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第6話 彼は誰?
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付き合いを重ねながら、色々な所を見せて貰う。
会社の事務所だったり、自宅だったり。
そんな中で、キスまでは許した。
その先は怖かったし、なんと言うか、私の中で何かが囁くの。
看護師の経験? 何かがおかしいと……
でもね、恋愛経験が少なく、そう、高層マンションの上階。彼の家で夕日を眺めながらキスした後から、彼のことを信じ始めたのも確か。
当然の様に体を求めてくるから、それは結婚までは嫌と断った。
「すまない。短期の貸借で、会社関係者以外の知り合いが少なくてね」
百万円以下の借金。
目的は、OA関連の借り換え。
「一時的に保証金のようなものを、入れないといけなくてね。ほら、問屋さんとかに保証金を入れるだろう。あれみたいなものだよ」
「ごめんなさい、私商売の取引とか、そちらのことをよく知らなくて」
そう言うと、彼は笑って答えながら私の頭をなでる。
「ごめん。つい社員相手のようなつもりで喋ってしまった。でも君は社長夫人となるんだ。多少は覚えてくれると嬉しいな」
そんな事を言って……
そして、確かに保証人となった書類は、数日後に破棄と言うか目の前で破かれたが、破って良いのか気になった。
そして次々に見せられる数千万円とかの契約書。
そう会った時に、彼は早く来て必ず仕事をしている姿を見せる。
「デートの時に、すまないね。だけど今君のために、少し手を広げているんだ」
そう君のために、手を広げている。
それは、私が体を許さないから、手じまいをしてほかを見つけるために忙しかったということ。とりあえず少額でも取れれば良いさと考えたようだ。
金を直接借りると警戒される。
だから、偽造書類で借金をして、保証人だけを獲物に書かせていた。
本物は隠し、紛れ込ませる。
幾つも書いた書類の中に、本物の借金は隠されていた。
目の前で、順調に破られる偽の借用書。
愚かにも、騙された私。
ある日、見知らぬ人達が私の部屋を訪れる。
それは、十一月の初め。
彼が姿を見せなくなって二週間後だった。
そして彼の手がかりを訪ねると、そこには何もなく、それどころか有栖川 優翔その人自体が居なかった。
そして、見知らぬ名前が書かれた借用書。
全部集めると一千万円近くあった。
看護師三年したって、貯金は多くはない。
だけど全てを、持って行かれた。
親に言っても、お金はないらしく、『自分の借金なら、自分でなんとかしろ』そう言って私は捨てられた。
毎月、親に対して五万くらい送っていたから、貯金がなかったのに。
「どうしよう?」
私は呆然としながら、退職金に期待をして、強引にやめた。
「本当なら一月前に届けを出して貰って……」
云々かんぬんと、説明とも愚痴ともいえそうなものを聞かされた。
「一千万円すぐに必要なんです。貸してくれるなら、退職をしなくて良いのですが?」
「特別に手続きを急いでやりましょう」
急に態度が変わり、実にスムーズに手続きは終了をした。
そして口座に三十万円程度の入金があった日、振り替え不能だった料金の一部がいきなり引き落とされた。
「ひいぃ、これは駄目」
あわてて、残り二十五万円を握りしめ、家を出た。
ここに居れば、奴らがやって来る。
「お嬢ちゃん。紹介しようか? 割の良いお仕事。おじちゃん通うよ」
断ったが、名刺は置いて行かれた。
『人材派遣、ペットスタッフ。あなたの欲望に応えます』
オプションは別料金となります。基本料金一時間から……
「あーこれは、デリバリー的なあれかしら?」
オプション一覧で、私は気持ち悪くなった。
スペシャルドリンク、聖水って何?
まあ名刺を捨てようとしたが、念のために鞄へと押し込み、街へと消えた。
「―― あーだるい。親父には殴られるし、退学だし。あの正義の味方マン達許さねえぞ」
阿久井 霧掛は、海野 深海と組んで詐欺をおこなったが曝かれて退学となった。
その後、過去の悪さまでが露呈をする。
やり捨てをしていた女達。
中には金を捻出するために、売りまでさせられた子がいた。
それも、複数人。
そう彼は、金回りの良い姿を見せる裏で、そんな事をしていた。
無論それは知れ渡り、警察にご厄介となる。
拘留中に親が何とかした様だが、それにより家から追い出される。
まあ追い出されるというより、自分が家から逃げたのだが……
自宅内軟禁状態で、家から一歩も出してもらえなかった。
「やってられるかよ」
そうして家を出て、彼は連れの家を点々とする。
その中で、得意な事。
「ねえ、彼女時間ある? 助けてくれない」
彼は親からの暴力で家から逃げていると説明をして、見知らぬ女性達を騙していく。
意外と、駅前とかでかたまり、だべっている女の子グループに声をかけると、誰かから助けやんなよとフォローが入り、家へと上がり込める。金を出して貰い、失ったスマホなどをそろえていく。
相手は、ペットでも飼っている感じで世話をしてくれたり。
そう善意に付け込み、彼は復活していく。
詐欺師として。
会社の事務所だったり、自宅だったり。
そんな中で、キスまでは許した。
その先は怖かったし、なんと言うか、私の中で何かが囁くの。
看護師の経験? 何かがおかしいと……
でもね、恋愛経験が少なく、そう、高層マンションの上階。彼の家で夕日を眺めながらキスした後から、彼のことを信じ始めたのも確か。
当然の様に体を求めてくるから、それは結婚までは嫌と断った。
「すまない。短期の貸借で、会社関係者以外の知り合いが少なくてね」
百万円以下の借金。
目的は、OA関連の借り換え。
「一時的に保証金のようなものを、入れないといけなくてね。ほら、問屋さんとかに保証金を入れるだろう。あれみたいなものだよ」
「ごめんなさい、私商売の取引とか、そちらのことをよく知らなくて」
そう言うと、彼は笑って答えながら私の頭をなでる。
「ごめん。つい社員相手のようなつもりで喋ってしまった。でも君は社長夫人となるんだ。多少は覚えてくれると嬉しいな」
そんな事を言って……
そして、確かに保証人となった書類は、数日後に破棄と言うか目の前で破かれたが、破って良いのか気になった。
そして次々に見せられる数千万円とかの契約書。
そう会った時に、彼は早く来て必ず仕事をしている姿を見せる。
「デートの時に、すまないね。だけど今君のために、少し手を広げているんだ」
そう君のために、手を広げている。
それは、私が体を許さないから、手じまいをしてほかを見つけるために忙しかったということ。とりあえず少額でも取れれば良いさと考えたようだ。
金を直接借りると警戒される。
だから、偽造書類で借金をして、保証人だけを獲物に書かせていた。
本物は隠し、紛れ込ませる。
幾つも書いた書類の中に、本物の借金は隠されていた。
目の前で、順調に破られる偽の借用書。
愚かにも、騙された私。
ある日、見知らぬ人達が私の部屋を訪れる。
それは、十一月の初め。
彼が姿を見せなくなって二週間後だった。
そして彼の手がかりを訪ねると、そこには何もなく、それどころか有栖川 優翔その人自体が居なかった。
そして、見知らぬ名前が書かれた借用書。
全部集めると一千万円近くあった。
看護師三年したって、貯金は多くはない。
だけど全てを、持って行かれた。
親に言っても、お金はないらしく、『自分の借金なら、自分でなんとかしろ』そう言って私は捨てられた。
毎月、親に対して五万くらい送っていたから、貯金がなかったのに。
「どうしよう?」
私は呆然としながら、退職金に期待をして、強引にやめた。
「本当なら一月前に届けを出して貰って……」
云々かんぬんと、説明とも愚痴ともいえそうなものを聞かされた。
「一千万円すぐに必要なんです。貸してくれるなら、退職をしなくて良いのですが?」
「特別に手続きを急いでやりましょう」
急に態度が変わり、実にスムーズに手続きは終了をした。
そして口座に三十万円程度の入金があった日、振り替え不能だった料金の一部がいきなり引き落とされた。
「ひいぃ、これは駄目」
あわてて、残り二十五万円を握りしめ、家を出た。
ここに居れば、奴らがやって来る。
「お嬢ちゃん。紹介しようか? 割の良いお仕事。おじちゃん通うよ」
断ったが、名刺は置いて行かれた。
『人材派遣、ペットスタッフ。あなたの欲望に応えます』
オプションは別料金となります。基本料金一時間から……
「あーこれは、デリバリー的なあれかしら?」
オプション一覧で、私は気持ち悪くなった。
スペシャルドリンク、聖水って何?
まあ名刺を捨てようとしたが、念のために鞄へと押し込み、街へと消えた。
「―― あーだるい。親父には殴られるし、退学だし。あの正義の味方マン達許さねえぞ」
阿久井 霧掛は、海野 深海と組んで詐欺をおこなったが曝かれて退学となった。
その後、過去の悪さまでが露呈をする。
やり捨てをしていた女達。
中には金を捻出するために、売りまでさせられた子がいた。
それも、複数人。
そう彼は、金回りの良い姿を見せる裏で、そんな事をしていた。
無論それは知れ渡り、警察にご厄介となる。
拘留中に親が何とかした様だが、それにより家から追い出される。
まあ追い出されるというより、自分が家から逃げたのだが……
自宅内軟禁状態で、家から一歩も出してもらえなかった。
「やってられるかよ」
そうして家を出て、彼は連れの家を点々とする。
その中で、得意な事。
「ねえ、彼女時間ある? 助けてくれない」
彼は親からの暴力で家から逃げていると説明をして、見知らぬ女性達を騙していく。
意外と、駅前とかでかたまり、だべっている女の子グループに声をかけると、誰かから助けやんなよとフォローが入り、家へと上がり込める。金を出して貰い、失ったスマホなどをそろえていく。
相手は、ペットでも飼っている感じで世話をしてくれたり。
そう善意に付け込み、彼は復活していく。
詐欺師として。
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