっているからおバカな事が出来る。
『人は見た目じゃない』
そんな格言もある。
逆にいきっていた友人が、ひ弱そうな奴に目をつけて虐めようとしたら、小さな頃から修行をしていたらしく、ボコられた。
水泳の時に見た彼の体は、ギリシア彫刻のようだった。
「鍛えすぎて、身長が伸びないんだよ」
彼は、幼い顔でそんな事を言っていた。
だが彼は、嘘つきだ。
高校の時にふと出会ったとき、身長が百八十センチを越えていた。
相変わらず、かわいい顔で女の子を侍らしていた。
それを見た俺は、つい、近所のキックボクシングジムに体験レッスンを受けに行って……
俺は…… 二分ではいた……
それも、ウオーミングアップで。
あの時の記憶に残った味。苦い思い出とは、こういう事を言うんだろう。知らんけど。
「なんか、よく判らん記憶はあるのになぁ」
記憶の中で呼ばれることもあるが、名前だけは口パクになる。
そんな馬鹿なことを思い出していたら、馬車の中では見えなかったのだが、進行方向で火柱が立ち上がり空へと消えたようだ。兵達が騒ぎ始める。
その後、地響きのような声が周囲に響く。
「ひいいいぃ。あの声はぁ」
お兄ちゃんが、いきなり頭を抱えて、ガクブル状態になってしまった。
無論、伝令の兵がドアを開く。
いつも、兵装をしながら馬車と併走をして、平気な感じでメモを渡してくるのはすごいと思う。
「前方に火柱。―― おそらく幻獣様だと思われます」
いつもの兵だが、顔が違っていた。
いつもほんわか顔だったのに、緊張しているのか太陽の光を無視して、劇画調のようにひと味違う迫力がある。
「司令は、苦悩…… いや思案中のようだ。保身、いや方針が決まれば通達をする。全員行軍を停止して、戦闘準備」
「はっ」
敬礼をして下がって行った。
なんかね、過去にもヒュドラ君がコロニーのひとちゅを破壊したとか、その時僕ちゃんはこわかったの…… とまあ、お兄様が子どもに戻ってしまった。
「綺麗な顔してるだろ。うそみたいだろ。漏らしてるんだぜ。それで……」
お兄様は、伝令が幻獣様と言った時、そう…… 彼は何か解放された顔で狭い馬車の中で匂いと液体が広がっていった。
俺は黙って浄化を行う。
だが症状は改善せず、おこちゃまになってしまった。
「おかしいだろ、これでも百二十五歳なんだぜ」
つい、突っ込んだのだが、俺は悪くないと思う。
俺は馬車から降り、大地に立つ!!
うん降りただけ。
「なんだ」
「この先には、何があります?」
刻々と変化をする獣人達の位置。
そう、次々に伝令がメモを届けに来る。
海岸線から奥へ入ると、まるで剣で切られたような丘がある。
そうカグラに記憶があれば、そこに違和感を感じたはずだ。
まるで地獄の裂け目のようだと……
彼等は、その奥にある谷へと向かっているようだ。
「知らぬ、だが谷なら水を求めているのではないか?」
簡単にそう言って捨てる。
だけど俺は、思い出す。
「この大陸は、ご神木のおかげか精霊力が濃くて、幻獣様達が暮らしているの。お山にはドラゴン様がいて、この辺りにはヒュドラー様が居るから近寄っちゃ駄目よ」
スタージアが言っていたところは、この辺りではなかったか?
彼女は読書家で色々なことを知っていた。
この兄貴は獣人と同じで脳筋なのかもしれない。
「書物で見るのと、現実は違うのね。アエクオと一緒にする行為。こんなに気持ちよくて暖かく、そして安心できる事だなんて知らなかった」
そう言って彼女は、オレの上から離れない。エロフそんな言葉が脈絡なく頭に浮かぶ。
「聞いておるのか? 兵をどう配置する」
総司令が何か言ってる。
「それを決めるのが司令では?」
「やかましい、貴公の力を見よと王からの命令だ。力の無いスタージアなど誰にくれてやってもよいと思うのだが」
そう言って、お兄様はご機嫌斜め。
俺が、精霊族ではないのも機嫌が悪い原因のようだ。
そう流れ着き、迷い込んでくるヒト族。
彼等はすぐ死んでしまうと皆が知っている。
そう、姫が俺と戯れていても、すぐに終わる関係だと思っている。
人は、寿命が短いから、次世代。
子をなすことに必死になり、それが彼女達にとって新鮮。
精霊族は、人生で数度しか発情しない。
そのための期間だけは、必死になるようだが。
「追い返すなら、彼等が向かう地点へ先回りをして迎え撃てばよいでしょう。ですが懸念があります」
「懸念? なんだ」
「ここは、スタージアが言うには、ヒュドラーの生息地だそうですが」
そう言うと、珍しくびしっと固まる。
「ヒュドラー様だと? この場所に?」
「ええ城の書庫に、書物があったそうですよ」
そう言うと、勤勉な妹のことを思い出したのだろう。
小さな頃、字が読めるようになると書庫に入り浸り、兄が折角教えようとした弓術や剣術から逃げ回った記憶。
「そういえば、本ばかり読んでいたが、まさかな。本にそんな大事な事が書かれているとは知らなかった」
彼曰く、本に書かれている物は、あてにはならないことが多く、自信が経験をして研鑽をした先に本当の解があるという。
「まあ、武術全般は、努力の必要がありますよね」
頭に通信教育とか空手とか浮かぶ。
動画サイトで見たんだと、中学校二年生の頃いきっていた友人が、ヤンキーに突撃してボコられていたな。
『人は見ただけでは強くなれない』
そんな迷言を残していた。
素人は、一ラウンド二分のスパーで立てなくなる。
実に弱き者なのだよ。
動画の達人達は、弱そうに見えても、努力により化け物になっているからおバカな事が出来る。
『人は見た目じゃない』
そんな格言もある。
逆にいきっていた友人が、ひ弱そうな奴に目をつけて虐めようとしたら、小さな頃から修行をしていたらしく、ボコられた。
水泳の時に見た彼の体は、ギリシア彫刻のようだった。
「鍛えすぎて、身長が伸びないんだよ」
彼は、幼い顔でそんな事を言っていた。
だが彼は、嘘つきだ。
高校の時にふと出会ったとき、身長が百八十センチを越えていた。
相変わらず、かわいい顔で女の子を侍らしていた。
それを見た俺は、つい、近所のキックボクシングジムに体験レッスンを受けに行って……
俺は…… 二分ではいた……
それも、ウオーミングアップで。
あの時の記憶に残った味。苦い思い出とは、こういう事を言うんだろう。知らんけど。
「なんか、よく判らん記憶はあるのになぁ」
記憶の中で呼ばれることもあるが、名前だけは口パクになる。
そんな馬鹿なことを思い出していたら、馬車の中では見えなかったのだが、進行方向で火柱が立ち上がり空へと消えたようだ。兵達が騒ぎ始める。
その後、地響きのような声が周囲に響く。
「ひいいいぃ。あの声はぁ」
お兄ちゃんが、いきなり頭を抱えて、ガクブル状態になってしまった。
無論、伝令の兵がドアを開く。
いつも、兵装をしながら馬車と併走をして、平気な感じでメモを渡してくるのはすごいと思う。
「前方に火柱。―― おそらく幻獣様だと思われます」
いつもの兵だが、顔が違っていた。
いつもほんわか顔だったのに、緊張しているのか太陽の光を無視して、劇画調のようにひと味違う迫力がある。
「司令は、苦悩…… いや思案中のようだ。保身、いや方針が決まれば通達をする。全員行軍を停止して、戦闘準備」
「はっ」
敬礼をして下がって行った。
なんかね、過去にもヒュドラ君がコロニーのひとちゅを破壊したとか、その時僕ちゃんはこわかったの…… とまあ、お兄様が子どもに戻ってしまった。
「綺麗な顔してるだろ。うそみたいだろ。漏らしてるんだぜ。それで……」
お兄様は、伝令が幻獣様と言った時、そう…… 彼は何か解放された顔で狭い馬車の中で匂いと液体が広がっていった。
俺は黙って浄化を行う。
だが症状は改善せず、おこちゃまになってしまった。
「おかしいだろ、これでも百二十五歳なんだぜ」
つい、突っ込んだのだが、俺は悪くないと思う。
俺は馬車から降り、大地に立つ!!
うん降りただけ。
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