37 / 57
第八話 今更の世界観説明 その4「ベッドタイムストーリー」
しおりを挟む
ベバニーはその後しばらく、デーツの腹に泣きついていた。
冷静な人間なら、あの醜い腹に顔をすりつけようとは思わないだろうが、今の彼は、今まで溜めていた思いがあふれ出て、冷静さを欠いていたようである。
そして泣き終わった後、あくびをしながら目をこすり始めた。
「眠たくなったか」
「ごめんなさいお母さん」
「だから、我はただの風俗説教おばさん。人間のクズだ。そんないい存在じゃない。
だから今から聞かせる話はクズの戯言、真剣に聞かなくていい」
デーツはベバニーをお姫様抱っこし、ベッドに寝かせた。
そして親が子供に夜寝る前のお話をするように、ベッドに座って話を始めた。
「我の半生は、語るにはあまりにも長過ぎるから省略させてもらう。
そうだな、今現在の話をしよう。今は買い取った要塞の中で仲間たちと暮らしている」
「仲間?」
「ああ、さっき来たあのスケベエルフとか。あとは口の悪い奴に、二番目に口の悪い奴に、あと声がデカい奴とそれから・・・・・・とにかく変な連中だ。我も含めてな」
「どうやって出会ったの?」
「うーん、これも長い話なのだが、ざっくり言うと旅をしていて、その途中で出会ったんだ」
「旅?」
ベッドに横たわり眠気に誘われたベバニーは、子供頃のような気分になっていたのか、好奇心旺盛に目を輝かせた。
「ああ、旅はいいぞ。世界中を色々回ったが、どれも目を見張る光景ばかりだ」
「どんなの? ねえどんなの?」
「例えば、あの地図でいうと、境界線のほら、レイドの南西ぐらいかな、あそこにはドラゴンが住む谷があるんだ」
デーツはベバニーが壁に描いた地図を指さして見せる。
「そこではドラゴンと人が仲良く住んでいてな」
「嘘だ。だってドラゴンは人間を食べる」
「だが、そこのドラゴンは岩を食べてるんだ」
「えー、変だよ。ドラゴンだよ」
「実際にドラゴンに会ったことは?」
「ないけど」
「じゃあ、実際に会いに行ってみないとな」
「どうやったら会える?」
「そりゃあ旅をすればいい」
「無理だよ。僕には」
「無理じゃないさ。確かに大変なことだが、知恵はあるからすぐには死なんさ」
「でも力はない」
「その時は仲間に頼れ」
「仲間ってどうやったらできる?」
「うーん・・・・・・我の場合は、なんかできてた。だからお前もなんかいつの間にか仲間ができるだろ」
「そんな無責任な」
「言ったろ、クズの戯言真剣に聞かなくていいって」
「ふふっ。旅、旅かあ、お金が溜まったら仕事辞めて行きたいなぁ」
そう言いながら、ベバニーは眠りについた。
「まあ今日が最後の勤めになるけどな」
その時、建物の奥の方で大きな音が鳴った。
「始めたか。でもー・・・・・・あいつ一人でいいだろう」
冷静な人間なら、あの醜い腹に顔をすりつけようとは思わないだろうが、今の彼は、今まで溜めていた思いがあふれ出て、冷静さを欠いていたようである。
そして泣き終わった後、あくびをしながら目をこすり始めた。
「眠たくなったか」
「ごめんなさいお母さん」
「だから、我はただの風俗説教おばさん。人間のクズだ。そんないい存在じゃない。
だから今から聞かせる話はクズの戯言、真剣に聞かなくていい」
デーツはベバニーをお姫様抱っこし、ベッドに寝かせた。
そして親が子供に夜寝る前のお話をするように、ベッドに座って話を始めた。
「我の半生は、語るにはあまりにも長過ぎるから省略させてもらう。
そうだな、今現在の話をしよう。今は買い取った要塞の中で仲間たちと暮らしている」
「仲間?」
「ああ、さっき来たあのスケベエルフとか。あとは口の悪い奴に、二番目に口の悪い奴に、あと声がデカい奴とそれから・・・・・・とにかく変な連中だ。我も含めてな」
「どうやって出会ったの?」
「うーん、これも長い話なのだが、ざっくり言うと旅をしていて、その途中で出会ったんだ」
「旅?」
ベッドに横たわり眠気に誘われたベバニーは、子供頃のような気分になっていたのか、好奇心旺盛に目を輝かせた。
「ああ、旅はいいぞ。世界中を色々回ったが、どれも目を見張る光景ばかりだ」
「どんなの? ねえどんなの?」
「例えば、あの地図でいうと、境界線のほら、レイドの南西ぐらいかな、あそこにはドラゴンが住む谷があるんだ」
デーツはベバニーが壁に描いた地図を指さして見せる。
「そこではドラゴンと人が仲良く住んでいてな」
「嘘だ。だってドラゴンは人間を食べる」
「だが、そこのドラゴンは岩を食べてるんだ」
「えー、変だよ。ドラゴンだよ」
「実際にドラゴンに会ったことは?」
「ないけど」
「じゃあ、実際に会いに行ってみないとな」
「どうやったら会える?」
「そりゃあ旅をすればいい」
「無理だよ。僕には」
「無理じゃないさ。確かに大変なことだが、知恵はあるからすぐには死なんさ」
「でも力はない」
「その時は仲間に頼れ」
「仲間ってどうやったらできる?」
「うーん・・・・・・我の場合は、なんかできてた。だからお前もなんかいつの間にか仲間ができるだろ」
「そんな無責任な」
「言ったろ、クズの戯言真剣に聞かなくていいって」
「ふふっ。旅、旅かあ、お金が溜まったら仕事辞めて行きたいなぁ」
そう言いながら、ベバニーは眠りについた。
「まあ今日が最後の勤めになるけどな」
その時、建物の奥の方で大きな音が鳴った。
「始めたか。でもー・・・・・・あいつ一人でいいだろう」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる