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第3章 世の平定 獣人領
第68話 開拓という名の殲滅
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「それでは次に、これからも受け入れてもらう手助けとして、開拓を始めましょう。地図はありますか?」
「樹海部分に、地図はありません」
「じゃあ。まあいいか。樹海を切り開くのに、王様の許可は良いのですか?」
「ずっと前から、許可は出ています。情けない話。力がなくて、進んでいないだけでして。問題ありません」
「じゃあ。現地で、現物合わせをしようか」
本部長自らが、案内をしてくれるようだ。
「少し遠いので、馬車をお使い下さい」
見ると馬車は吊り下げ式で、下側から足が生えていた。この足は揺り返し抑制用の物だろう。足が当たるところに、緩やかに余裕を持たせて、張られた皮がくっついていた。
到着すると、説明が始まる。
「あそこに作られた小屋から、山脈のふもとまでを、切り開く予定です」
言われたところを見ると、小屋から山脈に向けた辺。そこから、扇形に木を伐り始めているようだが。まだ数百m程度しか進んでいない。
だがまあ、かなり太い木なので、一本切り倒しそれを運搬し、今度は根を掘り返す。まあ、大変な苦労だろう。
少し考える。
木を切り倒し、広大な土地を作るのは良いが、木を伐りだし、運搬する人の仕事が無くなるのはどうかと思う。
気になり、そのことを、本部長に問うと、
「彼らが土地を欲しがっている農民です。彼らは土地を切り開き、早く作付けをしたいと言うのが、本当でしょう」
「わかった。ちょっと待ってくれ」
意識を集中し索敵を行う。うん?
「おいフェン。ここに知り合いがいるのか?」
「いや。覚えがないが……?」
「ちょっと行ってみるか。一緒に行こう」
手をだすと嬉しそうに手をつなぎ、みちよを一瞥する。
位置を決め。転移する。
突然目の前に現れた俺たちに驚き、威嚇するが。
フェンに気が付いたのか、近づいて来る。
「主。こいつは、あの子たちの父親じゃ」
「そうなのか?」
「喧嘩をして追い出したから、こんな所を住処にしておったようだのう」
「まあ。山脈の内側は、龍の巣だしな。それでどうする?」
「わし的には、このまま退治してもいいが、もっと奥へ行かせて、モンスターの間引きでもさせよう」
フェンが一歩前に出ると、頭を下げながら、にじり寄って来る。
〈久しぶりじゃな〉
〈やっぱりお前か、なんで人型などに。階位が上がったのか?〉
〈そうじゃな。主に仕え。上位種族に、させていただいた〉
おおっ。向こうのフェンリルが驚いている。
獣形態で、驚く顔はなかなか面白い。
〈それでおぬし。狩られたくなくば、もっと奥へ行け。そこでヒューマンどもの巣に、近づかないように気を付けながら、モンスターを間引け〉
〈なんだそりゃ? なんで俺が……〉
と、フェンリルが答えだした瞬間。つららが、フェンリルに向かって降って来る。
〈ならば。死ね〉
〈ちょ。ちょっとまて。いつもお前は、先に攻撃してくる〉
〈お前呼ばわりされる。覚えない〉
どんどん氷柱が、大きくなってくる。
フェンの頭に、手を置く。
「話は、通じなかったのか?」
「ああ。なんで俺が、などとぬかしやがっての」
「そうか。よっと」
立っているところから、山脈側に木を刈り飛ばす。
奥の方にモンスターが居たが気にしない。
倒れた木は、亜空間収納に収める。
ファンリルは口を開けて目を見開いている。
驚いたのか?
「フェン通訳してくれ。こっから向こう側で。あとは、ヒューマンに危害を与えないようにと」
「わかった」
〈ほら。主の力は見たじゃろ。この線から向こうへ逃げろ。それと、ヒューマンに手を出すな。狩るぞ〉
〈ななな。なんだ今のは。風とも違う。空間が割れたぞ〉
〈当たれば、何人(なんびと)にも耐えられん。神の御業じゃ。ほれ、今のうちに逃げろ〉
ガーンという。音が聞こえそうな驚いた顔をして、フェンリルはとぼとぼと樹海の奥へ歩いて行った。
「ふん。世話の焼ける」
見送った後。
みんなの、もとへ転移する。
再び探査すると、町に近いところは、結構人がうろついている。
「町に近い所には、人が結構入り込んでいるから、そこは残そうか?」
「そうですか? それなら、そこを外して、お願いします」
さっきまで、作業をしていた人も、テーブルと椅子を出し、お茶とおにぎりを楽しんでもらっている。
軽く手を上げて、魔法を発動したことを教える。
高さ30cm位で、木もトレントもモンスターも、そのエリアにいたもの、すべてを切断。
一方向に風を送ると、木が倒れていく。
それを一気に収納する。
当然根の部分も収納して、その後。
土の精霊にお願いして耕うんする。
一面に広がる。耕うんされたおおよそ30000hr(ヘクタール)の大地。
そこには、何もなかった。
耕うん時の、掘り起こされた石も収納してある。
そこまですると、見ていた農家候補の方々も驚いたようで、湯呑を咥えたまま。
お茶が口元から、こぼれている。
全面耕したが、道は適当に整備するだろう。
振り返り、本部長。
デレクタゼラルに、
「この位で。道とかは、整備してください」
と告げる。
彼も放心をしていた。
目の前に現れた、広大な畑に驚いたようだ。
「あああ。ありがとうございます。このことは、速やかに王に報告をいたします。きき、きっと王より、お礼が来ると思いますので、宿泊先を教えていただけないでしょうか?」
「宿泊先か? 決めていないな。どうしよう。一度拠点に戻り、3日後にまた、本部へ顔を出すようにしよう」
「し承知いたしましたで、ございます。お待ちしております」
フェンたちを連れて、転移する。
「樹海部分に、地図はありません」
「じゃあ。まあいいか。樹海を切り開くのに、王様の許可は良いのですか?」
「ずっと前から、許可は出ています。情けない話。力がなくて、進んでいないだけでして。問題ありません」
「じゃあ。現地で、現物合わせをしようか」
本部長自らが、案内をしてくれるようだ。
「少し遠いので、馬車をお使い下さい」
見ると馬車は吊り下げ式で、下側から足が生えていた。この足は揺り返し抑制用の物だろう。足が当たるところに、緩やかに余裕を持たせて、張られた皮がくっついていた。
到着すると、説明が始まる。
「あそこに作られた小屋から、山脈のふもとまでを、切り開く予定です」
言われたところを見ると、小屋から山脈に向けた辺。そこから、扇形に木を伐り始めているようだが。まだ数百m程度しか進んでいない。
だがまあ、かなり太い木なので、一本切り倒しそれを運搬し、今度は根を掘り返す。まあ、大変な苦労だろう。
少し考える。
木を切り倒し、広大な土地を作るのは良いが、木を伐りだし、運搬する人の仕事が無くなるのはどうかと思う。
気になり、そのことを、本部長に問うと、
「彼らが土地を欲しがっている農民です。彼らは土地を切り開き、早く作付けをしたいと言うのが、本当でしょう」
「わかった。ちょっと待ってくれ」
意識を集中し索敵を行う。うん?
「おいフェン。ここに知り合いがいるのか?」
「いや。覚えがないが……?」
「ちょっと行ってみるか。一緒に行こう」
手をだすと嬉しそうに手をつなぎ、みちよを一瞥する。
位置を決め。転移する。
突然目の前に現れた俺たちに驚き、威嚇するが。
フェンに気が付いたのか、近づいて来る。
「主。こいつは、あの子たちの父親じゃ」
「そうなのか?」
「喧嘩をして追い出したから、こんな所を住処にしておったようだのう」
「まあ。山脈の内側は、龍の巣だしな。それでどうする?」
「わし的には、このまま退治してもいいが、もっと奥へ行かせて、モンスターの間引きでもさせよう」
フェンが一歩前に出ると、頭を下げながら、にじり寄って来る。
〈久しぶりじゃな〉
〈やっぱりお前か、なんで人型などに。階位が上がったのか?〉
〈そうじゃな。主に仕え。上位種族に、させていただいた〉
おおっ。向こうのフェンリルが驚いている。
獣形態で、驚く顔はなかなか面白い。
〈それでおぬし。狩られたくなくば、もっと奥へ行け。そこでヒューマンどもの巣に、近づかないように気を付けながら、モンスターを間引け〉
〈なんだそりゃ? なんで俺が……〉
と、フェンリルが答えだした瞬間。つららが、フェンリルに向かって降って来る。
〈ならば。死ね〉
〈ちょ。ちょっとまて。いつもお前は、先に攻撃してくる〉
〈お前呼ばわりされる。覚えない〉
どんどん氷柱が、大きくなってくる。
フェンの頭に、手を置く。
「話は、通じなかったのか?」
「ああ。なんで俺が、などとぬかしやがっての」
「そうか。よっと」
立っているところから、山脈側に木を刈り飛ばす。
奥の方にモンスターが居たが気にしない。
倒れた木は、亜空間収納に収める。
ファンリルは口を開けて目を見開いている。
驚いたのか?
「フェン通訳してくれ。こっから向こう側で。あとは、ヒューマンに危害を与えないようにと」
「わかった」
〈ほら。主の力は見たじゃろ。この線から向こうへ逃げろ。それと、ヒューマンに手を出すな。狩るぞ〉
〈ななな。なんだ今のは。風とも違う。空間が割れたぞ〉
〈当たれば、何人(なんびと)にも耐えられん。神の御業じゃ。ほれ、今のうちに逃げろ〉
ガーンという。音が聞こえそうな驚いた顔をして、フェンリルはとぼとぼと樹海の奥へ歩いて行った。
「ふん。世話の焼ける」
見送った後。
みんなの、もとへ転移する。
再び探査すると、町に近いところは、結構人がうろついている。
「町に近い所には、人が結構入り込んでいるから、そこは残そうか?」
「そうですか? それなら、そこを外して、お願いします」
さっきまで、作業をしていた人も、テーブルと椅子を出し、お茶とおにぎりを楽しんでもらっている。
軽く手を上げて、魔法を発動したことを教える。
高さ30cm位で、木もトレントもモンスターも、そのエリアにいたもの、すべてを切断。
一方向に風を送ると、木が倒れていく。
それを一気に収納する。
当然根の部分も収納して、その後。
土の精霊にお願いして耕うんする。
一面に広がる。耕うんされたおおよそ30000hr(ヘクタール)の大地。
そこには、何もなかった。
耕うん時の、掘り起こされた石も収納してある。
そこまですると、見ていた農家候補の方々も驚いたようで、湯呑を咥えたまま。
お茶が口元から、こぼれている。
全面耕したが、道は適当に整備するだろう。
振り返り、本部長。
デレクタゼラルに、
「この位で。道とかは、整備してください」
と告げる。
彼も放心をしていた。
目の前に現れた、広大な畑に驚いたようだ。
「あああ。ありがとうございます。このことは、速やかに王に報告をいたします。きき、きっと王より、お礼が来ると思いますので、宿泊先を教えていただけないでしょうか?」
「宿泊先か? 決めていないな。どうしよう。一度拠点に戻り、3日後にまた、本部へ顔を出すようにしよう」
「し承知いたしましたで、ございます。お待ちしております」
フェンたちを連れて、転移する。
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