異世界の管理が悪く、(影の)管理者として派遣されました

久遠 れんり

文字の大きさ
19 / 91
第2章 世の平定 魔人領

第19話 シーンの街中

しおりを挟む
 俺たちは、シーンの町中へ入る。
 
 おせっかいついでに、畑の人。
 トラゴスに変わって、堆肥のことを牧場の持ち主。
 グランハに話をするため、家へ向かっていた。

 グランハの家は街の外れにあり、一軒だけぽつんとあったので、すぐにわかった。
 すぐ脇には、馬が放された牧場があり、のんびり草を食んでいた。

 多分俺たちは大丈夫だと思うが、フェンがいたため。
 ピタッと、馬たちの動きが止まり、ジリジリと離れて行く。

 俺たちが家に近づく。馬たちが離れるを繰り返したが、無事に家に到着した。

 ドアをノックすると、無事にグランハが現れ、牧場のボロ置き場の土について話をする。
 畑を作る上で非常に役に立つため、上手にすれば売れることを教え。詳しい方法はトラゴスが知っているので、彼と話し合い、売値を決めてほしいことを説明した。

「ああ。それと忠告だが、単純に馬のボロを埋めても、畑の土には害にしかならない」
 一応釘も刺す。

「それじゃあ。よろしく」

 牧場の様子を見ても、失礼だがあまり裕福そうには見えない。
 堆肥の販売は、少しでも助けになるだろう。

 その後、ラノベの知識を元に、ギルドを探したがない。
 普段はどうしているか聞くと、猟師が肉屋に卸すに決まっているだろうと、普通に笑われた。
 笑われついでに、肉屋の場所を聞きそこへ向かう。

「こんにちは。どなたか、いらっしゃいます?」
 肉屋は店が閉まっていた。
 此処の肉屋は、営業日が決まっていないのか、仕入れがあった夕方から販売するのか。
 ひょっとして猟師が肉屋をやっているのか? などと考えていると、のっそりと大男が出てきた。

「なんだい。今日は売り物がないぞ」
「ああ。買い取りを、お願いしたいんですが」
「なにか獲って、今水にさらしてんのか?」

「いえ、さらしていません。なにかマズイですか?」
「血抜きもせず。さらしていないと傷みは早いし臭くなる。素人がたまたま獲ったのか? どこに置いてあるんだ。今からでも遅くないかもしれん。取りに行って、血抜きをするぞ」

「いえ。私の能力に、こんなのがありまして」
 そう言いながら、鹿を取り出す。

「おお? すごいな。それに、まだ固くなってない。獲りたてか。すぐに血抜きと内臓を取るぞ。早くこっちへ来い。教えてやる」

 後ろをついていく。
 すぐに、後ろ足に紐をかけ、軽く持ち上げると、前足の間にナイフを突き立て血抜きをする。
 
 その間におっさんは、すでに内蔵抜く準備を行っていた。

 正中線にナイフを入れると一気に切り開き、血が抜けたのを見ると、すかさず首を切る。
 気管や食道を切り開くと横隔膜にも切り目を入れ、一気に引きに引き抜いた。
 その後も、淡々と処置をして、皮をはぎ取る。
 今度は、大きな桶を担いできた。
 中に魔法で水を張り、その中に鹿を沈める。

 剥がした皮も、ザブザブ洗っている。
「この時に、肉や脂が残ってないように注意しろ」

「ありがとうございます。それで、買い取ってもらえるのでしょうか?」

「そうか。そうだな。いやすまん。つい嬉しくてな。どうも最近獲物がいなくてな。鹿一頭ぎん…… いや金貨1枚でいいだろう」
「もっと、鹿必要です?」
「持っているのか? しかし、日持ちをせんからなぁ。うん。もう一頭、出してくれ」
「これでいいですか」

 目に前に一頭出す。
「おお? 今度は雄か良いな。若いのは匂いも少ないからな。2つで金貨2枚だ、ほれ」
 金貨を受け取り、
「ありがとうございます。それではまた」
 そう言って、肉屋を後にする。

「ねえ、金貨って、いくら位なんだろうね?」
「さあ? 使ってみたら、わかるだろう」
「昔なにかで見た。害獣駆除した鹿の値段が1万ちょっとだったから、同じくらいかな。とりあえず今日は、宿があれば泊まってみよう」


「それで? 宿はどれだぁ?」
「誰かに聞きましょう」
 街の中は、西部劇の街状態。
 そんなに、強力なモンスターは来ないのか、街道の両側に街が広がっているということは、街道沿いがホテルだろう。

「ホテルもあるみたいだけど、お姉ちゃんがついてきそうな所だな」
「なんだか新鮮。ほらドアがスイングタイプ」
「酒場の上が、ホテルか。なるほどね」
「あそこに、入ってみるか?」

「いらっしゃいませ。お食事でしょうか? お泊りでしょうか?」
「泊まりは一人いくらだ?」
「銀貨3枚からとなっています」

「食事は別料金で、下で取るのか?」
「そうですね。部屋にメニューがありますので、お申し付けいただければ、お部屋でも可能でございます」
「理解った。とりあえず宿泊3人」


「ベッドの関係で、2人と1人で、部屋が分かれるようになりますが?」
 その瞬間に女の子二人の目が光り、何かを言いそうになったので。
「ソファーくらいあるだろ。一部屋で頼む」
「では、3人目は半額に致します」
「そりゃ、ありがとう」
 金貨を一枚渡す。

「お待ち下さい」

「お部屋は2階となっております。それと、お釣り。銀貨一枚と銅貨5枚でございます」
「銀貨一枚はチップなのか? それとも計算間違いか?」
「あー。少しお持ちください」

「こちらをどうぞ」
 鍵とお釣りを銀貨2枚と銅貨5枚受け取る。
「これはチップだ」
 銅貨5枚を渡す。

 部屋の鍵は、さっき203だったのが、今度は201だった。お釣りごまかしの指摘で仕返か? ここもしかして、幽霊でも出るのか?
 こわごわ開けると、予想以上に部屋が広かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...