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第二章 人? との交流

第25話 問題は俺の周りで起こっている。いや俺が起こしていた。

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 領主の館というか、城みたいなものだが、もどってハウンド侯爵にギルドカードを渡す。
「あっ間違えた。こちらです」
 二枚となってしまったため、商業ギルドのカードを渡してしまい、ハンターと交換する。

「君は、商業ギルドにも属しているのか?」
「ええ、まあ」
「なら、このボールペンと、水道の蛇口。新工法の家。浄水の浄化システムと、洪水時の過剰流入防止装置。全部届ければ良い。項目ごとに仕組みの詳細を書いて提出してくれ」
 ハウンド侯爵がニコニコしながら、教えてくれる。

「良いのでしょうか?」
「良いんだよ。他にもあるなら、全部纏めて出してしまえ」
「はあ」
 その晩一晩掛けて、再現性があるように仕組みを書いていく。

 ついでに、途中で考えついた、路面の舗装や排水路。それに関わる暗渠やグレーチング。獣人達は、御茶を飲むときペロペロしているので、吸いのみも書く。
 それこそ、仕事で培った顕微鏡の構造。むろん正立と倒立型。それに実体型。レンズがらみで望遠鏡と双眼鏡。双眼鏡は正立プリズムも組み込んだ。こいつは、軍事に使うと便利だから、出すのはどうかなと思いながらも書いた。

 そして、翌日。この世界、魔法で石化できるのにどうして、舗装をしないか疑問だったが、地盤整備をせずに舗装し、割れると逆に危険だから現在は舗装をしていないと言うことを知る。

 あと、移動時の野宿で使える封筒型寝袋。普通のテントやマミー型寝袋はとっさの時危なそうだからやめた。後は、一つに纏めることのできるコッフェルセット。

 こちらにあれば、便利そうなものを沢山書いた。

 そうして俺は、自分で騒動の種をばらまいていく。
 書いているときは、なんだかハイテンションで楽しくて。
 あんな事良いな? できたら良いなと言うノリで、書いちゃったんだよ。
 保存調味料なども欲しかったし。
 煮干しや、在るか判らないが、昆布の粉末とかまあね。徹夜でおかしかった。以上(異常)。

 翌日、かなりの分厚さになった紙を纏めて持って行く。
 この世界、紙はあるが分厚い。
 ホモジナイザー(粉砕機)も書けば良かったか? まあ良いや。

 そう思いながら、カウンターへ行く。すると、脇の通路を開けてくれて、個室へと案内される。個室は二階。

 そして、ハンター側のカードも、金が用意されていた。
「すみません。大丈夫だと思いますが、ハンター側は銀級で必ず上位者との模擬戦があります。本当は、実務の試験もありますが、ハウンド侯爵の依頼の達成内容と、今回の騒動で、白金級のモルガン・セバスティヌ様からお墨付きを頂いていて免除となっています」
「模擬戦? まあ良いですけれど。それでこれを、オピドムの町へお願いします」
「はい。お預かりします。それで、模擬戦は今からでもよろしいでしょうか? もうカードを作っちゃったし。受けてくれないと叱られるので」
 そう言って、彼女の耳が、へにょっとなる。

「分かりました。良いですよ」
 そう答えて、一階の訓練場へ降りていく。
「こんなものが、あったんだ?」
 そう思って見回していると、訓練場の真ん中でふてくされた獅子? ライオンがイライラした感じで待っていた。

「彼が相手ですか?」
「そうです。今朝来たのを捕まえて、えーともう四時間ほど待っていますから、ちょっとご機嫌が悪いようですね」
 四時間? そりゃ機嫌も悪いだろう。

「すみません。お待たせいたしました」
 そう言って、手を伸ばすが払われる。

「遅え。さっさとやるぞ」
「彼は、金級三年目のフェリクスさん。二十八歳です。見ての通り大剣が得意です。有り余るパワーで大剣を振り回し、あらゆるものを細切れにすると言われています。何故か、ハートブレーカーとか呼ばれています」
「なんで? それって剣とか関係ないよね」
「ここだけの話ですが、フェリクスさんモテなくて。百回以上振られ続けているらしくて、この前百一回目を無事振られたらしいです」

 あー。聞こえたらしく、涙をこらえている。
 ぷるぷるしているし。

「すみません。始めましょうか?」
「てめえ。俺様は今。限界突破をしたぞ。命をかけてこい」
 それって、俺のせいなの?

 そう思っている間に、距離を詰めてきていた。
 早っ、くは無いな。
 二メートル近い巨体が、大剣を八相に構えて走ってくる。
 あれで振り回せるのか。凄いな。

 間合いに入るやいなや、剣を振ってくる。
 彼のリーチと、大剣を合わせると二メートル近い間合い。
 軽くしゃがみ、躱すと、頭上をうなりを上げて通り過ぎる。
 そのまま、剣先は円軌道を描き、今度は、こちらへ縦に振られてくる。
 身を躱して、刀身をぶん殴る。

 俺の使う技により振動が伝わったのだろう、彼の手から大剣が離れ、地面に突き刺さる。だが彼は、そのまま殴りに来る。
 それをはじき返すと、手が痺れたようで、逆の左手で殴ってくる。
 当然はじく。
 すると、両手が痺れたようだ。

「卑怯だぞてめえ。何をしやがった」
「手を払っただけ」
 簡潔にそう返したが、彼は頭から突っ込んできながら、砂を蹴りあげる様子が見える。
 むろん。かぶってあげる義理もない。
 シールドを、一瞬展開して砂を防ぎ。彼のがら空きになったボディに、軽く拳を打ち込む。

「あがえあ」
 そんな、謎の言葉を残し、顔面から地面へ突っ込む。
 両手が使えずに倒れれば、そうなるよね。

「凄ーい。楽勝ですね。強ーい」
 彼女が、そう言いながら、喉をゴロゴロ鳴らしている。
「じゃあ。手続きをしますので、上に行きましょう」
「えっ? 彼は、あのまま?」
「ああ、息はしていますし、そのうち目が覚めるでしょう。きっとこれで、自惚れも治って真面目になるのじゃ、無いでしょうか」
 そうか、今回何かをして、その罰を食らったのかな?

「今回のは、試験の形で彼への罰則だったのか?」
「まあ強さは、先ほども言った通り、セバスティヌ様から聞き及んでいましたし。一応試験は規定により行わないといけませんし。彼ね、色々なことを、すぐ人のせいにするし、彼氏持ちの女の子の体を触るし困っていたんです。変に強いし」
 そう言いながら、軽やかに個室への階段を上がっていく。

 そして、無事、金のカードを貰った。

 話をして降りてくると、落ち込んでいるフェリクスに寄り添う子が居る。
 どうも獣人は性別も今イチ分からない。だけど雰囲気、心配してくれる彼女がいるじゃないか。俺はそれを見ながら帰ったが、フェリクスに寄り添っていたのは、後日男だと知る。
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