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29 開かずの間の秘密
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お風呂上がりのラングリフ様は、卑怯です。
「…………」
「どうしたのだ、リリエッタ。何故、無言になって俺から顔を背ける?」
よりによってタオルで髪を拭きながら戻ってきました、この人。
ああ、もう、直視できません。
そのラフに乱れた黒髪も、濡れた光を宿す瞳も、上気したままのお顔も。
「ラングリフ様はご自分の魅力にもう少し自覚的であるべきです」
「何の話だ……?」
やはり、長い間離れているというのはよくありませんね。
見慣れていたはずの景色が、急に特別なものに思えてきてしまうのですから。
「……はぁ、頬が熱い」
「大丈夫か?」
「ひゃっ」
ラングリフ様がいきなり顔を近づけてきて、驚きに飛び退いてしまいました。
「リリエッタ?」
彼は私の名を呼んで、不思議そうにしています。
ああ、本当に卑怯です。その色気あるお姿も、無防備で可愛げ溢れる表情も。
これ以上は、本気で恥ずかしくなってしまいそうです。
私は強引にでも話題を変えることにしました。
「ラングリフ様、それよりも『開かずの間』に行きませんか?」
「ああ、そうだな。汗も流したし、行くとしよう。何があるのか楽しみだ」
そのラングリフ様のお言葉に、裏は一切ありません。
彼は純粋に、入ったことのない部屋に何があるのか気になっているだけです。
そこにあるのは未知に対する強い興味と、無垢な探求心なのでしょう。
私は、花の紋章の鍵を手に、ラングリフ様と一緒に二階にと上がっていきます。
今の時点で、すでに私の心臓は緊張から鼓動を速めていました。
この先に何があるのか、私はすでに知っています。
「リリエッタは、すでに部屋には入ったのか?」
「マリセアさんに協力してもらって、一度。危険の有無の確認は必要でしたので」
「そうか。そうだな」
ラングリフ様も必要性を認めて、うなずかれます。
使用人に最初に入ってもらい、それから私とマリセアさんで確認しました。
「大丈夫だったのか? 危険はなかったのだな?」
部屋へ向かう途中、彼はそれをしつこく尋ねてきます。
でもそれは自分の身に危険が及ぶ不安からではなく、私を案じてのことでした。
「はい、大丈夫でした。リリエッタは目の前に立っているでしょう?」
「ならば、よかった」
ラングリフ様はホッと胸を撫で下ろされました。過保護な人。嬉しいですけど。
もうすぐ『開かずの間』というところで、今度は私が問いかけます。
「ラングリフ様にとって、王妃様はどのような方だったのですか?」
「アンジェリカ様か?」
「はい。私は、あの方が亡くなられるまで、一度もお話しできなかったので……」
「そうだったな。……アンジェリカ様は、俺の母親同然の人だったよ」
母親同然。
その言葉は、敬愛の念と共に発せられました。
王妃様が亡くなられたときは、彼もその死を大変悼んでおられました。
この方は、心の底からアンジェリカ様を敬われていた。それを感じました。
「母に疎まれ、呪われた俺を、我が子ではないにも関わらず慈しんでくれた。気性の激しいところはあったが、それでも俺を想ってくれているのは伝わったよ」
「そうですか……」
「アンジェリカ様が、どうかしたのか?」
さすがに、このタイミングで話に出せば気づかれますよね。
私はごまかすことなく、率直に告げました。
「この鍵を託してくださったのが、アンジェリカ様なのです」
「何……?」
「正確には、間に人を介して私に渡されました。……着きましたね」
私と彼の前には、鍵と同じ花の紋章が描かれた扉があります。
そこが『開かずの間』。ラングリフ様も入られたことのないお部屋です。
「何か、無駄に緊張するものだな……」
言葉通り、彼のお顔はかすかに強張っていました。
この先にあるものへの期待と興味が、そろそろ最高潮に達しつつあるようです。
「開けますね」
「頼む」
彼に確認をしたのち、私は花の紋章の鍵を鍵穴に差し込んで、回します。
カチャリ、と、小さく。けれども確かな、鍵の開いた音。
ノブを回すと、扉はゆっくりと奥へ向かって開かれていきました。
窓がない部屋で中は暗いですが、魔法照明は生きているので、それをつけます。
天井の魔法陣に光が走り、部屋を明るく照らし出します。
そのときの一瞬の眩しさに目をつむりますが、それもすぐに収まります。
「ここが……」
耳元に聞こえる、ラングリフ様の声。
明かりの下に見える『開かずの間』が、彼にはどう見えるのでしょう。
私が無言でラングリフ様の反応を窺っていると――、
「何というか、拍子抜けだな……」
ちょっと残念そうな声で、彼はそう言ったのです。
それもわかります。部屋の中は、いっそ殺風景とすらいえるものですから。
「小さな机に、ベッドが一つ。それと棚だけか。随分とこざっぱりした部屋だ」
部屋の中に入り、ラングリフ様は中を改めて見回します。
しかし、今見えているもの以外に、何か隠されているということはありません。
その部屋は狭くて、そして何もない部屋でした。
部屋の真ん中に立ち尽くしているラングリフ様に、私は種明かしをします。
「このお部屋は、ルリカ様のお部屋です」
私が告げたそのお名前に、ラングリフ様の肩が小さく揺れます。
そして彼はこちらを振り返り、その唇を震わせました。
「……母の?」
そうです。
ルリカ様は、ラングリフ様の生母。彼を生んで早くに亡くなられた方です。
「はい。ルリカ様は生前、このお部屋を使われていたそうです」
「そうだったのか。それは、驚いたな……」
ラングリフ様が声を硬くします。
でもそれは、驚きによるものではありません。私にはわかります。
拒否感。
ルリカ様のお名前を聞いた途端、彼の全身から、強い拒否感が発されたのです。
「奥様」
後ろから、声をかけられました。
そこにはマリセアさんの姿。頼んでおいたものを持ってきてくれたようです。
「そうか、ここは母が使っていた部屋か。期待外れに終わったな」
彼はこちらに気づかないまま、そう結論づけて部屋を出ようとします。
しかし、私は彼の前に立ちはだかって、それを阻みました。
「お待ちください、ラングリフ様」
「何だ、リリエッタ。そこをどいてくれないか。出られないのだが……」
「お部屋を出られる前に、こちらをお読みいただけませんか」
マリセアさんから受け取ったものを、私は彼に差し出します。
それは、古びた日記帳でした。扉や鍵と同じく、花の紋章が描かれています。
「この日記帳は、私がこちらを確認した際に見つけたものです」
「では、まさか……」
差し出した日記帳に目を落とすラングリフ様に、私はうなずきました。
「そうです。これは、ルリカ様の日記です」
「…………」
「どうしたのだ、リリエッタ。何故、無言になって俺から顔を背ける?」
よりによってタオルで髪を拭きながら戻ってきました、この人。
ああ、もう、直視できません。
そのラフに乱れた黒髪も、濡れた光を宿す瞳も、上気したままのお顔も。
「ラングリフ様はご自分の魅力にもう少し自覚的であるべきです」
「何の話だ……?」
やはり、長い間離れているというのはよくありませんね。
見慣れていたはずの景色が、急に特別なものに思えてきてしまうのですから。
「……はぁ、頬が熱い」
「大丈夫か?」
「ひゃっ」
ラングリフ様がいきなり顔を近づけてきて、驚きに飛び退いてしまいました。
「リリエッタ?」
彼は私の名を呼んで、不思議そうにしています。
ああ、本当に卑怯です。その色気あるお姿も、無防備で可愛げ溢れる表情も。
これ以上は、本気で恥ずかしくなってしまいそうです。
私は強引にでも話題を変えることにしました。
「ラングリフ様、それよりも『開かずの間』に行きませんか?」
「ああ、そうだな。汗も流したし、行くとしよう。何があるのか楽しみだ」
そのラングリフ様のお言葉に、裏は一切ありません。
彼は純粋に、入ったことのない部屋に何があるのか気になっているだけです。
そこにあるのは未知に対する強い興味と、無垢な探求心なのでしょう。
私は、花の紋章の鍵を手に、ラングリフ様と一緒に二階にと上がっていきます。
今の時点で、すでに私の心臓は緊張から鼓動を速めていました。
この先に何があるのか、私はすでに知っています。
「リリエッタは、すでに部屋には入ったのか?」
「マリセアさんに協力してもらって、一度。危険の有無の確認は必要でしたので」
「そうか。そうだな」
ラングリフ様も必要性を認めて、うなずかれます。
使用人に最初に入ってもらい、それから私とマリセアさんで確認しました。
「大丈夫だったのか? 危険はなかったのだな?」
部屋へ向かう途中、彼はそれをしつこく尋ねてきます。
でもそれは自分の身に危険が及ぶ不安からではなく、私を案じてのことでした。
「はい、大丈夫でした。リリエッタは目の前に立っているでしょう?」
「ならば、よかった」
ラングリフ様はホッと胸を撫で下ろされました。過保護な人。嬉しいですけど。
もうすぐ『開かずの間』というところで、今度は私が問いかけます。
「ラングリフ様にとって、王妃様はどのような方だったのですか?」
「アンジェリカ様か?」
「はい。私は、あの方が亡くなられるまで、一度もお話しできなかったので……」
「そうだったな。……アンジェリカ様は、俺の母親同然の人だったよ」
母親同然。
その言葉は、敬愛の念と共に発せられました。
王妃様が亡くなられたときは、彼もその死を大変悼んでおられました。
この方は、心の底からアンジェリカ様を敬われていた。それを感じました。
「母に疎まれ、呪われた俺を、我が子ではないにも関わらず慈しんでくれた。気性の激しいところはあったが、それでも俺を想ってくれているのは伝わったよ」
「そうですか……」
「アンジェリカ様が、どうかしたのか?」
さすがに、このタイミングで話に出せば気づかれますよね。
私はごまかすことなく、率直に告げました。
「この鍵を託してくださったのが、アンジェリカ様なのです」
「何……?」
「正確には、間に人を介して私に渡されました。……着きましたね」
私と彼の前には、鍵と同じ花の紋章が描かれた扉があります。
そこが『開かずの間』。ラングリフ様も入られたことのないお部屋です。
「何か、無駄に緊張するものだな……」
言葉通り、彼のお顔はかすかに強張っていました。
この先にあるものへの期待と興味が、そろそろ最高潮に達しつつあるようです。
「開けますね」
「頼む」
彼に確認をしたのち、私は花の紋章の鍵を鍵穴に差し込んで、回します。
カチャリ、と、小さく。けれども確かな、鍵の開いた音。
ノブを回すと、扉はゆっくりと奥へ向かって開かれていきました。
窓がない部屋で中は暗いですが、魔法照明は生きているので、それをつけます。
天井の魔法陣に光が走り、部屋を明るく照らし出します。
そのときの一瞬の眩しさに目をつむりますが、それもすぐに収まります。
「ここが……」
耳元に聞こえる、ラングリフ様の声。
明かりの下に見える『開かずの間』が、彼にはどう見えるのでしょう。
私が無言でラングリフ様の反応を窺っていると――、
「何というか、拍子抜けだな……」
ちょっと残念そうな声で、彼はそう言ったのです。
それもわかります。部屋の中は、いっそ殺風景とすらいえるものですから。
「小さな机に、ベッドが一つ。それと棚だけか。随分とこざっぱりした部屋だ」
部屋の中に入り、ラングリフ様は中を改めて見回します。
しかし、今見えているもの以外に、何か隠されているということはありません。
その部屋は狭くて、そして何もない部屋でした。
部屋の真ん中に立ち尽くしているラングリフ様に、私は種明かしをします。
「このお部屋は、ルリカ様のお部屋です」
私が告げたそのお名前に、ラングリフ様の肩が小さく揺れます。
そして彼はこちらを振り返り、その唇を震わせました。
「……母の?」
そうです。
ルリカ様は、ラングリフ様の生母。彼を生んで早くに亡くなられた方です。
「はい。ルリカ様は生前、このお部屋を使われていたそうです」
「そうだったのか。それは、驚いたな……」
ラングリフ様が声を硬くします。
でもそれは、驚きによるものではありません。私にはわかります。
拒否感。
ルリカ様のお名前を聞いた途端、彼の全身から、強い拒否感が発されたのです。
「奥様」
後ろから、声をかけられました。
そこにはマリセアさんの姿。頼んでおいたものを持ってきてくれたようです。
「そうか、ここは母が使っていた部屋か。期待外れに終わったな」
彼はこちらに気づかないまま、そう結論づけて部屋を出ようとします。
しかし、私は彼の前に立ちはだかって、それを阻みました。
「お待ちください、ラングリフ様」
「何だ、リリエッタ。そこをどいてくれないか。出られないのだが……」
「お部屋を出られる前に、こちらをお読みいただけませんか」
マリセアさんから受け取ったものを、私は彼に差し出します。
それは、古びた日記帳でした。扉や鍵と同じく、花の紋章が描かれています。
「この日記帳は、私がこちらを確認した際に見つけたものです」
「では、まさか……」
差し出した日記帳に目を落とすラングリフ様に、私はうなずきました。
「そうです。これは、ルリカ様の日記です」
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