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第2章 広がる世界
第69話 佐藤君との再会
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私は、柳瀬瑠衣。
親にはさんざん高校なんか行くことはない。働けと言われたが、学校の先生の説得により。高校へは、何とか通うことが出来ることになった。
そして、通い出した高校の教室には、不思議な男の子が居た。
この学校は公立なので、家から近いとか、そんな理由で通っている人もいるのだろう。けれど、私の前に座る。男の子は尽く(ことごとく)やっていることが、不自然だった。
運動をしても、体力測定などをすれば、中間位。でも、スポーツをしていると、うっかりなのか、全力がでるときがある。競技中は。山なりでも届かない。いや届かせない。外野からの返球。それが、何かの拍子に、彼の近くへ球が来た時には、そのままピッチャーの胸元へと、矢のような返球。
クラスの皆も最初の内は、あいつは手抜きをせずに、まともにすればすごいのに。
何でしないのだろうと、頭を悩ませていた。
普通そんな手抜きをすれば。馬鹿にでもされているのかと、嫌われそうだが、彼の人柄と、自分はバレずに手抜きができていると。本気で思っている。その態度に、皆は、おかしさの方が勝ってしまったようである。
それは勉強の方でも同じ。数学では、基礎問題では間違えるのに、誰もが頭をひねる応用問題の、難しいものを先生が試しで出した時の事。
その時。何か別の事をしていたのだろう。先生の言ったことを、聞いていなかったのか。前に出て、この問題を解けと言われた彼は、すたすたと前へと出ていき。答えを書いていた。
その時。覗き見ると、彼の机には図解ターボファンエンジンの効率化と設計。性能流体解析。と言う。訳の分からない本が開かれていた……。
よほど、その本が気になっていたのか。答えを間違えるのを忘れて、完璧な回答を済ませ。慌てて席へと帰り、また読みふけっていた。
先生も、書かれた回答を見て、しばらく口を開けたまま。固まっていたのが、おかしかった。
そんな、変な彼だが、相田ケンスケ、鈴原トウジ君達と仲が良いみたいで、二人とは年齢にあった話をしている。
彼女がどうとかも、良く話をしていた。その日は、委員長の高橋さんが話を聞きつけて、話へ割り込み。がやがやと言い合いをしていた。するとなぜか、佐藤君と付き合うなんて言う事になっていた。
私は、そのときなぜか。胸の奥が苦しくなった。
私も立候補すると言いたくなったが。……でも、私なんかが、佐藤君と付き合えば。親の事で、迷惑になると思い。その一歩が、出せなかった。
そんな彼が、1週間後。事故で亡くなった。
その後の、委員長の落ち込みはひどいものだったが、自然と彼の座っていた席へと集まり。相田君達と、佐藤君のばれていない行動の不自然さについて、悪口を言っていたおかげか。少しずつ、明るさを取り戻していた。その間に、私も混ざり話をするようになっていた。そんな委員長も、半年前に事故で無くなり、集まることはなくなった。
さみしくなった学校。
そうして半年。私も死んじゃったが、『はじまりのむら』。ここで再開するなんて。
それも、彼と同じ家に住める。
私は、頭を悩ませていた、親たちからも別れ。少しテンションも上がっていた。
そして、祭りとか言うのが終わり。
彼の住む家。
居間へと、腰を落ち着けて、囲炉裏を囲んでいた。
男の子が一人いるけれど、他は女ばかり。
外人さんも、2人いる。
何なのこの家? 順番に自己紹介を受けているけれど、頭に入らない。
何なの? りりっていう子。佐藤君にべったりで、巫女だと言っているけれど。佐藤君。神様なの? 委員長、香織ちゃんが、そんな私を見て。「まあ慣れるわよ」と笑っている。けれど、本当に? なれることが、出来るのかしら。
少し狭いけれど、と言って、部屋をくれた。
改装したての様で、木目が綺麗。
ベッドへ入り、疲れていたのか。すぐに意識を落としてしまった。
夜中に、トイレへ行きたくなり。目が覚めた。
そっと部屋をでる。
間接光の灯った。素敵な廊下を、トイレへと向かう。
トイレは洗浄便座だった。
自宅のトイレに、こんなものが付いているなんてすごい。
囲炉裏のあるおうちなのに。コンビニで、初めて使って。感動した私。
そっと、トイレから出てくると。どこかで、話し声が聞こえる? いえ? これは……。
少しすると、台所に一番近い部屋から、女の人が出て来た。
「ちょっと待っててね。久美ちゃんは、動けないでしょうから、私が持ってくるわ。お茶と、今日はやっぱり饅頭よね」
そう言って、長瀬さんが出て来た。
あの人って隆君のお母さんと言っていたのに。あの部屋は佐藤君の部屋よね。どういうことなの?
私は、頭がぐるぐるしながら、廊下で立ち尽くしていた。
「あら? 今日来た。瑠衣ちゃんじゃない。眠れないの? まあ。色々あった、初めての夜だから。仕方ないかな?」
そんな事を言ってくれる。
長瀬さんだが。
「そこって、佐藤君の部屋ですよね? どうしてあなたが……」
私がそう言うと、長瀬さんは最初。きょとんとしていたが、何かを悟った顔をして…… 私の手を取った。そしてそのまま、部屋へと引っ張り込まれた。
親にはさんざん高校なんか行くことはない。働けと言われたが、学校の先生の説得により。高校へは、何とか通うことが出来ることになった。
そして、通い出した高校の教室には、不思議な男の子が居た。
この学校は公立なので、家から近いとか、そんな理由で通っている人もいるのだろう。けれど、私の前に座る。男の子は尽く(ことごとく)やっていることが、不自然だった。
運動をしても、体力測定などをすれば、中間位。でも、スポーツをしていると、うっかりなのか、全力がでるときがある。競技中は。山なりでも届かない。いや届かせない。外野からの返球。それが、何かの拍子に、彼の近くへ球が来た時には、そのままピッチャーの胸元へと、矢のような返球。
クラスの皆も最初の内は、あいつは手抜きをせずに、まともにすればすごいのに。
何でしないのだろうと、頭を悩ませていた。
普通そんな手抜きをすれば。馬鹿にでもされているのかと、嫌われそうだが、彼の人柄と、自分はバレずに手抜きができていると。本気で思っている。その態度に、皆は、おかしさの方が勝ってしまったようである。
それは勉強の方でも同じ。数学では、基礎問題では間違えるのに、誰もが頭をひねる応用問題の、難しいものを先生が試しで出した時の事。
その時。何か別の事をしていたのだろう。先生の言ったことを、聞いていなかったのか。前に出て、この問題を解けと言われた彼は、すたすたと前へと出ていき。答えを書いていた。
その時。覗き見ると、彼の机には図解ターボファンエンジンの効率化と設計。性能流体解析。と言う。訳の分からない本が開かれていた……。
よほど、その本が気になっていたのか。答えを間違えるのを忘れて、完璧な回答を済ませ。慌てて席へと帰り、また読みふけっていた。
先生も、書かれた回答を見て、しばらく口を開けたまま。固まっていたのが、おかしかった。
そんな、変な彼だが、相田ケンスケ、鈴原トウジ君達と仲が良いみたいで、二人とは年齢にあった話をしている。
彼女がどうとかも、良く話をしていた。その日は、委員長の高橋さんが話を聞きつけて、話へ割り込み。がやがやと言い合いをしていた。するとなぜか、佐藤君と付き合うなんて言う事になっていた。
私は、そのときなぜか。胸の奥が苦しくなった。
私も立候補すると言いたくなったが。……でも、私なんかが、佐藤君と付き合えば。親の事で、迷惑になると思い。その一歩が、出せなかった。
そんな彼が、1週間後。事故で亡くなった。
その後の、委員長の落ち込みはひどいものだったが、自然と彼の座っていた席へと集まり。相田君達と、佐藤君のばれていない行動の不自然さについて、悪口を言っていたおかげか。少しずつ、明るさを取り戻していた。その間に、私も混ざり話をするようになっていた。そんな委員長も、半年前に事故で無くなり、集まることはなくなった。
さみしくなった学校。
そうして半年。私も死んじゃったが、『はじまりのむら』。ここで再開するなんて。
それも、彼と同じ家に住める。
私は、頭を悩ませていた、親たちからも別れ。少しテンションも上がっていた。
そして、祭りとか言うのが終わり。
彼の住む家。
居間へと、腰を落ち着けて、囲炉裏を囲んでいた。
男の子が一人いるけれど、他は女ばかり。
外人さんも、2人いる。
何なのこの家? 順番に自己紹介を受けているけれど、頭に入らない。
何なの? りりっていう子。佐藤君にべったりで、巫女だと言っているけれど。佐藤君。神様なの? 委員長、香織ちゃんが、そんな私を見て。「まあ慣れるわよ」と笑っている。けれど、本当に? なれることが、出来るのかしら。
少し狭いけれど、と言って、部屋をくれた。
改装したての様で、木目が綺麗。
ベッドへ入り、疲れていたのか。すぐに意識を落としてしまった。
夜中に、トイレへ行きたくなり。目が覚めた。
そっと部屋をでる。
間接光の灯った。素敵な廊下を、トイレへと向かう。
トイレは洗浄便座だった。
自宅のトイレに、こんなものが付いているなんてすごい。
囲炉裏のあるおうちなのに。コンビニで、初めて使って。感動した私。
そっと、トイレから出てくると。どこかで、話し声が聞こえる? いえ? これは……。
少しすると、台所に一番近い部屋から、女の人が出て来た。
「ちょっと待っててね。久美ちゃんは、動けないでしょうから、私が持ってくるわ。お茶と、今日はやっぱり饅頭よね」
そう言って、長瀬さんが出て来た。
あの人って隆君のお母さんと言っていたのに。あの部屋は佐藤君の部屋よね。どういうことなの?
私は、頭がぐるぐるしながら、廊下で立ち尽くしていた。
「あら? 今日来た。瑠衣ちゃんじゃない。眠れないの? まあ。色々あった、初めての夜だから。仕方ないかな?」
そんな事を言ってくれる。
長瀬さんだが。
「そこって、佐藤君の部屋ですよね? どうしてあなたが……」
私がそう言うと、長瀬さんは最初。きょとんとしていたが、何かを悟った顔をして…… 私の手を取った。そしてそのまま、部屋へと引っ張り込まれた。
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