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精霊国。ソルヴェイ・オーセ・ネレム姫
第73話 獣人達の目的
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獣人の住むアニマージュ大陸。
ここでは基本、十年に一度、獣王が決定される。
例外的に、獣王が力が無くなった時や、病気などで決定戦が行われる事もある。
それはいいとして、その数年前から武者修行と称して皆が蠢き始める。
霊山に住むエンシェントドラゴンや、古城に住まうケルベロスなどのモンスターが力試しの対象となる。
倒されることはほとんど無いが、倒れてもケルベロスなどは数年で復活をする。
精霊族の住まうスピリオス大陸は精霊力が充満しているが、こちらでは黒き力も噴き出している。
スピリオス大陸と反対側に、腐った大陸と呼ばれているデモニウム大陸が存在をしている為だと言われている。
そこに住む彼等は、黒き力の影響か魔人族と呼ばれて、異形な者達が多い。
そうそんな力試しは、伝承をあてにして、スピリオス大陸へまで遠征の足が伸び蹂躙される。
それが、定期的な幻獣種が暴れる原因である。
彼等は、寝た幻獣に手を出して彼等を起こし、手に負えなくて逃げ帰る。
怒り狂った幻獣達は、一通り暴れて疲れると眠りにつく。
そうそんな、はた迷惑な祭を彼等は行っていた。
ちなみに、デモニウム大陸へ渡って、帰って来た者はいない。
そこは、鬼が住まう所。足でいける身近な地獄だと言われている。
さて、そんな事情など俺達精霊族側は知らない。
雄叫びを聞いて、実はお兄様だけではなく兵達の中にも失禁や拘束を受けた人間がいるようで、声の成分に魔法が乗ったスタン効果があったようだ。
俺は、それを解除するため皆に声をかける。
「さあ皆、元気を出せ。あのヒュドラに向かって駆けていこう。コロニーの皆を守るためだ」
状態異常解除と沈静の波動。
一般的に、暗示と呼ばれる物。
悪いが意図的に使わせて貰った。
「あっ、副司令官殿」
びしっと敬礼される。
本当は他種族などに従うのはいやだろうに、神獣であるシーサーペントと共に現れた人。神の使いだと噂をされて、お姫様であるスタージアのお気に入り。
おもしろくなくとも従わなくてはいけない。
それに、兵達の多くは先日の蜂騒動で、俺を見かけたし助けた者達もいる。
意外と、受け入れられている気がする。
再び、叫び声とブレス。
今度は空にではなく、地面へ向けて。
「何かを狙っているな」
「はっ。多分獣どもではないかと」
伝令君が横にやってくる。
見えなかったヒュドラ君の姿が、木の上へと現れる。
「大きいな。それに黒くて立派だ。あの鱗、魔法とか矢は通じるのか?」
「はい。全く通じません。過去の戦いで実証されております」
なぜか嬉しそうに彼は答える。
「君名前は?」
「はい。元副司令官アンネセサリー・シングと申します。副司令官殿」
「あーそうか。頑張れ」
「はい。命令無くともがんばります」
名前は、体を現すと言うが本当のようだ。
だが今は、獣人達の行く末を見守ろう。
森が焼かれ、まるでゴ○ラのようだ。
あっちへヒュゴー、こっちへヒュゴー思い思いに火を噴いている。
頭が多いから、効率的だな。
それに、物理的な化学変化ではなく、口元に魔法陣が浮かんでいる。
つい、火を噴こうとした時に干渉をしてみる。
上手くいったようで、カパッと口を開けたが火が出ない。
ついでに、もう少し干渉をする。
魔法陣が展開をされて、今だ。
「うりゃ」
「なんのかけ声ですか?」
「見てればわかる」
「へぇー…… なんですかあれ?」
元副司令官君は驚いてくれたようだ。
ヒュドラは、自身の口の中に向かって火を噴いた。
そう魔法陣が浮かぶのなら、それに干渉をして反転させた。
これで首が六つあろうが八つあろうが怖くはない。
「行くぞ」
ヒュドラは暴れているが対処の仕方が分かったので、近くへ向けて歩き始める。
―― 俺達は力試しのために、この大陸にまでやって来た。
大陸間の海峡はなぜか嵐が吹き荒れる難所。
そう、そこを越えるだけでも英雄と言われる。
それを、なんとか越えてきた。
同じ考えの奴らは俺以外にもいたようだ。
だが俺は、獣人の王になる。
自身の結婚のために。
彼は、キャバレットという形態の飲み屋で、虎族のミミちゃんを気にって通っていた。
彼女は、一緒にいるとうにゃうにゃと甘えてくる、かわいい子だ。
店外ではまだ会ってくれないが、きっと獣王になれば付き合ってくれるだろうと淡い期待を抱き、努力をしていた。
なんとか船を買い、この大陸へと渡ってきた。
同時期に出た奴らの、三分の二は荒波により転覆をしたようだ。
そして、ついに伝説を見つけた。
周りに居る連中は十人程度。
他の奴らは、まだ探しているのだろう。
「眠っているようだ、誰から行く?」
ここに来て、日和った奴がいるようだ。
確かに、伝承よりでかいし、鱗におおわれて固そうだし、何をどうやっても勝てそうに無いが、俺は特製のバトルアクスを、振り上げる。
「俺は獣人最強種、獅子族だぁ。くらえぇ」
それは渾身の力で振り下ろされて、鱗にあたり火花とともに柄の部分から異音。
軽量化のために中空にしたのが祟ったのか、もう一度と振り上げると先が飛んで行ってしまった。
俺は恥ずかしいやら何やらで、刃の部分を追いかける。
思ったより飛び、崖下の森にまで飛んでしまった。
「畜生もたもたしていると、獲物を盗られちまう」
高さ三メートルくらいの崖を降りる。
その時だ、咆哮が聞こえて体が動かなくなった。
そして、周囲の森を巨大な炎が蹂躙をしていく。
「何が一体……」
ここでは基本、十年に一度、獣王が決定される。
例外的に、獣王が力が無くなった時や、病気などで決定戦が行われる事もある。
それはいいとして、その数年前から武者修行と称して皆が蠢き始める。
霊山に住むエンシェントドラゴンや、古城に住まうケルベロスなどのモンスターが力試しの対象となる。
倒されることはほとんど無いが、倒れてもケルベロスなどは数年で復活をする。
精霊族の住まうスピリオス大陸は精霊力が充満しているが、こちらでは黒き力も噴き出している。
スピリオス大陸と反対側に、腐った大陸と呼ばれているデモニウム大陸が存在をしている為だと言われている。
そこに住む彼等は、黒き力の影響か魔人族と呼ばれて、異形な者達が多い。
そうそんな力試しは、伝承をあてにして、スピリオス大陸へまで遠征の足が伸び蹂躙される。
それが、定期的な幻獣種が暴れる原因である。
彼等は、寝た幻獣に手を出して彼等を起こし、手に負えなくて逃げ帰る。
怒り狂った幻獣達は、一通り暴れて疲れると眠りにつく。
そうそんな、はた迷惑な祭を彼等は行っていた。
ちなみに、デモニウム大陸へ渡って、帰って来た者はいない。
そこは、鬼が住まう所。足でいける身近な地獄だと言われている。
さて、そんな事情など俺達精霊族側は知らない。
雄叫びを聞いて、実はお兄様だけではなく兵達の中にも失禁や拘束を受けた人間がいるようで、声の成分に魔法が乗ったスタン効果があったようだ。
俺は、それを解除するため皆に声をかける。
「さあ皆、元気を出せ。あのヒュドラに向かって駆けていこう。コロニーの皆を守るためだ」
状態異常解除と沈静の波動。
一般的に、暗示と呼ばれる物。
悪いが意図的に使わせて貰った。
「あっ、副司令官殿」
びしっと敬礼される。
本当は他種族などに従うのはいやだろうに、神獣であるシーサーペントと共に現れた人。神の使いだと噂をされて、お姫様であるスタージアのお気に入り。
おもしろくなくとも従わなくてはいけない。
それに、兵達の多くは先日の蜂騒動で、俺を見かけたし助けた者達もいる。
意外と、受け入れられている気がする。
再び、叫び声とブレス。
今度は空にではなく、地面へ向けて。
「何かを狙っているな」
「はっ。多分獣どもではないかと」
伝令君が横にやってくる。
見えなかったヒュドラ君の姿が、木の上へと現れる。
「大きいな。それに黒くて立派だ。あの鱗、魔法とか矢は通じるのか?」
「はい。全く通じません。過去の戦いで実証されております」
なぜか嬉しそうに彼は答える。
「君名前は?」
「はい。元副司令官アンネセサリー・シングと申します。副司令官殿」
「あーそうか。頑張れ」
「はい。命令無くともがんばります」
名前は、体を現すと言うが本当のようだ。
だが今は、獣人達の行く末を見守ろう。
森が焼かれ、まるでゴ○ラのようだ。
あっちへヒュゴー、こっちへヒュゴー思い思いに火を噴いている。
頭が多いから、効率的だな。
それに、物理的な化学変化ではなく、口元に魔法陣が浮かんでいる。
つい、火を噴こうとした時に干渉をしてみる。
上手くいったようで、カパッと口を開けたが火が出ない。
ついでに、もう少し干渉をする。
魔法陣が展開をされて、今だ。
「うりゃ」
「なんのかけ声ですか?」
「見てればわかる」
「へぇー…… なんですかあれ?」
元副司令官君は驚いてくれたようだ。
ヒュドラは、自身の口の中に向かって火を噴いた。
そう魔法陣が浮かぶのなら、それに干渉をして反転させた。
これで首が六つあろうが八つあろうが怖くはない。
「行くぞ」
ヒュドラは暴れているが対処の仕方が分かったので、近くへ向けて歩き始める。
―― 俺達は力試しのために、この大陸にまでやって来た。
大陸間の海峡はなぜか嵐が吹き荒れる難所。
そう、そこを越えるだけでも英雄と言われる。
それを、なんとか越えてきた。
同じ考えの奴らは俺以外にもいたようだ。
だが俺は、獣人の王になる。
自身の結婚のために。
彼は、キャバレットという形態の飲み屋で、虎族のミミちゃんを気にって通っていた。
彼女は、一緒にいるとうにゃうにゃと甘えてくる、かわいい子だ。
店外ではまだ会ってくれないが、きっと獣王になれば付き合ってくれるだろうと淡い期待を抱き、努力をしていた。
なんとか船を買い、この大陸へと渡ってきた。
同時期に出た奴らの、三分の二は荒波により転覆をしたようだ。
そして、ついに伝説を見つけた。
周りに居る連中は十人程度。
他の奴らは、まだ探しているのだろう。
「眠っているようだ、誰から行く?」
ここに来て、日和った奴がいるようだ。
確かに、伝承よりでかいし、鱗におおわれて固そうだし、何をどうやっても勝てそうに無いが、俺は特製のバトルアクスを、振り上げる。
「俺は獣人最強種、獅子族だぁ。くらえぇ」
それは渾身の力で振り下ろされて、鱗にあたり火花とともに柄の部分から異音。
軽量化のために中空にしたのが祟ったのか、もう一度と振り上げると先が飛んで行ってしまった。
俺は恥ずかしいやら何やらで、刃の部分を追いかける。
思ったより飛び、崖下の森にまで飛んでしまった。
「畜生もたもたしていると、獲物を盗られちまう」
高さ三メートルくらいの崖を降りる。
その時だ、咆哮が聞こえて体が動かなくなった。
そして、周囲の森を巨大な炎が蹂躙をしていく。
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