笑顔の花は孤高の断崖にこそ咲き誇る

 私は侯爵家の令嬢リリエッタ。
 皆様からは笑顔が素敵な『花の令嬢』リリエッタと呼ばれています。
 私の笑顔は、婚約者である王太子サミュエル様に捧げるためのものです。

『貴族の娘はすべからく笑って男に付き従う『花』であるべし』

 お父様のその教えのもと、私は『花の令嬢』として笑顔を磨き続けてきました。
 でも、殿下が選んだ婚約者は、私ではなく妹のシルティアでした。
 しかも、私を厳しく躾けてきたお父様も手のひらを返して、私を見捨てたのです。

 全てを失った私は、第二王子のもとに嫁ぐよう命じられました。
 第二王子ラングリフ様は、生来一度も笑ったことがないといわれる孤高の御方。

 決して人を寄せ付けない雰囲気から、彼は『断崖の君』と呼ばれていました。
 実は、彼には笑うことができない、とある理由があったのです。

 作られた『笑顔』しか知らない令嬢が、笑顔なき王子と出会い、本当の愛を知る。
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