異世界の管理が悪く、(影の)管理者として派遣されました

久遠 れんり

文字の大きさ
47 / 91
第3章 世の平定 獣人領

第47話 王の依頼

しおりを挟む
 教会関係者、凸から、一夜明けて。

 1階の食堂で、朝食もとり。
 飲み物を注文して、今日の予定について話し。
 まったりと、していると。
 見慣れない服を着た、3人組がやって来た。

「おはようございます。わたくしは、この国の宰相をさせていただいています。プリメール・ミニストロと申します」

「突然現れて、ぶしつけなお願いをすることを、お許しください。カミヨ様」

「宰相のような偉いお方が、私のような一般人に、どのような願い事を? まあ、どうぞ」
 空いていた椅子へ、着席を促す。

「すみません。失礼いたします」

「飲み物は? それと、ここで話せる内容ですか?」
「お気遣いありがとうございます。飲み物は結構です。内容はこの街にかかわる話なので、聞かれてもかまいません。というか、住民がそれの解決を望んでいますので」

「あーなるほど」
「カミヨ様方は、もう街中をご覧になられたと思いますが、どう思われますでしょうか?」
「こんな言い方をしては、お気を悪くするかもしれないが。雑多だが、活気があるとは思う。だがしかし、あの無秩序ぶりは危ないな」

「やはりそう思われましたか。あの混雑は、この王都において、長年の懸案事項なのですよ」

「今まで、どんな手を打ったのですか?」

「買い物客に対して、地区ごと。曜日による購入制限とか。馬車荷車の乗り入れ制限。道の拡幅をしようとしましたが、これは住民の反対により頓挫しています。あとは警備隊の投入ですが、これも相手が多すぎて、スリが少し減ったくらいですね」

「今。市はあそこのみで開催されていますよね。うーん、各店を出している店主の住まいとか。客の住まい。荷車はどこからきて、どこへ向かうのか? 馬車も同じですが。それと、商店が取り扱う商品の、種類と仕入れ先。それと、道具関係とかの特殊なものを、購入した客の住所くらいかな? そちらで、調べることは可能ですか?」
「かなり。お時間はいただきますが、可能でございます」

「市の分散は、しなかったのですか?」
「強制的にしたこともあります。ですが、客が来ないということで、戻ってきてしまいまして」
「やったのか? それで失敗したと。……まあいいです。この街、地図はいただけますか? 概略図でいいですが」
「簡単な物なら結構です。 ですが紛失などは決してないように、お願いいたします」
「はい。それでは、そう言うことで」

「皆さん。しばらくは、この宿でお泊りでしょうか?」
「うん? どうして」
「先ほどの地図もそうですが、城に滞在して頂いて、指示を出していただく方が、我々にもメリットがありまして」
「そうか。この時代的な感じだと、地図とかも部外秘か。行動の制限とかがなければそれでもいいけれど、みんなはどう?」

「そうですな。私は、主がよければ問題ありません」
「私もいいわよ」
「もちろん。わたくしも主様の思う通りに。なさっていただきたいと、考えます」

「じゃあ、城に世話になるか。宰相さん。ええと。プリメールさんお願いします」
「それでは、準備もおありでしょうから。1時間後に、馬車を迎えに回します」

 そう言って宰相たちは、そそくさと引き上げて行った。 

 とりあえず、宿の精算が先だな。
 清算を済ませ。
 やはり食堂で、まったりしながら話をする。
「主。どうして、あの者たちの話を聞くことにしたんじゃ?」
「あっ。私も、それを不思議に思った」

「どうしてだろう? 活気があっていいのだけれど。どこかで、あの無秩序ぶりが許せない気持ちが、心の中にあってね」
「あ~それ。私もわかる。日本人のメンタルだと、少し許せない気持ち。子供のころから教えられたものが、こんなのは、だめだって訴えてくるのよね」
「そう、なんだかざわつくんだよ。俺の魂が…… ちょっとやり直し。俺は俺のゴーストの囁きに従うだけだ」

「わざわざ言い直すの? バ〇ー? もとこーとか、叫ぶの?」
「いや悪い。つい」

「また主たちが、わからない話をしている。なんだか。それこそ、魂がざわつくのう」
「私も一緒です。やきもちですかね」
「このざわつきは、やきもちというのか」

 それからほどなくして、迎えが来た。
 1時間後と言ったのに、30分で。

「宰相さんすごいな、あれから城へ帰って、王様に許可取って。こっちに迎えをよこす。普通30分では、無理だろ。城まで、結構距離があるよな」

 まあいい。
 来たなら、乗り込んで移動しよう。

 うん。馬車もひどい。
 道も、思ったより荒いな。
「この揺れ。魔人族領の方が、進んでいるわね」
「今度からは、自分の馬車を使おう」

「でも。この揺れ癖になりそう」
 みちよが変なことを言い出した。

 昔。学生の時。
 同級生と話題になったな。
 女子は、自転車が好き。の関係かな? 
 そんな、馬鹿な記憶を思い返していると、王城のある小山が見えてきた。

 先日眺めた時より、ちゃんとした山だな。

 周りには5mほどの壁が建っているようだ。
 近くに近付くにつれ、きちんと堀も掘ってあり、それも2重だ。
 水もきれいそうだから、川からの引き込みか。
 これは使える。

 周りを見ながら、いろいろと頭の中で思案をする。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...