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第六章 魔王と獣人族
第98話 中央棟
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殺気で倒れたため。もう一度、水を飲ませて三人を起こす。
男二人は問題ないが、一人は女性。
触れただけでビクッとして、水を飲ますが妙な色気がでる。
口の端からこぼれた水が、淫靡な雰囲気を醸し出す。
「王様。ありがとうございます」
そう言って、彼女は何故か抱きついてくる。
好実達が、部屋へ入ってきていないのが幸いだ。
「近くの町へ送っても良いが、これからこの都市を探索する。君達はどうする?」
「「「お供いたします」」」
「おおう。そうか」
「やっぱり居ないな」
周りをキョロキョロしていた兵が、ぼそっとつぶやく。
「どうした?」
「あの、捕まったのは五人なんです」
それを聞いて、ナジェジュダを睨む。
「あー多分。一人はすでに亡くなったと。もう一人は、さっきの体を創る素材になっていたんじゃないかと思います」
盛大にキョドり、大汗をかいている。
「残念だが、亡くなったそうだ」
「エリーナとアーヴィン。もう少し頑張れば、生きて帰れたのに……」
「リッチは、どうなったのでしょうか?」
聞かれて、関係者は固まる。
「ああまあ。この世からリッチは居なくなったから、結果的に退治をしたで良いのかな?」
「ああ、素晴らしいです。魔王様ですら、手出しが出来なかったのに」
それを聞いて、セルビリが胸を押さえて、膝をつく。
「ああ。魔王様すみません。つい本当のことを」
「はうっ」
あっ、四つん這いになった。
「まあ。必要な物がないなら、行こうか。目的地は中央棟? だったよな」
「そうです」
捕らえられていた兵は、プテリダ周囲の哨戒中だったようだ。
リッチが出れば、警報を鳴らし、行き先を見守る。
少し離れた町へも、人を攫いに来るため、必要な任務。
それをリッチは捕まえて、無慈悲に餌として連れて行く。
捕まった五人の中で、生き残ったのは、男二人と女一人。
男がダーシー=ブルートンとウィリアム=エッカート。
女性が、アリダ=デ=パオリと言って、彼女は魔人族の中でもパオリ族という部族の人間だそうだ。
当然名字に、パオリが入っているので部族長の関係者。
ただ、それだけだが、嬉しそうに自己紹介をしてくるので、まあ。
空中回廊は、意外と丈夫でまだ使えた。
「かなり、技術が高かったようだな」
周りを見回し、感想を言うと、好実が嫌そうな顔をしてぼやく。
「ただ。これだけ複雑で、同じ景色だと迷いそうね」
好実は、駅でも出口を間違えるからな。
案内板や地図を見て、逆に行くのが得意技だったな。
それなら、行こうと思った方の逆へ行ってみたらと言ったら、きっちり逆に行くというおまけ付き。よく分からない。
「そうだな」
やっとのことで、中央棟へたどり着く。
意外とでかいし、高い。
窓を数えると、八階建てくらいある。
四つの建物と、中央に尖塔。
ずんぐりむっくりの、ミサイルのような形だな。
中は、基本四元素で分けられていて、その中央研究所となっている様だ。
つまり元々は、ここで研究が始まり、四方にのびた。
そして、分類できない事象が発見されて、中間の建物が出来たという事だろう。
「あそこから、中央の尖塔へいけます。尖塔は、各研究の発表場となっていて、上部は各属性四長の部屋と、都市の長がいる部屋があります。大事な物とか封印されている物は地下です」
そう言って、ナジェジュダが、張り切って道案内をする。
属性棟から、尖塔へ向かうと、連絡橋の途中で違和感を感じる。
「ここ、結界というか、シールドが動いているな」
干渉はあるが、物理的に通れないわけではない。
「多分外からは入れますが、中からは出られない障壁ですが、非常に稚拙」
フレイヤが解説をしてくれる。
「基本はいつも使っている物と、同じなんだな」
「そうですね。何か来ますよ」
フレイヤの声と同時に、骨達が歩いてきた。
「あんなスケルトンみたいな奴が、この世界にも居るんだな」
俺がそう言うと、今だという感じで、好実達が背中に張り付いてくる。
「ちょっと、あんた。魔王軍の兵士でしょ。隠れていないで戦いなさいよ」
美葉に文句を言われたのは、さっき助けたアリダ。
「あんな骨。無理です」
「まあ。この前覚えたし聖魔法で助けられるなら、助けてみようか」
そう言って、魔力を錬って放出をする。
術を受けた骨達は、ゾンビへと変化。
理性のない、ただ動き回り、人を襲う肉体となった。
「これって、十八禁ね」
美葉がつぶやく。
「そうだね。一旦スケルトンになった者達は、肉体を戻しても、魂が人のそれとは違うらしいな」
「蘇生魔術が、禁呪の由縁ですよね」
共食いまでし始めたから、浄化を強烈に当てる。
まばゆい光の中で、再び肉体はなくなり、最後には骨まで消えていく。
「これからは、素直に浄化をしよう」
俺達には、普通の行動だが、一緒に居る兵達には非常識の塊だったようだ。
かなり驚いている。
骨が肉体を取り戻した?
この人達って。
そんな頃。
エドガー達の小隊は、真っ直ぐな道を見つけて、困惑をしながらも馬で駆けていく。
「隊長ここって、例の場所ですよね」
「位置的には、もう入っているはずだ」
副官のプックと共に、エドガーは困惑をする。
そして見えてくる、見たことがない都市。
「あれって、なんでしょう?」
プックは、答えの出ないだろう問いを、エドガーに投げかける。
だがその答えは、ありえそうなもので、非常に興味深かった。
「わからん。ひょっとすると、伝説のリギュウムディかもな」
二人のテンションは、高まっていく。
男二人は問題ないが、一人は女性。
触れただけでビクッとして、水を飲ますが妙な色気がでる。
口の端からこぼれた水が、淫靡な雰囲気を醸し出す。
「王様。ありがとうございます」
そう言って、彼女は何故か抱きついてくる。
好実達が、部屋へ入ってきていないのが幸いだ。
「近くの町へ送っても良いが、これからこの都市を探索する。君達はどうする?」
「「「お供いたします」」」
「おおう。そうか」
「やっぱり居ないな」
周りをキョロキョロしていた兵が、ぼそっとつぶやく。
「どうした?」
「あの、捕まったのは五人なんです」
それを聞いて、ナジェジュダを睨む。
「あー多分。一人はすでに亡くなったと。もう一人は、さっきの体を創る素材になっていたんじゃないかと思います」
盛大にキョドり、大汗をかいている。
「残念だが、亡くなったそうだ」
「エリーナとアーヴィン。もう少し頑張れば、生きて帰れたのに……」
「リッチは、どうなったのでしょうか?」
聞かれて、関係者は固まる。
「ああまあ。この世からリッチは居なくなったから、結果的に退治をしたで良いのかな?」
「ああ、素晴らしいです。魔王様ですら、手出しが出来なかったのに」
それを聞いて、セルビリが胸を押さえて、膝をつく。
「ああ。魔王様すみません。つい本当のことを」
「はうっ」
あっ、四つん這いになった。
「まあ。必要な物がないなら、行こうか。目的地は中央棟? だったよな」
「そうです」
捕らえられていた兵は、プテリダ周囲の哨戒中だったようだ。
リッチが出れば、警報を鳴らし、行き先を見守る。
少し離れた町へも、人を攫いに来るため、必要な任務。
それをリッチは捕まえて、無慈悲に餌として連れて行く。
捕まった五人の中で、生き残ったのは、男二人と女一人。
男がダーシー=ブルートンとウィリアム=エッカート。
女性が、アリダ=デ=パオリと言って、彼女は魔人族の中でもパオリ族という部族の人間だそうだ。
当然名字に、パオリが入っているので部族長の関係者。
ただ、それだけだが、嬉しそうに自己紹介をしてくるので、まあ。
空中回廊は、意外と丈夫でまだ使えた。
「かなり、技術が高かったようだな」
周りを見回し、感想を言うと、好実が嫌そうな顔をしてぼやく。
「ただ。これだけ複雑で、同じ景色だと迷いそうね」
好実は、駅でも出口を間違えるからな。
案内板や地図を見て、逆に行くのが得意技だったな。
それなら、行こうと思った方の逆へ行ってみたらと言ったら、きっちり逆に行くというおまけ付き。よく分からない。
「そうだな」
やっとのことで、中央棟へたどり着く。
意外とでかいし、高い。
窓を数えると、八階建てくらいある。
四つの建物と、中央に尖塔。
ずんぐりむっくりの、ミサイルのような形だな。
中は、基本四元素で分けられていて、その中央研究所となっている様だ。
つまり元々は、ここで研究が始まり、四方にのびた。
そして、分類できない事象が発見されて、中間の建物が出来たという事だろう。
「あそこから、中央の尖塔へいけます。尖塔は、各研究の発表場となっていて、上部は各属性四長の部屋と、都市の長がいる部屋があります。大事な物とか封印されている物は地下です」
そう言って、ナジェジュダが、張り切って道案内をする。
属性棟から、尖塔へ向かうと、連絡橋の途中で違和感を感じる。
「ここ、結界というか、シールドが動いているな」
干渉はあるが、物理的に通れないわけではない。
「多分外からは入れますが、中からは出られない障壁ですが、非常に稚拙」
フレイヤが解説をしてくれる。
「基本はいつも使っている物と、同じなんだな」
「そうですね。何か来ますよ」
フレイヤの声と同時に、骨達が歩いてきた。
「あんなスケルトンみたいな奴が、この世界にも居るんだな」
俺がそう言うと、今だという感じで、好実達が背中に張り付いてくる。
「ちょっと、あんた。魔王軍の兵士でしょ。隠れていないで戦いなさいよ」
美葉に文句を言われたのは、さっき助けたアリダ。
「あんな骨。無理です」
「まあ。この前覚えたし聖魔法で助けられるなら、助けてみようか」
そう言って、魔力を錬って放出をする。
術を受けた骨達は、ゾンビへと変化。
理性のない、ただ動き回り、人を襲う肉体となった。
「これって、十八禁ね」
美葉がつぶやく。
「そうだね。一旦スケルトンになった者達は、肉体を戻しても、魂が人のそれとは違うらしいな」
「蘇生魔術が、禁呪の由縁ですよね」
共食いまでし始めたから、浄化を強烈に当てる。
まばゆい光の中で、再び肉体はなくなり、最後には骨まで消えていく。
「これからは、素直に浄化をしよう」
俺達には、普通の行動だが、一緒に居る兵達には非常識の塊だったようだ。
かなり驚いている。
骨が肉体を取り戻した?
この人達って。
そんな頃。
エドガー達の小隊は、真っ直ぐな道を見つけて、困惑をしながらも馬で駆けていく。
「隊長ここって、例の場所ですよね」
「位置的には、もう入っているはずだ」
副官のプックと共に、エドガーは困惑をする。
そして見えてくる、見たことがない都市。
「あれって、なんでしょう?」
プックは、答えの出ないだろう問いを、エドガーに投げかける。
だがその答えは、ありえそうなもので、非常に興味深かった。
「わからん。ひょっとすると、伝説のリギュウムディかもな」
二人のテンションは、高まっていく。
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