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第2章 広がる世界

第85話 再会と困惑の両家

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 仕事場と学校にいた家族へ。
 異世界対策室から連絡が入り。
 急遽車に乗せられ。途中から、ヘリコプターに乗り向かったのは。
 国会議事堂の近く。
 建物に到着して、そのままエレベーターで降りていく。

 部屋に通されて、少し待っていると、死んだはずの普人が大臣たちと入って来る。

 そこで少し話をして。
「失礼、お子さんで間違いありませんか?」
 そう聞かれる。

「ええ。そうです。間違いありません」
 聞いてきた人は、何かをチェックをしていた。

 そのあとは、聞いてはいけないような話を聞かされ。
 ひたすら、普人が褒められている。

 普人が魔法?を使って、みんなを驚かせ。
 向こうの国? の話をしている。
 本当にこの人は、普人なのだろうか? 不安になって来た。

 帰りは、小型のバスで送ってもらい。
 家の前で下ろしてもらったが、神地さんと言う方と勝政さんと話をして、いきなり提案される。
「一度、向こうの家を見せよう」
 そう言って、いきなり目の前に黒い渦が出てきた。
 この人たち、悪魔じゃないわよね。

 みんなでくぐると、抜けた先は村だった。

 神地さんと言う方と勝政さんという方は、村長の家へ、話をしに行くと言って、離れて行った。

「行こうか。僕の家は、あれだよ」
 そう言って指さす。大きめの家。

 歩きながら、聞いてみる。
「この家は、どうしたの?」
「基本的に家は、共有財産で、村から借りている」
 そんな決まりのようだ。

 躊躇なく、ドアを開け。
 中へ入っていく普人。
 外観は、古民家を改修や改築をした感じ。
「おかえりなさい」
 そう言って、奥から女の子が出てくる。

「日本での、家族だ。両親と妹」
 普人にそう言われ、女の子は座ると。

「普人さんの家族になっています。瀬尾佳代です。よろしくお願いします」
 そう言って、頭を下げてきた。

 こっちの家族? と思っていると、普人が
「こっちでは、婚姻がないんだ。一緒に住めば家族さ」
「じゃあ、お嫁さんなの」
「まあ。みたいなもの」
 そう聞いて、慌てて挨拶を返す。

 すると、瀬尾さんは、みんなを呼んできます。
 そう言って、奥へと入っていく。

 みんな? すると奥から声が聞こえ、幾人もやってくる。
「普人君の家族が来てる。みんな集合」
 どたばたと、足音が聞こえてくる。

 ずらっと女の子が並ぶ。その中に、見知った女の子を発見する。
 それと男の子も?
「みんな家族で、あの男の子は長瀬隆。みゆきの子供。この見た目だけど、今4つかな。それで、外国人二人は、二人とも巫女で良いのかな?」
 りりとみみが頭を下げる。

「神である普人様と、ご家族に仕えております。りりとみみでございます」

「まあ。一度、上がってもらおう」
 そう言って座敷に集まり。お茶を出す。
 この時から、妹。結月の目つきが、おかしくなってくる。

 一通り挨拶をした後。父さんと母さんは、何とも言えない顔をしていた。

「あなたは確か、香織さんよね。来なくなったと思ったら。こちらに来ていたの?」
「ご無沙汰をしています。同じ場所で、事故にあって。死んじゃったみたいで。気が付けばここへたどり着いて。ちょっとあれですが、念願かなって一緒に暮らしています」
「そう。念願かなって良かったけれど。皆さん。この状態でいいの?」
 みんなが、キョトンとする。

「あの、普人は一人で、皆さんお相手でしょう。やきもちとかそんなのは? 大丈夫なの」
「川瀬久美です。久美と呼んでください。お母さんのご心配はもっともですが、ここは、日本でありません。男が圧倒的に少ない。それはまあ別にして、彼の愛を一人で受ける? そんなの無理です」
 みんなが、うんうんと頷く。家族に、何暴露しているんだよ。

 見ろ。家族が真っ赤になったじゃないか。

「それで、香織。一緒に日本へ一度帰って、挨拶してこないか」
「ああそうね。一緒に暮らしている報告ね」
「別の世界で生きていることは、連絡が行っているだろうが。顔を見せれば、心労が減るみたいだし」
 そう言うと、親たちが頷く。

「特段理由がなければ、みんなも順に向こうへ行こう」
「そうね。ありがとう」

「佐藤君いいかい。帰るよ」
「はーい。行きます。じゃあ制限もあるし。一晩で帰って来る」


 そう言って、みんなでゲートをくぐる。

 場所は、うちの前。
「私は、家へ帰る」
 そう言って、妹は家に入ってしまった。

「俺はそうだな、明日の夕方に、ここへ迎えに来るよ」
 そう言って、神地さんも帰っていった。

「ご挨拶するなら、手ぶらじゃいけないわね」
「恰好は? 形は違うが奥さんとして貰ったのだろう」
「この年でもう。子供の結婚でご挨拶に行くの? 考えてもいなかったわ。普人あなた、こっちで生きていた時は、平均にあれだけ拘(こだわ)っていたのに。向こうへ行ったら、限界突破でも覚えたの?」
「いや、こっちで拘っていたのは。父さん母さんが、普通で居ろと子供の時言ったからだよ」
「そうなのか。それは悪いことを言ったな。時間もないし、行こう。正式なものが必要なら、日を改めてすれば良い」

 そう言って、香織の勧めで、クッキーの詰め合わせと、欲しがったショートケーキを人数プラス2個と、妹の為に2個買って、亜空間収納に確保した。


 香織が駆け寄り、チャイムを押す。
「はい」
 という声と共に、ずどどど、ごんという音がして、靴下のままのお母さんだろう。
 腰をさすりながら、飛び出して来た。

 チャイムの上に、カメラが付いていたから見たのか。
「ただいま」
 香織がそういうと、がしっと抱き着かれた。

「本当に。生きていたのね」
「そうか。協会の人には、聞いていてのね」
 そう聞くと、うんというように、頷くお母さん。

 そこでふと、俺たちの存在に気が付いたようで。
「この方たちは?」
「この子が、佐藤普人君。こっちでいたとき、ええと高1の時。週末に挨拶しに来るって言って、事故で来られなかった人」
 そう言われて、思い出したのか。お母さんは、ああと言う顔をする。

「そう、あなたが。そちらはご両親で……。 少し、お待ちください」
 そう言って、家の中に帰っていったが、ガタガタという音や、掃除機の音がしている。
「ごめんなさい」
 香織が謝る。
「いや、急に来たしね」
 待つこと、15分くらいかな。

「お待たせしました。どうぞ、おあがりください」
 そう言われて、俺たちは家にお邪魔させてもらった。

 居間に通されて、机をはさみ。向かいあっている。
「私は佐藤普人です。こちらが両親。高校生の時に、娘さんとお付き合いさせていただいて、1週間ほどで。事故で死んでしまいまして、挨拶に伺えませんでした。申し訳ありません」
「いえいえ、事情が事情ですしね。普通なら、来られても怖いですし」
 そう言われて、場が和む。

「それで、今回来る予定はなかったのですが、急に話が決まりまして、それなら香織のご両親にも、顔見せとご挨拶をと考えまして。ご連絡もなく。申し訳ありません」
「主人は、まだ帰ってきていないので、すみませんね」
 まだ時間は、4時だった。

「ごめんね。私たち、こっちだと3日もいると、死にかかっちゃうの。向こうとは環境が違うから」
 そんなことを、香織が言う。帰るための伏線か? 反対してもだめよという。

「あっそうだ。これつまらない物ですが。それとこっちは、香織さんが食べたがったケーキです」
「まあまあ、すみません。お出ししますね」

 お母さんが、ケーキを持って、台所へ行こうとして、柱で小指をぶつけたようだ。「ぎゃ」という叫び声が聞こえた。

「お母さん、そそっかしいのかな」
「うんごめんね」
 声に出ていたようだ、香織に謝られた。

 戻って来たお母さんに、報告する。
「実は向こうで、一緒に暮らしていまして。その報告をしに来ました」
 そう言うと。

「まさかこの年で、おばあちゃんとか?」
「いや、子どもはできていません。そう言うことで、事後報告となりますけれど。報告をさせていただこうと思いまして」

「まあ、知り合いの居ないところで、一人で生きるより。あっそうか、生まれ変わって恋人と一緒になったのねぇ。ドラマティックね」

「ありがとうございます」
「おかあさん……」

 まあそう言うことで、お父さんが帰ってきたら、食事でもしながらもう一度ということでお暇をした。
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