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第2章 広がる世界

第82話 国名を決めよう。 その2

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 俺たちが、そんな話をしていると。
 いつの間にか、なんだか場が、しんみりしている?

「どうなったのですか?」
「いや。生まれ変わり。人生をやり直すとか、心機一転などと言っていて、火の鳥から、日出ずる国に落ち着いたんだよ」

「まあ。そこまで話が行った後に。誰かが日本が良いなと言い出してね。どうこう言っても、俺たちは日本人だよなとなって。この状態さ」

「あーまあ。そうですね。その意識は、理解できますね」

「じゃあ。にっぽんにするかい?」
「いや。さすがに同じはちょっと。日本でも、正式には現在でも読みが定まっていないようですが。にほんかにっぽんか。一応定めようと言った時には、にっぽんとなったようですけれど」

「そうなのか?」
「にほんごとか、にっぽんぎんこうでしょう?」
「そう言えば、そうか?」
「某放送局は、にっぽんと言っています」
「じゃあ良いじゃないか。にほんにしよう」

「そうですね。でもうーん。……昔は、日本国と書いてひのもとの国と、呼んでいたらしいですけれどね。大化の改新(たいかのかいしん)ですから645年くらい? まあ国号は、大和の国だった? ようですけど。大和の国は、どこかの潜水艦になりますし、日本国と書いて、ひのもとと読めば、向こうの日本も諸外国をごまかすには便利かもしれませんけれど」
「なるほど、輸入元。日本国かい?」
「そうですね。一度言ってみましょうか? こちらの住人の、心情を含めて」
「なるほど。中で暮らすには、日本(にほん)で良いんだな?」
「そうですね。決めないでおきましょう」

 そして。
「じゃあ、装置を組んでみましょうか」
 そう言って、家の工房へと、神地さんを連れて行く。


 少し大きめの枠を、2つ作り。魔石を2つに分ける。
 通信装置を付けて、片側には空間魔法を展開できるように。

「どうやって、空間魔法を使えるんですか?」
「いや。普段通りで、良いんじゃないか?」
「最初にやってみて、できなくて。精霊を頼って使っています。ほかの物は、魔法の実行を、自分でできるので。理解ができるのですけれど」
「うーん? 俺も分からないなぁ。精霊に聞いても、できるじゃんで終わるしな」

「危ないので、やりませんが。最初にA点とB点を繋ごうとしたら、空間を縮めようとしたみたいで。空気を圧縮してしまったんです。当然、その後はボンですよ」
「あーわかる」

「普段。普段ねえ。……普段さあ。目的の所へ、ゲートを開く感じじゃないかい?」
「言われてみれば。……そうですかね?」
「空間を飛び越えて、先へポンと、繋ぐ」
「ちょっと、やってみましょうか」
 外へ出て、発電機を置く建物の手前を見る。そこへゲート。ゲートねえ。

 そう言えば、自分の空間を間に入れて。
 繋ぐんだったか。トンネルをイメージして、開通させて開く。目を開けると、黒い渦が出来ていた。石を投げ込み。向こう側を見る。

「あっ、できた」
「どれ」
 そう言って、神地さんが飛び込んだ。
 にゅっと出て来て。
「大丈夫そうだね」
「創ったばかりで、危ないのに」
「だいじょうぶ。だったよ」

「それで、どうやったの?」
「向こうと此処を、自分で作ったトンネルで、つなぐ感じです」
「トンネルか。中は亜空間庫の一種なのかな?」
「まあ、基本は同じじゃないんですか?」

「それを使えば、ウナギの運搬もできそうだよね」
「ああ。普通のだと、中で時が止まるのか。生き物。死んじゃいますよね」

「まあ、魔法の理屈は分かったし。ゲートを造っちゃいますね」
 そう言って、目標の片割れの魔石を見つけ。
 ゲートを繋ぐ魔法を組み込む。
 この作業は、明確なイメージを、構成している物質に刻み込むだけなので、簡単だ。

 形は、長方形で、上部が丸い形。
 扉は、つけてはいけない気がして。つけていない。
 動作をしていないときには、単なる枠で向こうが見える。

 起動ワードは「起動」。こっちが起動していれば、機能制限側のくぼみに魔石を入れれば通話機能が使えるようになる。着信が来れば。
 こちら側で呼び出しが鳴る様にしよう。
 音が鳴っている時に「通話」のキーワードで、音が止まり通話ができる。
 これで良いか。

 神地さんと試して、問題が無いようなので、同じものを作る。
「ねねの村に設置してくる」
 そう言って、消えてしまった。

 その間に、ウナギ運搬用の亜空間庫を試すが、気を抜くと従来の物になるため。鞄に機能を固定して、運搬用魔法のカバンを作った。
 試しているうちに、普通の亜空間庫に首を突っ込んでしまい。入れた瞬間意識の喪失が起こりそうになって、慌てて首を抜いた。危険な武器が作れそうだ。

 後は、物を軽く運ぶため。
 重力コントロールを考えたが、できなかった。

 どうやら、物質同士の引き合う力を、重力とイメージしているみたいで、磁力のようだが、非常に弱く。物質すべてに、持っている力の様だ。質量数に比例する感じだな。
 反発するものを、作らないと駄目だな。



 しばらくして、神地さんが帰って来たが、村人が神の国へ通ずる門だと言い始めて、安置するための建物を建て始めたらしい。
「まいったよ。それと今晩。奥さんとねねの事について話し合いをするから。円満に解決するために。シーサーペントの肉頂戴」
 そう言って、手を出して来た。

「それ。話し合いとか、説得じゃ。ないですよね」
「いいじゃない。くれよ。沢山あるんだろう。言葉で語るか、肉体で語るかだ。仲良くなればいいだけだから。だから。なっ」
 いい大人。それも男の駄々を捏ねる姿は、気持ち悪いことを理解した。

 シーサーペントのお肉と一緒に、ウナギ運搬用かばんを渡す。
 口のサイズ以上は、どうやっても入らなかったので大き目だ。
 口以上に入り口を拡大すると、持ち手を持つ自分が、引き込まれそうになったので没にした。
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