17 / 52
ミュンヘン会談1938/09/29
しおりを挟む
1938年9月29日のことである、ミュンヘンにて行われた会談によってズデーデン地方のみならずチェコスロヴァキアの全面的占領を認める羽目になった。通称、「ズデーデンの栄光」である。とはいえ、ヒトラーは望む望まざるに関わらずここで進軍を停止せざるを得ない事情が存在した。何せ、ポーランドを始めラトビア、リトアニア、エストニアなどの東欧諸国家は大日本帝国が独立保障をしており、その上独ソ不可侵条約を結んだ場合、それは即座に日独防共協定の破棄を意味するからだ。だが、小さな事件が起きた。通称「新聞規制事件」である。そう、ヒトラーはチェコスロヴァキアの新聞が自身を嘲弄したことを決して忘れてはいなかったのだ。だが、この事件は小さなものとして処理されることとなる。なぜならば……。
「全く……」
「寝た子を起こす真似をするなとあれほど……」
列強は、チェコスロヴァキアを見捨てる代わりに一時の安寧を手にした。見捨てられたチェコスロヴァキアはたまったものではないが、この当時のドイツ第三帝国は戦力を過小評価されている上に東の方にはもっと危険な蛮族が存在した以上、チェコスロヴァキア程度の代償で済むのなら、というのが列強の判断であった。
「それはそうと、かの外務大臣様はどこにいらっしゃる」
「ああ、それならばカノッサ古城跡地にいらっしゃるようだが」
「何故、そんなところに……。まあいい、急ぐぞ」
「おう」
そして、彼らは「外務大臣様」の言行の真意を尋ねるためにカノッサ古城跡地に向かった。
「イシイ外務大臣、勝手に出歩かれると困ります!」
イシイ外務大臣、つまりは石井菊次郎のことであったが、彼らは日本の外務大臣が結んだ協定の真意を問い質すことにした。その理由は言うまでもあるまい、「東欧協定」がドイツを刺激しかねないということと、同時に本当にソビエト連邦を縛り付けるためだけの、つまりは悪用しないと言えるのかということだ。
「おや、皆さんお集まりで、如何なさいました」
「秘書のやったことなどとは言わせませんよ、あの協定はどういう意味なんですか!」
「……どの、協定ですかな?」
「東欧協定です!あれは本当にそのままの意味で構わんのでしょうな!?」
東欧協定は、根本的に防共協定であったが、それが日独防共協定とリンクしている以上、ドイツの東方への歩武に正当性を与えかねなかった。だが、石井菊次郎ははっきりとこう告げた。
「ええ、大日本帝国の親書は基本的に、裏読みをしても意味が無いものですので」
「……全く……」
……そう、ドイツ以外にも漸く東欧協定の真相が知れ渡ることとなったのである。それは、彼らの埒外のものであり、同時にその協定が秘める意味が恐ろしいものであったのだ、彼らがざわつくのも無理のないことであった。
「全く……」
「寝た子を起こす真似をするなとあれほど……」
列強は、チェコスロヴァキアを見捨てる代わりに一時の安寧を手にした。見捨てられたチェコスロヴァキアはたまったものではないが、この当時のドイツ第三帝国は戦力を過小評価されている上に東の方にはもっと危険な蛮族が存在した以上、チェコスロヴァキア程度の代償で済むのなら、というのが列強の判断であった。
「それはそうと、かの外務大臣様はどこにいらっしゃる」
「ああ、それならばカノッサ古城跡地にいらっしゃるようだが」
「何故、そんなところに……。まあいい、急ぐぞ」
「おう」
そして、彼らは「外務大臣様」の言行の真意を尋ねるためにカノッサ古城跡地に向かった。
「イシイ外務大臣、勝手に出歩かれると困ります!」
イシイ外務大臣、つまりは石井菊次郎のことであったが、彼らは日本の外務大臣が結んだ協定の真意を問い質すことにした。その理由は言うまでもあるまい、「東欧協定」がドイツを刺激しかねないということと、同時に本当にソビエト連邦を縛り付けるためだけの、つまりは悪用しないと言えるのかということだ。
「おや、皆さんお集まりで、如何なさいました」
「秘書のやったことなどとは言わせませんよ、あの協定はどういう意味なんですか!」
「……どの、協定ですかな?」
「東欧協定です!あれは本当にそのままの意味で構わんのでしょうな!?」
東欧協定は、根本的に防共協定であったが、それが日独防共協定とリンクしている以上、ドイツの東方への歩武に正当性を与えかねなかった。だが、石井菊次郎ははっきりとこう告げた。
「ええ、大日本帝国の親書は基本的に、裏読みをしても意味が無いものですので」
「……全く……」
……そう、ドイツ以外にも漸く東欧協定の真相が知れ渡ることとなったのである。それは、彼らの埒外のものであり、同時にその協定が秘める意味が恐ろしいものであったのだ、彼らがざわつくのも無理のないことであった。
1
あなたにおすすめの小説
If太平洋戦争 日本が懸命な判断をしていたら
みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら?
国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。
真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…そして終戦工作 分水嶺で下された「if」の決断。
破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦を描く架空戦記。
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
電子の帝国
Flight_kj
歴史・時代
少しだけ電子技術が早く技術が進歩した帝国はどのように戦うか
明治期の工業化が少し早く進展したおかげで、日本の電子技術や精密機械工業は順調に進歩した。世界規模の戦争に巻き込まれた日本は、そんな技術をもとにしてどんな戦いを繰り広げるのか? わずかに早くレーダーやコンピューターなどの電子機器が登場することにより、戦場の様相は大きく変わってゆく。
改大和型戦艦一番艦「若狭」抜錨す
みにみ
歴史・時代
史実の第二次世界大戦が起きず、各国は技術力を誇示するための
「第二次海軍休日」崩壊後の無制限建艦競争に突入した
航空機技術も発達したが、それ以上に電子射撃装置が劇的に進化。
航空攻撃を無力化する防御陣形が確立されたことで、海戦の決定打は再び「巨大な砲」へと回帰した。
そんな中⑤計画で建造された改大和型戦艦「若狭」 彼女が歩む太平洋の航跡は
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
幻の十一代将軍・徳川家基、死せず。長谷川平蔵、田沼意知、蝦夷へ往く。
克全
歴史・時代
西欧列強に不平等条約を強要され、内乱を誘発させられ、多くの富を収奪されたのが悔しい。
幕末の仮想戦記も考えましたが、徳川家基が健在で、田沼親子が権力を維持していれば、もっと余裕を持って、開国準備ができたと思う。
北海道・樺太・千島も日本の領地のままだっただろうし、多くの金銀が国外に流出することもなかったと思う。
清国と手を組むことも出来たかもしれないし、清国がロシアに強奪された、シベリアと沿海州を日本が手に入れる事が出来たかもしれない。
色々真剣に検討して、仮想の日本史を書いてみたい。
一橋治済の陰謀で毒を盛られた徳川家基であったが、奇跡的に一命をとりとめた。だが家基も父親の十代将軍:徳川家治も誰が毒を盛ったのかは分からなかった。家基は田沼意次を疑い、家治は疑心暗鬼に陥り田沼意次以外の家臣が信じられなくなった。そして歴史は大きく動くことになる。
印旛沼開拓は成功するのか?
蝦夷開拓は成功するのか?
オロシャとは戦争になるのか?
蝦夷・千島・樺太の領有は徳川家になるのか?
それともオロシャになるのか?
西洋帆船は導入されるのか?
幕府は開国に踏み切れるのか?
アイヌとの関係はどうなるのか?
幕府を裏切り異国と手を結ぶ藩は現れるのか?
対ソ戦、準備せよ!
湖灯
歴史・時代
1940年、遂に欧州で第二次世界大戦がはじまります。
前作『対米戦、準備せよ!』で、中国での戦いを避けることができ、米国とも良好な経済関係を築くことに成功した日本にもやがて暗い影が押し寄せてきます。
未来の日本から来たという柳生、結城の2人によって1944年のサイパン戦後から1934年の日本に戻った大本営の特例を受けた柏原少佐は再びこの日本の危機を回避させることができるのでしょうか!?
小説家になろうでは、前作『対米戦、準備せよ!』のタイトルのまま先行配信中です!
土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる