244 / 302
導かれたのか?
第4話 うつろい
しおりを挟む
社長をしている洞野 吹谷さん二十八歳。
彼に会ったのは、チープな婚活イベント。
今付き合っている一颯と、将来について話したとき……
共稼ぎで良いだろうと彼は言った。私は、専業主婦がしたいのに……
だから、私は行動を開始した。よりよい結婚生活を。安定した人生を求めて。
情報を拾うと、本気で探すなら、若い内じゃないと駄目だという。
一颯は良い人だけど、スペックが普通。
将来の生活が見えてしまう。
中学校のときから、周囲に私に見合うのはハイスペックな男よ。
そう宣言をしていた私に、彼は合わない。
まあ優しいし、いい人なんだけれど。
運の良い私。
一回目で社長さんをゲット。
会場で周りを見まわしたとき、真面目に相手を探している女は、四十歳を 超えたような人ばかり。
そう。この会場内で若い女は、私だけだという状態。
周りには、人だかりができて、私の承認欲求と優越感を刺激する。
そうよ。私はモテるのよぉ。そんな事を大声で叫びたい。
一颯には悪いけれど、彼はそこそこモテるし、普通の女と普通の人生を歩めば良いわ。一時期でも私と付き合えたことを自慢することね。
あの社長夫人、響子じゃないか? そんな奴と付き合っていたのか俺は……
そう言いながら、落ち込む一颯……
絶対にないだろうと思える妄想を、膨らませる彼女。
社長夫人として、有名になった自分を想像する。
憧れた、セレブな生活……
彼とはすぐに深い仲になった。
ただ彼は忙しく、なかなか会えない。
彼の都合が付く日に連絡が来て、待ち合わせをして、エッチをして別れるだけ。
でも良いの。
今は彼をつなぎ止めるため、たまの食事とエッチだけで。
それが、丁度お盆休み一颯は実家へ帰るという。
彼に連絡をすると、会社もお盆休みとなり時間がとれるという。
私は思いきって、マンションに誘った。
いつもは、一颯と暮らす部屋。
無論、見られるとやばそうな、彼の物は隠した。
そして、此の空間に吹谷さんが来たとき、妙な背徳感が私を興奮させる。
作ったことのなかった、イタリアンな料理を本とにらめっこをしながら作った。
何とか、飾り付けや見栄えでごまかして、彼に振る舞う。
昼からワインを飲み。すっかり出来上がる……
彼も、時間があるせいなのか、じっくりと楽しんでくれる。
途中で買い物に行ったり、彼との楽しく優雅な生活がシミレーションできる。
「幸せ」
「そうかい? そう言ってくれるとうれしいよ」
そう言って彼は、嬉しそうに笑う。
だけど、この人は目が笑わない。
でもそんな事は、些細な事。
私は、彼の望むことをする。
彼を捕まえるために。
―― 一方。汽車の中では。
「来るときは、高速バスだったんです」
高速バスなら、直接市内までの直通便がある。
「そっちの方が安いもんなぁ。汽車だと時間がかかるし」
この地方は、まだ電車になっておらず、ディーゼルの機関車が客車を引っ張る。
瀬戸内海側に出ると、流石に電車となるが俺達は話し合いの結果、琴平で降りてバカみたいに長い参道を登り、奥の院にまで参拝をする。
「ここは海の見守る神様で、江戸時代とかから参拝に来ていたんですよ」
彼女が言うように、日本最古の芝居小屋『金丸座』も存在をする。
彼女も、帰ると言ったものの、休みはまだある。
俺も帰るわけには行かないし、途中下車して観光地をふらふらと巡る。
半ば強引に誘ったのだが、彼女もそれが楽しそうで、霊場があるため幾つもの寺があったり、古の戦場が残るこの地。見どころを検索しながら、二人でふらふらと巡る。
お互いに、引かれ合い。
そう。なる様になった。
「一颯さんは、モテそうなのに彼女さんとか居ないの?」
そう聞かれて、ドキッとする。
やつは浮気をしているが、まだ別れた訳ではない。
「あーごめん。実は……」
今、別れるための調査中でという話しをする。
証拠の動画を見せる。
そう、彼女が…… 紬葵が、悲しそうな顔をしたからだ。
「君を騙そうとか、遊びな訳じゃない。その…… 本気で好きになって。そうだ。証拠はあるし、この場で別れを送るよ。それで俺はフリーになれる」
俺は少し焦りながらそう言ったのだが、彼女はやはり悲しそうな顔。
「良いんですか? まだ話し合いとかすれば……」
「いや、無理だ。彼女の理想は、年収一千万以上の男らしいからな」
「えっ? そんな希望を持つ人って、今でも本当に居るんですか?」
本気で彼女は驚いていた。
自分の給料、そして周囲に居る人間の給料は大体分かる。
「三高って言葉は、バブル時代。一九八〇年代に生まれたらしいな」
「そうですよね。お母さん達の世代ですよね」
そんな彼女を安心? させるために、勢いもあり。少し前倒しで別れを実行する。
「ビデオのカットはこれで、いくつかは写真に書き出して…… 送信すれば……。文面は、『お前は、お前の好きにすれば良い。別れよう。』これで良いかな? ぽちっとな」
スマホに送信完了の表示が出る。
連絡はないとは思うが、連絡先を削除。
アプリの方はブロック。
だがその後で、荷物をどうしようと思ったのだが、引っ越し屋さんに依頼しようと思いつく。小規模のやつなら高くないだろうし、人が居ればあいつも騒がないだろう。
「本当に送ったんですね? よかったのですか?」
「良いんだよ。じいさんの七回忌で久しぶりに帰って。地元の社で君と出会った。ある意味、じいさんが引き合わせてくれた奇蹟のような気がする。俺は君に会えてうれしいんだけど…… 君は違うのか?」
そう聞くと、彼女は俺の胸に額をつけて、布団に少し潜る。
「いじわる。嫌ならこんな事しません。誰とでもなんて私は無理」
彼女の体温が上がるのを感じる。
「よかった」
俺はそう言うと、彼女を抱きしめる。
彼に会ったのは、チープな婚活イベント。
今付き合っている一颯と、将来について話したとき……
共稼ぎで良いだろうと彼は言った。私は、専業主婦がしたいのに……
だから、私は行動を開始した。よりよい結婚生活を。安定した人生を求めて。
情報を拾うと、本気で探すなら、若い内じゃないと駄目だという。
一颯は良い人だけど、スペックが普通。
将来の生活が見えてしまう。
中学校のときから、周囲に私に見合うのはハイスペックな男よ。
そう宣言をしていた私に、彼は合わない。
まあ優しいし、いい人なんだけれど。
運の良い私。
一回目で社長さんをゲット。
会場で周りを見まわしたとき、真面目に相手を探している女は、四十歳を 超えたような人ばかり。
そう。この会場内で若い女は、私だけだという状態。
周りには、人だかりができて、私の承認欲求と優越感を刺激する。
そうよ。私はモテるのよぉ。そんな事を大声で叫びたい。
一颯には悪いけれど、彼はそこそこモテるし、普通の女と普通の人生を歩めば良いわ。一時期でも私と付き合えたことを自慢することね。
あの社長夫人、響子じゃないか? そんな奴と付き合っていたのか俺は……
そう言いながら、落ち込む一颯……
絶対にないだろうと思える妄想を、膨らませる彼女。
社長夫人として、有名になった自分を想像する。
憧れた、セレブな生活……
彼とはすぐに深い仲になった。
ただ彼は忙しく、なかなか会えない。
彼の都合が付く日に連絡が来て、待ち合わせをして、エッチをして別れるだけ。
でも良いの。
今は彼をつなぎ止めるため、たまの食事とエッチだけで。
それが、丁度お盆休み一颯は実家へ帰るという。
彼に連絡をすると、会社もお盆休みとなり時間がとれるという。
私は思いきって、マンションに誘った。
いつもは、一颯と暮らす部屋。
無論、見られるとやばそうな、彼の物は隠した。
そして、此の空間に吹谷さんが来たとき、妙な背徳感が私を興奮させる。
作ったことのなかった、イタリアンな料理を本とにらめっこをしながら作った。
何とか、飾り付けや見栄えでごまかして、彼に振る舞う。
昼からワインを飲み。すっかり出来上がる……
彼も、時間があるせいなのか、じっくりと楽しんでくれる。
途中で買い物に行ったり、彼との楽しく優雅な生活がシミレーションできる。
「幸せ」
「そうかい? そう言ってくれるとうれしいよ」
そう言って彼は、嬉しそうに笑う。
だけど、この人は目が笑わない。
でもそんな事は、些細な事。
私は、彼の望むことをする。
彼を捕まえるために。
―― 一方。汽車の中では。
「来るときは、高速バスだったんです」
高速バスなら、直接市内までの直通便がある。
「そっちの方が安いもんなぁ。汽車だと時間がかかるし」
この地方は、まだ電車になっておらず、ディーゼルの機関車が客車を引っ張る。
瀬戸内海側に出ると、流石に電車となるが俺達は話し合いの結果、琴平で降りてバカみたいに長い参道を登り、奥の院にまで参拝をする。
「ここは海の見守る神様で、江戸時代とかから参拝に来ていたんですよ」
彼女が言うように、日本最古の芝居小屋『金丸座』も存在をする。
彼女も、帰ると言ったものの、休みはまだある。
俺も帰るわけには行かないし、途中下車して観光地をふらふらと巡る。
半ば強引に誘ったのだが、彼女もそれが楽しそうで、霊場があるため幾つもの寺があったり、古の戦場が残るこの地。見どころを検索しながら、二人でふらふらと巡る。
お互いに、引かれ合い。
そう。なる様になった。
「一颯さんは、モテそうなのに彼女さんとか居ないの?」
そう聞かれて、ドキッとする。
やつは浮気をしているが、まだ別れた訳ではない。
「あーごめん。実は……」
今、別れるための調査中でという話しをする。
証拠の動画を見せる。
そう、彼女が…… 紬葵が、悲しそうな顔をしたからだ。
「君を騙そうとか、遊びな訳じゃない。その…… 本気で好きになって。そうだ。証拠はあるし、この場で別れを送るよ。それで俺はフリーになれる」
俺は少し焦りながらそう言ったのだが、彼女はやはり悲しそうな顔。
「良いんですか? まだ話し合いとかすれば……」
「いや、無理だ。彼女の理想は、年収一千万以上の男らしいからな」
「えっ? そんな希望を持つ人って、今でも本当に居るんですか?」
本気で彼女は驚いていた。
自分の給料、そして周囲に居る人間の給料は大体分かる。
「三高って言葉は、バブル時代。一九八〇年代に生まれたらしいな」
「そうですよね。お母さん達の世代ですよね」
そんな彼女を安心? させるために、勢いもあり。少し前倒しで別れを実行する。
「ビデオのカットはこれで、いくつかは写真に書き出して…… 送信すれば……。文面は、『お前は、お前の好きにすれば良い。別れよう。』これで良いかな? ぽちっとな」
スマホに送信完了の表示が出る。
連絡はないとは思うが、連絡先を削除。
アプリの方はブロック。
だがその後で、荷物をどうしようと思ったのだが、引っ越し屋さんに依頼しようと思いつく。小規模のやつなら高くないだろうし、人が居ればあいつも騒がないだろう。
「本当に送ったんですね? よかったのですか?」
「良いんだよ。じいさんの七回忌で久しぶりに帰って。地元の社で君と出会った。ある意味、じいさんが引き合わせてくれた奇蹟のような気がする。俺は君に会えてうれしいんだけど…… 君は違うのか?」
そう聞くと、彼女は俺の胸に額をつけて、布団に少し潜る。
「いじわる。嫌ならこんな事しません。誰とでもなんて私は無理」
彼女の体温が上がるのを感じる。
「よかった」
俺はそう言うと、彼女を抱きしめる。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
👨一人用声劇台本「寝落ち通話」
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
彼女のツイートを心配になった彼氏は彼女に電話をする。
続編「遊園地デート」もあり。
ジャンル:恋愛
所要時間:5分以内
男性一人用の声劇台本になります。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる