新しい年、新しい自分、変わる切っ掛けは…… 一つの出逢い

久遠 れんり

文字の大きさ
8 / 29

第8話 人の関わり

しおりを挟む
  奈木は合宿免許の宿舎で、暇になり適当に男を食い荒らす。

 そんな中、夕食がてらにやって来た居酒屋。
 当然男子からの誘い。

 見知った男達の端に、一人だけ年代の違う男がやって来た。
 その男は冬野 和彦という人だが、最初は居場所がないような感じで、オロオロしていた。
 だけどそれを紛らわせるためか、その人は一人、ビールを飲み始める。
 ほかは、大学生達だし、皆二十歳は超えていないおこちゃま達で、私もノンアル。

 それは良いけど、どう見ても男子に私はぶられている?
 横に居る女の子達に、自己アピールがすごい。

 皆一度はやった仲なのに、薄情じゃない……
 目の前でほかの女を口説くのは、私でも多少心に来るわ。

 あー、やり過ぎた?
 一度いって立たないのを強引に…… 指を突っ込んで、前立腺を刺激したのがまずかったのかしら? まあ、いいけどね。


 和彦は合宿免許を取りに来て知りあった男、仲間内に奏汰かなたと呼ばれる奴に声をかけられた。
「こんちは、同じ宿舎ですよね」
 彼は若者らしく、物怖じしない感じで軽く接してくる。
 羨ましい性格だ。

「そうだね」
「あの宿舎最悪でしょう。シャワーの圧が低いし、温度が勝手に変わるし、それに比べて女の子の方は充実しているんですよ。料金は同じなのに、あの格差は何って言う感じっす」
「そうなのか? それは許せんな」
 そこから実技についてとか、筆記で本試験には引っかけ問題が出るとか、いろいろ話をするようになった。

 ふつうに、見知らぬ奴との他愛ない会話。
 なんだか、昔に戻ったようで、凍っていた心がほぐれていく。

 あの事が起こるまでの平凡な日々。
 そういえば、吉田達は元気だろうか?
 あの連絡の後、当時のお俺は心がささくれていたため、励ましが白々しく感じて…… ついブロックアンド削除をしてしまった。

「聞いてます? 十八時半にあそこの居酒屋ですからね」
「えっ? わりい何だって?」
「女の子達も来るんで、飯を食うって言う話です。もう数に入ってますから。それで俺達狙っている子がいるんで、冬野さんは月野って言う子をお願いしますね。あの子すぐやれますから。ただテクも性欲もすごいんで、多分プロっすよ。あっ、飯代は割り勘です」
 そう言って彼は、実技の車へと走っていった。

 なんか昔を懐かしんでいたら、勝手に話が決まっていた。
 狙っている子がいるから、月野をよろしくだと? すぐやれる? テクも性欲もすごいって、やったんかい……

 お古がじゃまで、押しつけるって……
 意外と性格が悪いな。
 思わず彼がやっている姿を想像する。
 そう、俺はどーてーだ。
 若いのに、けしからん。

「だけどまあ、子どもが居る以上、世の夫婦はやることをやっているよな」
 昔漠然と思っていた、仕事をして結婚をして子育て。
 うちの両親も仲はよかった。

 親父は俺を、スパッと切り捨てて、居ないものとしたが、母さんはそれでも最低限は世話をしてくれた。
「もう居ないんだよなぁ……」
 まともに顔を合わせたのは、いつだったか……
 あんな親だったが、ふと思い出す幸せだった頃。
 

 約束は約束、どちらにしろ飯は必要だし、ぷらぷらと出かける。
 だがまだ、人が多いと怖い。
 普段は平気でも、フラッシュバック的にあの頃の目を思い出す。
 冷たい目、嘲るような顔。
 店の中を見回し、俺のことを見ていない事実を見て安心をする。
 そうあの時とは違う、誰も俺のことなど気にしちゃ居ない。そう言い聞かす。

「冬野さん。こっちです」
 奏汰が手を振っているのを見つける。
 軽く手を上げて、それに応える。

 四対五。女の子が多い。
 その中に髪の毛が顎先に合わせたワンレンショートで金髪、左耳と小鼻にピアス。耳の方は耳の外側、耳輪に沿って、輪っかが並んでいた。キャプティブビーズリングと言うらしい。

 そして舌の先の方でも、ブルーの石がコロコロとしていた。
 当然俺は、ちょっと引く。
 だが場所がそこしか空いていないという事は、この子が月野って言う子なのだろう。
 こんな子に手を出したのか、ある意味奏汰って勇者だな。

「となり失礼」
「はいどうぞ、いらっしゃいませぇ」
「これはご丁寧にどうも。いらっしゃいました」
 緊張で言葉が不自由だ。

 そのままビールをジョッキで頼む。
 そして、乾杯をした後、気がついた。
 皆未成年なんだ……

 それに気がついた瞬間、ものすごい場違い感が押し寄せる。
 だが、丁度良いかもしれない。
 酔って散らそう。

 そうして、はみだした俺と彼女は、なんか話し込んで盛り上がった。
「悲しい冬野さん、もっと話をしたい。行こ」
「あーちょっと待て、まだ注文する奴居るか?」
 本当に彼らは、食事だけ。
 酒飲みのように、うだうだはあまりないようだ。
 それとも、早く二人っきりになりたいのか、大体意中の相手と上手くいったようだ。

「オッサンは金持ちだから、ここは払う」
 そう宣言すると、皆は一瞬困った顔になる。

「聞けば大学生みたいだし、金は大事だろ。それに俺の飲み代が一番高い。まあ気にするな」
 まあ酔った勢いで、宣言もしたし、レシートを持って席を立つ。

 その後ろから、彼女は少し複雑な顔をして付いてきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

噂の聖女と国王陛下 ―婚約破棄を願った令嬢は、溺愛される

柴田はつみ
恋愛
幼い頃から共に育った国王アランは、私にとって憧れであり、唯一の婚約者だった。 だが、最近になって「陛下は聖女殿と親しいらしい」という噂が宮廷中に広まる。 聖女は誰もが認める美しい女性で、陛下の隣に立つ姿は絵のようにお似合い――私など必要ないのではないか。 胸を締め付ける不安に耐えかねた私は、ついにアランへ婚約破棄を申し出る。 「……私では、陛下の隣に立つ資格がありません」 けれど、返ってきたのは予想外の言葉だった。 「お前は俺の妻になる。誰が何と言おうと、それは変わらない」 噂の裏に隠された真実、幼馴染が密かに抱き続けていた深い愛情―― 一度手放そうとした運命の絆は、より強く絡み合い、私を逃がさなくなる。

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
【全16話+後日談5話:日月水金20:00更新】 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

課長と私のほのぼの婚

藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。 舘林陽一35歳。 仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。 ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。 ※他サイトにも投稿。 ※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

処理中です...