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第五章 混沌の大陸
第65話 修羅の国々
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ラウラから、この周辺のことは聞いている。
力のある、豪族と呼ばれる者がこの大陸の各地を治め、一応最大の者は朝廷と呼ばれているようだ。
まるで、古墳時代や大和時代のような文言だが、これは対応する言葉がきっとそれなんだろう。
大分、言語理解の癖というか、翻訳の違和感になれてきた。
今筆頭で力がある者は、テクセレアーグロ家、前魔王と関わりがあり、当主も魔王と呼ばれているらしい。魔道具の供与を受けて一気に支配地域を拡大をした。
もう一つが、ディベス家。
こいつが、兵隊ほしさにコンチネンスビスタ大陸へ出兵し、獣人達と戦争をした奴。
他にも、ビールトスフルーメン家や、細かな家が多数ある。
そして、アキツの国と呼び大陸の中心で覇権を叫んでいるのが、本来の大陸の覇者だった朝廷と呼ばれている家。
まだ影響はあるらしいが、その力はかなり弱くなっている。
まあ力が無くなったせいで、各家が、自前の軍をつくり、周囲に侵攻する。
奪われた領地を取り戻すため、又侵攻を繰り返し、泥沼。
緩衝地帯でも作れば良いのにと思うが、緩衝地帯がいつの間にか占領され、その境界が自国に食い込んでくる。
そして、又反撃。
そんな状態を、百年以上続けているようだ。
そのため少し悩み、最初にどこへ行こうかと思ったが、やっぱりディベス家だろう。
攫われてきた、亜人の扱いが気になる。
強引に、連れてこられた者達だ。
奴隷のような扱いならばと思ったが、向こうの大陸と違い、歩いていてもシルヴィとテレザの事は気にされず、俺の格好の方が気になるようだ。
白い詰め襟ぽい服は、目立つのだろうか?
街道に関は無く、往来は特に規制されていない。
道の脇にぽつんと茶店があり、入ってみる。
懐かしの団子にお茶。品書きとしてそう書いてある。
「団子と、お茶頂戴」
「はいよ、五文だよ」
文? そう言われて、お金がないことに気がつく。
「これで良いかい?」
そう言って、銅貨を渡すと、まじまじと見始める。
「まあいいか」
そう言うと、秤で量り始める。片側には、穴の開いた小さなコインが積まれていく。
「重さでいけば、丁度五文くらいだ」
「それなら、三つおくれ」
あと二つ、銅貨を渡す。
「銅貨一つで百円くらいかと思ったが、団子一串とお茶で銅貨一枚。百円と言えばその位か」
ぼやきながら、三人並んでお団子を食べ、御茶をすする。
目前の街道は、意外と重要な街道らしく、人々や荷車が行き交う。
その中で、荷車の人足などに、よく見ると亜人が混ざっている。
だが、こき使われていると言うよりは、普通の仕事のようだ。
荷運びの一台が止まり、おばさんに団子を注文する。
団子とお茶を受け取りながら、こちらを、チラリと見る。
「珍しいな、獣人か?」
自分もそうだろうに。
「こちらでは、亜人が、獣人なのか?」
「うん? 亜人は魔族だろ」
ああ、分かった。こっちには、全身に毛が生えた完全な獣系の獣人がいない。
そのため亜人が獣人になり、人に見た目が近い魔族が、亜人のようだ。
それよりも、魔族と交流があるのか?
「亜人は、よく見るのか?」
ついため口で聞いてしまった。
「ガキにくせに態度がでかいな。まあいい。町中に行けば、たまにいるぞ」
「分かった、ありがとう」
先に、金は払ってあるので、店を後にする。
「なに者かねえ?」
「服の生地は、上等そうだが、絹でもないな。金は?」
「こちらです」
「これは、見たことがある。獣人たちの国の金だ」
茶屋のおばさんと、荷運びの亜人。いや、獣人が俺達の背中を見ながら相談をする。
「組頭には、俺が報告をしておく。再び、ここを通るようなら、目印を出しておけ」
「承知いたしました」
おばさんは、人間なのだが、立場は低いようだ。
気配と、音による空気の振動を魔力により増幅する。
これも酔っ払った、ラウラが教えてくれた。
逆に狙った相手に向けてだけ、指向性を持たせて、同じように出すこともできる。
内緒話に便利だそうだ。
さて、組頭とは何だろうなぁ。
悩んでいると、以外と早い段階で接触があった。
「あいつだな」
警戒をしていた、俺の耳が言葉を拾う。
ちらっと見ると、紙を見てこちらを確認している。
「潜入組の警戒網を簡単に突破し、船で二週間掛かる距離を一月も掛かったのは不明だが、トラテイトの獣人とはいえ、我らコルダの里が指導した奴らも、かなりの手練れだったはず、気を付けろ」
トラテイトの獣人? ああ、あれか。じじいのふりをした忍者達。
こちらからの間者だったのか。
あそこが拠点だったんだな。
「ねえ。主様。どうします?」
テレザが、そっと道照の手を取りながら聞いてくる。
「接触があるまで待とう。どうせ、タイミングを計って接触をしてくるだろう」
「はーい。まだ明るいし。まだ先かな」
うんうんと、テレザはなっとくした様子。
「そうね。テレザ。どうして、どさくさ紛れに、道照と手を繋いでいるの?」
テレザは現在、ニコニコしながら、恋人繋ぎで指を絡めている。
「良いじゃ無い。敵はまだ攻めてこないし」
「もう」
こちらは、ほのぼのした雰囲気だが、時間を経るごとに付いてくる気配が増えてくる。
道を逸れ、脇にあった、空き地へ入る。
背の低い茅? いや? これは!! 収穫の終わった田んぼだ。
思わず、小躍りしそうになる。
収穫が稲刈りではなく、稲穂だけを採取する穂摘の様で一瞬、稲だと分からなかった。
「気がつかれるとはなぁ。お前達何者だ?」
「魔王国、四天王。炎の炎呪様の手の者だ。お前達こそ何者だ」
さらっと、大嘘ではったりをかます。
「なっ何だと、魔王様の……」
あら? 意外と効き目がある様だ。
力のある、豪族と呼ばれる者がこの大陸の各地を治め、一応最大の者は朝廷と呼ばれているようだ。
まるで、古墳時代や大和時代のような文言だが、これは対応する言葉がきっとそれなんだろう。
大分、言語理解の癖というか、翻訳の違和感になれてきた。
今筆頭で力がある者は、テクセレアーグロ家、前魔王と関わりがあり、当主も魔王と呼ばれているらしい。魔道具の供与を受けて一気に支配地域を拡大をした。
もう一つが、ディベス家。
こいつが、兵隊ほしさにコンチネンスビスタ大陸へ出兵し、獣人達と戦争をした奴。
他にも、ビールトスフルーメン家や、細かな家が多数ある。
そして、アキツの国と呼び大陸の中心で覇権を叫んでいるのが、本来の大陸の覇者だった朝廷と呼ばれている家。
まだ影響はあるらしいが、その力はかなり弱くなっている。
まあ力が無くなったせいで、各家が、自前の軍をつくり、周囲に侵攻する。
奪われた領地を取り戻すため、又侵攻を繰り返し、泥沼。
緩衝地帯でも作れば良いのにと思うが、緩衝地帯がいつの間にか占領され、その境界が自国に食い込んでくる。
そして、又反撃。
そんな状態を、百年以上続けているようだ。
そのため少し悩み、最初にどこへ行こうかと思ったが、やっぱりディベス家だろう。
攫われてきた、亜人の扱いが気になる。
強引に、連れてこられた者達だ。
奴隷のような扱いならばと思ったが、向こうの大陸と違い、歩いていてもシルヴィとテレザの事は気にされず、俺の格好の方が気になるようだ。
白い詰め襟ぽい服は、目立つのだろうか?
街道に関は無く、往来は特に規制されていない。
道の脇にぽつんと茶店があり、入ってみる。
懐かしの団子にお茶。品書きとしてそう書いてある。
「団子と、お茶頂戴」
「はいよ、五文だよ」
文? そう言われて、お金がないことに気がつく。
「これで良いかい?」
そう言って、銅貨を渡すと、まじまじと見始める。
「まあいいか」
そう言うと、秤で量り始める。片側には、穴の開いた小さなコインが積まれていく。
「重さでいけば、丁度五文くらいだ」
「それなら、三つおくれ」
あと二つ、銅貨を渡す。
「銅貨一つで百円くらいかと思ったが、団子一串とお茶で銅貨一枚。百円と言えばその位か」
ぼやきながら、三人並んでお団子を食べ、御茶をすする。
目前の街道は、意外と重要な街道らしく、人々や荷車が行き交う。
その中で、荷車の人足などに、よく見ると亜人が混ざっている。
だが、こき使われていると言うよりは、普通の仕事のようだ。
荷運びの一台が止まり、おばさんに団子を注文する。
団子とお茶を受け取りながら、こちらを、チラリと見る。
「珍しいな、獣人か?」
自分もそうだろうに。
「こちらでは、亜人が、獣人なのか?」
「うん? 亜人は魔族だろ」
ああ、分かった。こっちには、全身に毛が生えた完全な獣系の獣人がいない。
そのため亜人が獣人になり、人に見た目が近い魔族が、亜人のようだ。
それよりも、魔族と交流があるのか?
「亜人は、よく見るのか?」
ついため口で聞いてしまった。
「ガキにくせに態度がでかいな。まあいい。町中に行けば、たまにいるぞ」
「分かった、ありがとう」
先に、金は払ってあるので、店を後にする。
「なに者かねえ?」
「服の生地は、上等そうだが、絹でもないな。金は?」
「こちらです」
「これは、見たことがある。獣人たちの国の金だ」
茶屋のおばさんと、荷運びの亜人。いや、獣人が俺達の背中を見ながら相談をする。
「組頭には、俺が報告をしておく。再び、ここを通るようなら、目印を出しておけ」
「承知いたしました」
おばさんは、人間なのだが、立場は低いようだ。
気配と、音による空気の振動を魔力により増幅する。
これも酔っ払った、ラウラが教えてくれた。
逆に狙った相手に向けてだけ、指向性を持たせて、同じように出すこともできる。
内緒話に便利だそうだ。
さて、組頭とは何だろうなぁ。
悩んでいると、以外と早い段階で接触があった。
「あいつだな」
警戒をしていた、俺の耳が言葉を拾う。
ちらっと見ると、紙を見てこちらを確認している。
「潜入組の警戒網を簡単に突破し、船で二週間掛かる距離を一月も掛かったのは不明だが、トラテイトの獣人とはいえ、我らコルダの里が指導した奴らも、かなりの手練れだったはず、気を付けろ」
トラテイトの獣人? ああ、あれか。じじいのふりをした忍者達。
こちらからの間者だったのか。
あそこが拠点だったんだな。
「ねえ。主様。どうします?」
テレザが、そっと道照の手を取りながら聞いてくる。
「接触があるまで待とう。どうせ、タイミングを計って接触をしてくるだろう」
「はーい。まだ明るいし。まだ先かな」
うんうんと、テレザはなっとくした様子。
「そうね。テレザ。どうして、どさくさ紛れに、道照と手を繋いでいるの?」
テレザは現在、ニコニコしながら、恋人繋ぎで指を絡めている。
「良いじゃ無い。敵はまだ攻めてこないし」
「もう」
こちらは、ほのぼのした雰囲気だが、時間を経るごとに付いてくる気配が増えてくる。
道を逸れ、脇にあった、空き地へ入る。
背の低い茅? いや? これは!! 収穫の終わった田んぼだ。
思わず、小躍りしそうになる。
収穫が稲刈りではなく、稲穂だけを採取する穂摘の様で一瞬、稲だと分からなかった。
「気がつかれるとはなぁ。お前達何者だ?」
「魔王国、四天王。炎の炎呪様の手の者だ。お前達こそ何者だ」
さらっと、大嘘ではったりをかます。
「なっ何だと、魔王様の……」
あら? 意外と効き目がある様だ。
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