246 / 302
夏の残照と初秋の人恋しさが……
第1話 夏の別れ
しおりを挟む
「別れようぜ」
「えっ?」
夏の初めに海に行った後、忙しいと言われて久々に会ったらいきなりの言葉……
「本気なの?」
「マジだよ」
「どうして?」
そう聞くと、彼はウザッという感情が表情に出る。
「おれさあ、そろそろ真面目に結婚でもしようと思うんだよ」
「はっ?」
「丁度海行ったときに良い子と知りあってな」
そこからは、信じられないようなことをペラペラと聞かされた……
「私は遊びだったわけ?」
「うん? 俺達ダチだろ。なんとなく、けじめとして言っとかないとなと思って。まあ体が空いているときは相手を頼むよ」
そう言うと、彼は去って行った。
伝票を残して……
その日、私の恋は終わった……
私は彼が初めてだった。
まさか、セフレ扱いだったなんて……
腰が抜けて、立ち上がれない。
一体何が起こったのか理解できない。
ただ悔しくて、涙が止まらない……
呆然として、何も考えられない日々が続く。
それなのに、カレンダーは進み、季節は秋へと変わっていく。
「あつうー」
「そうね」
この子は同僚の飯野 凪紗結構さっぱりした性格というかすべてが大雑把。
だけど気を使わなくて良いから、一緒にいて楽。
居酒屋でビール片手にうだうだと、職場の悪口だったり、やって来る営業さんのことについて文句を言っている。
それに対して、私は適当に相づちを返す。
「ちょっとトイレ」
凪紗にそんな宣言をして、私は席を立つ。
店はそんなに大きくないが、男女の個室は別れていて、廊下の突き当たりでT字型に別れて、突き当たりには手洗いがある。
「ちっ」
思わず舌打ち。
先客有りのようだ。
待っていると背後で音がする。
男子トイレから誰かが出てきた様だ。
それでも私は、警戒感もなく、壁にもたれたまま女子側個室のドアをぼーっと眺めていた。
ふいに、視界が下がる。
完全に気が抜けているときに、膝カックンをされた。
「もう。凪紗。何をするのよ」
そう言って、振り向きながら見上げると、知らない男…… ? いや知っている。
大学時代に好きだった人。
仁科 修平その人だった。
「お久しぶりい沙知」
そう言って、右手を軽く顔の辺りまであげる。
「お久しぶりじゃないわよ。漏らしたらどうしてくれるのよ。女の子はそれでなくとも漏れやすいんだから」
「悪い。久々に見たから、テンションが上がってな」
そう言って嬉しそうな顔。
丁度ドアが開いて、出てきた女の子に睨まれた。
まあ女子トイレのドアの前。立っているだけでもじゃまなのに、片方は男だもの。嫌でしょうね。
私は松戸 沙知。
大学時代、修平には立野 玲華という彼女がいてラブラブだった。女の子同士だと、お高くとまった感じのツンケン女、何かを言えばマウントを取りに来る女だったけれど、猫をかぶっていたみたいね。
なんとなく別れそうだと思いながらも、修平の献身によって関係は続いていた。
でまあ、就職をしてから、疎遠になって……
いいえ。事あるごとにいちゃつく二人を見たくなくなって、会わなくなった。
誘われても、理由を付けて、断ったの。
「ほい、漏らす前に行け」
「分かっているわよ」
そう言って、私はトイレに駆け込む。
私は久しぶりにドキドキしていた。
この所の無気力からの復帰。
そして、修平め。聞き耳をなんか立てていないわよね。
そんな性癖があるとは聞いていないのだが……
勝手に想像をして、ドキドキしてしまった。
でもまあ流石にいなかった。
少し残念に思いながら手を洗う。
幾度か、振り返ったがいなかった。
「もうっ」
なぜだか腹が立つ。
少し不機嫌になりながら席に戻っていると、すぐ近くに奴らは居た。
手を振ってくる。
それだけで、また気持ちが上向く。
男がもう一人。そして女の子が一人。
楽しそう。
何を喋っているんだろう。
「それで…… 聞いてる?」
「うん。よかったわね」
「よくないわよ。家にいるなら生活費を入れろって言う話しに、どこがよかった成分があるのよ」
「今まで入れてなくて、生活ができたんでしょ」
「それはそうだけれど……」
「良かったじゃない」
「もうっ」
そんな馬鹿な話をしながら、飲食も終わり立ち上がると、会計に向かう。
すると、彼らも帰るようだ。
いや、強引に終わらせたのか、女の子が文句を言っている。
「だから久々に、大学の時の友達に会ったんだって」
「じゃあ一緒に行きましょ。どうせカラオケか、いつものバーでしょ」
「そりゃそうだけど、今日は平日だぞ」
「良いんです。休暇は沢山ありますから」
その答えに、修平ももう一人の男の人も苦笑い。
「おう。沙知。この後飲みに行こうぜ」
「あーうん。まあいいけど。友人も一緒で良い?」
「いいよ」
そう言って会計。
道すがら軽く自己紹介。
「へー。修平の友人にしてはまともそうな人」
「そうだろう。名前が少し足りない、かわいそうな人だがよろしく」
かれは、大谷 淳。二十五歳。身長百八十二センチくらいで顔もそこそこ。有名な野球選手と同じ苗字だが、名前がちょっと足りないと言うけれど、彼は確か翔平だったから、そもそも違う気がする。
もう一人の女の子は、加藤 有希ちゃん。二十四歳。ショートヘアでボーイッシュ。百六十センチくらい。修平と同じ会社で後輩だそうだ。
先輩後輩だけど、妙に距離感が近い。
「二人は付き合っているの?」
「いいえ? そう見えます?」
「いや、距離感が近いから」
そう言うと、彼女は納得したようだ。
「幾度か、寝たから?」
「ばか。言うなよ」
修平がわたわたする。
「それがですねぇ……」
「えっ?」
夏の初めに海に行った後、忙しいと言われて久々に会ったらいきなりの言葉……
「本気なの?」
「マジだよ」
「どうして?」
そう聞くと、彼はウザッという感情が表情に出る。
「おれさあ、そろそろ真面目に結婚でもしようと思うんだよ」
「はっ?」
「丁度海行ったときに良い子と知りあってな」
そこからは、信じられないようなことをペラペラと聞かされた……
「私は遊びだったわけ?」
「うん? 俺達ダチだろ。なんとなく、けじめとして言っとかないとなと思って。まあ体が空いているときは相手を頼むよ」
そう言うと、彼は去って行った。
伝票を残して……
その日、私の恋は終わった……
私は彼が初めてだった。
まさか、セフレ扱いだったなんて……
腰が抜けて、立ち上がれない。
一体何が起こったのか理解できない。
ただ悔しくて、涙が止まらない……
呆然として、何も考えられない日々が続く。
それなのに、カレンダーは進み、季節は秋へと変わっていく。
「あつうー」
「そうね」
この子は同僚の飯野 凪紗結構さっぱりした性格というかすべてが大雑把。
だけど気を使わなくて良いから、一緒にいて楽。
居酒屋でビール片手にうだうだと、職場の悪口だったり、やって来る営業さんのことについて文句を言っている。
それに対して、私は適当に相づちを返す。
「ちょっとトイレ」
凪紗にそんな宣言をして、私は席を立つ。
店はそんなに大きくないが、男女の個室は別れていて、廊下の突き当たりでT字型に別れて、突き当たりには手洗いがある。
「ちっ」
思わず舌打ち。
先客有りのようだ。
待っていると背後で音がする。
男子トイレから誰かが出てきた様だ。
それでも私は、警戒感もなく、壁にもたれたまま女子側個室のドアをぼーっと眺めていた。
ふいに、視界が下がる。
完全に気が抜けているときに、膝カックンをされた。
「もう。凪紗。何をするのよ」
そう言って、振り向きながら見上げると、知らない男…… ? いや知っている。
大学時代に好きだった人。
仁科 修平その人だった。
「お久しぶりい沙知」
そう言って、右手を軽く顔の辺りまであげる。
「お久しぶりじゃないわよ。漏らしたらどうしてくれるのよ。女の子はそれでなくとも漏れやすいんだから」
「悪い。久々に見たから、テンションが上がってな」
そう言って嬉しそうな顔。
丁度ドアが開いて、出てきた女の子に睨まれた。
まあ女子トイレのドアの前。立っているだけでもじゃまなのに、片方は男だもの。嫌でしょうね。
私は松戸 沙知。
大学時代、修平には立野 玲華という彼女がいてラブラブだった。女の子同士だと、お高くとまった感じのツンケン女、何かを言えばマウントを取りに来る女だったけれど、猫をかぶっていたみたいね。
なんとなく別れそうだと思いながらも、修平の献身によって関係は続いていた。
でまあ、就職をしてから、疎遠になって……
いいえ。事あるごとにいちゃつく二人を見たくなくなって、会わなくなった。
誘われても、理由を付けて、断ったの。
「ほい、漏らす前に行け」
「分かっているわよ」
そう言って、私はトイレに駆け込む。
私は久しぶりにドキドキしていた。
この所の無気力からの復帰。
そして、修平め。聞き耳をなんか立てていないわよね。
そんな性癖があるとは聞いていないのだが……
勝手に想像をして、ドキドキしてしまった。
でもまあ流石にいなかった。
少し残念に思いながら手を洗う。
幾度か、振り返ったがいなかった。
「もうっ」
なぜだか腹が立つ。
少し不機嫌になりながら席に戻っていると、すぐ近くに奴らは居た。
手を振ってくる。
それだけで、また気持ちが上向く。
男がもう一人。そして女の子が一人。
楽しそう。
何を喋っているんだろう。
「それで…… 聞いてる?」
「うん。よかったわね」
「よくないわよ。家にいるなら生活費を入れろって言う話しに、どこがよかった成分があるのよ」
「今まで入れてなくて、生活ができたんでしょ」
「それはそうだけれど……」
「良かったじゃない」
「もうっ」
そんな馬鹿な話をしながら、飲食も終わり立ち上がると、会計に向かう。
すると、彼らも帰るようだ。
いや、強引に終わらせたのか、女の子が文句を言っている。
「だから久々に、大学の時の友達に会ったんだって」
「じゃあ一緒に行きましょ。どうせカラオケか、いつものバーでしょ」
「そりゃそうだけど、今日は平日だぞ」
「良いんです。休暇は沢山ありますから」
その答えに、修平ももう一人の男の人も苦笑い。
「おう。沙知。この後飲みに行こうぜ」
「あーうん。まあいいけど。友人も一緒で良い?」
「いいよ」
そう言って会計。
道すがら軽く自己紹介。
「へー。修平の友人にしてはまともそうな人」
「そうだろう。名前が少し足りない、かわいそうな人だがよろしく」
かれは、大谷 淳。二十五歳。身長百八十二センチくらいで顔もそこそこ。有名な野球選手と同じ苗字だが、名前がちょっと足りないと言うけれど、彼は確か翔平だったから、そもそも違う気がする。
もう一人の女の子は、加藤 有希ちゃん。二十四歳。ショートヘアでボーイッシュ。百六十センチくらい。修平と同じ会社で後輩だそうだ。
先輩後輩だけど、妙に距離感が近い。
「二人は付き合っているの?」
「いいえ? そう見えます?」
「いや、距離感が近いから」
そう言うと、彼女は納得したようだ。
「幾度か、寝たから?」
「ばか。言うなよ」
修平がわたわたする。
「それがですねぇ……」
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
👨一人用声劇台本「寝落ち通話」
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
彼女のツイートを心配になった彼氏は彼女に電話をする。
続編「遊園地デート」もあり。
ジャンル:恋愛
所要時間:5分以内
男性一人用の声劇台本になります。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる