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30.ダブルデート~残り2時間~
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木製のジェットコースターを十分に堪能して、出口から出る。
前を歩いていたさっきの男の子が、振り返って手を振ってきた。2人で手を振りかえす。男の子が背を向けたので、大輝を見ると、携帯電話を手にしていた。
「蓮から『俺ら、晩飯食って帰る予定けど、お前らどうする』って」
「私は食べて帰ろうかな」
大輝が携帯電話から目を離して、真顔で千紗を見てくる。
「じゃ、俺も一緒に食って帰ろ。そう返事しとく」
返信メールを打つ大輝を待ちながら、自分の携帯電話で時間を見る。
16時か。
蓮へ返信したらしい大輝は園内のマップを広げた。
「18時に出口ゲートの前で、だって。あと2つは乗れるかもな」
「じゃ、くるくる回る巨大ブランコ乗りたい。もひとつは、大輝くんが乗りたいものあるなら言って」
ブランコのある方へ向かって歩き出す。大輝があごを上げて、高い位置を指さした。
「最後は観覧車。遊園地の定番だよな」
指さした先には、けっこう大きな観覧車がゆっくりと回っていた。千紗は首をかしげる。
「観覧車って、恋人同士で乗るイメージなんだけど。ああいうの好きなんだ」
チラ見するような目で千紗を見てくる。
「好きとかじゃなくて、遊園地に来たら乗っとかないとって感じかな」
観覧車の場所を探しているのか、千紗がいない方へ顔を向けた。
巨大ブランコから下りて歩くと、少しふらふらする。大きく回されすぎて、平衡感覚を失っているのかもしれない。
「ブランコに乗って、景色を撮ろうと思ったけど無理だった」
千紗はカメラを入れたポシェットを見て、ため息をついた。
小学生くらいの子たちに人気のアトラクションだったのか、ブランコから下りた子どもたちは柵の外で待つ親の元へ、大きく手を振りながら走っていく。両脇をすり抜けるように走る子どもたちにぶつからないよう、大輝は体を斜めにして避けていた。
「けっこう大きく回転したから両手を離すのは勇気いるよな。しかも、足ふらついてるし」
千紗はへの字口にして鼻から大きく息を吐いた。笑いながら、大輝は千紗の頭を軽く2回たたいてくる。
「あ、次、観覧車な。時間もいけそう」
ゆっくり回る観覧車を見上げながら乗り場前まで来ると、係のお兄さんが素晴らしい営業スマイルを見せて手招きしている。
「今なら並ばずに乗れますよ」
おじぎをしながら腕を大きく動かして、観覧車の一つへ案内する動きを見せる。まるで執事のようだった。千紗と大輝は目を合わせて吹き出し、係のお兄さんに吸い寄せられるように観覧車の乗り口へ行く。
先に乗り込んだ大輝はボディバッグを下ろして座る。向かいに千紗が腰を下ろしてすぐ、係のお兄さんが顔の横で小さく手を振り、扉を閉めた。千紗は胸元に下げたポシェットからカメラを取り出す。
「いい景色、撮れるかな」
体をひねって横のガラス窓から少し上の景色を見上げる。頂上はまだまだ先だ。大輝の方から物音がした。
「頂上あたりだと、けっこう遠くまで見れそうだな」
見ると、大輝ものぞきこむようにして観覧車の頂上あたりを見ていた。
「あのさ、写真撮りながらでいいから、俺の話聞いて」
姿勢を戻した大輝が一瞬だけ千紗を見て、体を横に向ける。
前を歩いていたさっきの男の子が、振り返って手を振ってきた。2人で手を振りかえす。男の子が背を向けたので、大輝を見ると、携帯電話を手にしていた。
「蓮から『俺ら、晩飯食って帰る予定けど、お前らどうする』って」
「私は食べて帰ろうかな」
大輝が携帯電話から目を離して、真顔で千紗を見てくる。
「じゃ、俺も一緒に食って帰ろ。そう返事しとく」
返信メールを打つ大輝を待ちながら、自分の携帯電話で時間を見る。
16時か。
蓮へ返信したらしい大輝は園内のマップを広げた。
「18時に出口ゲートの前で、だって。あと2つは乗れるかもな」
「じゃ、くるくる回る巨大ブランコ乗りたい。もひとつは、大輝くんが乗りたいものあるなら言って」
ブランコのある方へ向かって歩き出す。大輝があごを上げて、高い位置を指さした。
「最後は観覧車。遊園地の定番だよな」
指さした先には、けっこう大きな観覧車がゆっくりと回っていた。千紗は首をかしげる。
「観覧車って、恋人同士で乗るイメージなんだけど。ああいうの好きなんだ」
チラ見するような目で千紗を見てくる。
「好きとかじゃなくて、遊園地に来たら乗っとかないとって感じかな」
観覧車の場所を探しているのか、千紗がいない方へ顔を向けた。
巨大ブランコから下りて歩くと、少しふらふらする。大きく回されすぎて、平衡感覚を失っているのかもしれない。
「ブランコに乗って、景色を撮ろうと思ったけど無理だった」
千紗はカメラを入れたポシェットを見て、ため息をついた。
小学生くらいの子たちに人気のアトラクションだったのか、ブランコから下りた子どもたちは柵の外で待つ親の元へ、大きく手を振りながら走っていく。両脇をすり抜けるように走る子どもたちにぶつからないよう、大輝は体を斜めにして避けていた。
「けっこう大きく回転したから両手を離すのは勇気いるよな。しかも、足ふらついてるし」
千紗はへの字口にして鼻から大きく息を吐いた。笑いながら、大輝は千紗の頭を軽く2回たたいてくる。
「あ、次、観覧車な。時間もいけそう」
ゆっくり回る観覧車を見上げながら乗り場前まで来ると、係のお兄さんが素晴らしい営業スマイルを見せて手招きしている。
「今なら並ばずに乗れますよ」
おじぎをしながら腕を大きく動かして、観覧車の一つへ案内する動きを見せる。まるで執事のようだった。千紗と大輝は目を合わせて吹き出し、係のお兄さんに吸い寄せられるように観覧車の乗り口へ行く。
先に乗り込んだ大輝はボディバッグを下ろして座る。向かいに千紗が腰を下ろしてすぐ、係のお兄さんが顔の横で小さく手を振り、扉を閉めた。千紗は胸元に下げたポシェットからカメラを取り出す。
「いい景色、撮れるかな」
体をひねって横のガラス窓から少し上の景色を見上げる。頂上はまだまだ先だ。大輝の方から物音がした。
「頂上あたりだと、けっこう遠くまで見れそうだな」
見ると、大輝ものぞきこむようにして観覧車の頂上あたりを見ていた。
「あのさ、写真撮りながらでいいから、俺の話聞いて」
姿勢を戻した大輝が一瞬だけ千紗を見て、体を横に向ける。
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