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出会い
9話
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フローラは荷台に腰掛け男を待っていた。そういえば名前も聞いていないと思ったが後で聞けばいいかと思い直した。
両親には説明済みだ。リリーに会いたいから村に連れて行ってくれなんて怪しさしかないが商会との契約を無事結ぶことができたようで、フローラが村に連れて行って欲しいという人がいるから荷台に乗せて村に連れて入ってくれないかとお願いすると二つ返事で了承してくれた。もちろんお礼に色々買ってもらったことは内緒だ。
「待たせた。」
「時間通りよ。貴方の名前聞いてなかったわね。出発前に教えてもらっても?」
「アシュレイという。そちらの名前を伺っても?」
「あら、噂の騎士団長様と同じ名前なのね。っといっても狼の獣人ってだけで他は似ても似つかないけれど。私はフローラ。父のベンと母のアンナよ。両親には説明して了承済みよ。村の近くになったらこの幌布を被って荷台に載ってちょうだい。門番には上手く誤魔化すからじっとしててね。」
フローラは簡単にアシュレイに説明して暗くなる前にと出発することにした。
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フローラ達が町を出発した頃、リリーは村のはずれの湖に来ていた。畑の水やりが残っていたが以前出会った狼のことが気になり見に来たのだ。
「やっぱりいないよね。」
狼なんていつもだったら出会いたくもない動物だけれど、最後に無事に逃げられますようにと思いを込めて撫でた時に感じた温かな何かをもう一度確かめてみたいと思い湖に来てみたがいるはずもなく無事に逃げ切れてたらいいなと気持ちを切り替え村に戻ろうとした時“ガサッ”
と森の方から音がして振り向くとスラリとして長い銀髪を一括りにした狐の獣人が木の間から出てきた。
「やったぁ。早速1人みつけちゃった。」
こちらにニヤニヤとしながら近づいてくる男にリリーは警戒しながら後ずさると、兎に角逃げなければと駆け出した。しかし男の、しかも獣人の足に敵う訳がなくあっという間に捕まってしまった。
「逃げないでよぉ、お嬢ちゃん。ちょっと一緒に来て欲しいだけだから。」
「離して!!嫌!村に戻るの!」
リリーは必死に抵抗するが男の腕はびくともしない。それでも諦めず男の腕から出ようともがくが抵抗も虚しく森の方へと引き摺られてしまう。
「嫌!どこに連れて行くつもり!?そっちは魔物が住む森よ!」
「大丈夫だよぉ。俺この森抜けてきたし。ちゃーんと守ってあげるから一緒に来て♡」
リリーはこの森を抜けてきたことにも驚いたが、森を抜けてきたということはそちらに戻るということ。ここは国境近くの村だ。つまりこのままだとアルマニス帝国に連れて行かれてしまう。自分の置かれている状況がとんでもなく悪いことに顔色を悪くしながら、びくともしない腕に必死に抵抗を続けた。
「誰か!!誰か助けて!!!」
「あはは。魔物がいる森だよ?誰も助けに来れないって。いつもはこの辺に来ると強そうな奴の匂いがして諦めてたんだよねー。でも今日来てみたら匂いはしないし、女の子1人でいるじゃん?いやぁ、運がよかったな」
男はいくら抵抗しても離してくれず森の中へ進んで行く。リリーは抵抗虚しく男と2人森の中へ消えて行った。
両親には説明済みだ。リリーに会いたいから村に連れて行ってくれなんて怪しさしかないが商会との契約を無事結ぶことができたようで、フローラが村に連れて行って欲しいという人がいるから荷台に乗せて村に連れて入ってくれないかとお願いすると二つ返事で了承してくれた。もちろんお礼に色々買ってもらったことは内緒だ。
「待たせた。」
「時間通りよ。貴方の名前聞いてなかったわね。出発前に教えてもらっても?」
「アシュレイという。そちらの名前を伺っても?」
「あら、噂の騎士団長様と同じ名前なのね。っといっても狼の獣人ってだけで他は似ても似つかないけれど。私はフローラ。父のベンと母のアンナよ。両親には説明して了承済みよ。村の近くになったらこの幌布を被って荷台に載ってちょうだい。門番には上手く誤魔化すからじっとしててね。」
フローラは簡単にアシュレイに説明して暗くなる前にと出発することにした。
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フローラ達が町を出発した頃、リリーは村のはずれの湖に来ていた。畑の水やりが残っていたが以前出会った狼のことが気になり見に来たのだ。
「やっぱりいないよね。」
狼なんていつもだったら出会いたくもない動物だけれど、最後に無事に逃げられますようにと思いを込めて撫でた時に感じた温かな何かをもう一度確かめてみたいと思い湖に来てみたがいるはずもなく無事に逃げ切れてたらいいなと気持ちを切り替え村に戻ろうとした時“ガサッ”
と森の方から音がして振り向くとスラリとして長い銀髪を一括りにした狐の獣人が木の間から出てきた。
「やったぁ。早速1人みつけちゃった。」
こちらにニヤニヤとしながら近づいてくる男にリリーは警戒しながら後ずさると、兎に角逃げなければと駆け出した。しかし男の、しかも獣人の足に敵う訳がなくあっという間に捕まってしまった。
「逃げないでよぉ、お嬢ちゃん。ちょっと一緒に来て欲しいだけだから。」
「離して!!嫌!村に戻るの!」
リリーは必死に抵抗するが男の腕はびくともしない。それでも諦めず男の腕から出ようともがくが抵抗も虚しく森の方へと引き摺られてしまう。
「嫌!どこに連れて行くつもり!?そっちは魔物が住む森よ!」
「大丈夫だよぉ。俺この森抜けてきたし。ちゃーんと守ってあげるから一緒に来て♡」
リリーはこの森を抜けてきたことにも驚いたが、森を抜けてきたということはそちらに戻るということ。ここは国境近くの村だ。つまりこのままだとアルマニス帝国に連れて行かれてしまう。自分の置かれている状況がとんでもなく悪いことに顔色を悪くしながら、びくともしない腕に必死に抵抗を続けた。
「誰か!!誰か助けて!!!」
「あはは。魔物がいる森だよ?誰も助けに来れないって。いつもはこの辺に来ると強そうな奴の匂いがして諦めてたんだよねー。でも今日来てみたら匂いはしないし、女の子1人でいるじゃん?いやぁ、運がよかったな」
男はいくら抵抗しても離してくれず森の中へ進んで行く。リリーは抵抗虚しく男と2人森の中へ消えて行った。
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