「好き」があふれて止まらない!

梶ゆいな

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【12】ライブ当日

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円陣を組んだあと、新曲の話を再開した三人。

一か月後のライブで披露する曲はわたしが六番目に書いた『はんぶんこ』に決まった。


「赤線を引いた部分については他にも表現がないか考えてくれるか?」

「わかった」

わたしの書いた歌詞は一発OKってわけにはいかなくて何度も書き直した。

小説も一度書いたものをそのままコンテストに出すことはない。

何度も読み返して改稿をする。

だから、書き直すのは苦じゃないんだ。

お昼休みは今までと同じように旧校舎で小説を書いて、放課後にはMEBIUSのみんなと歌詞について話し合う。

小説を書く時間は以前に比べると少し減ってしまったはずなのに進みは前よりもよくなっていた。

これなら夏のコンテストにも間に合いそう。


そして、歌詞が完成したのは初めて歌詞を見てもらった日から五日後のことだった。

作曲は我妻くんがたった一日で完成させてMEBIUSはライブに向けての練習を開始した。

わたしの書いた歌詞にどんなメロディーがついたのか気になって聞いてみたけれど、我妻くんは教えてくれなかった。

ライブ当日まで秘密なんだって。

MEBIUSが曲の練習をする期間、わたしは家で小説を書き続けた。


「よし、一度休憩しよう。スマホ、スマホ」

ペンからスマホに持ち替えて動画サイトを開く。

わたしの息抜きはいつの間にかMEBIUSの曲を聴くことになっていて、彼らの存在が日に日に大きくなっていくのを感じていた。




そして、三週間の時が流れてライブ当日がやってきた。


「はぁ、なんだかドキドキしてきた」

ライブハウスには続々とお客さんが来場して、ステージ近くの場所を確保していく。

今日は中高生バンド限定の日で、五組のライブが十三時から始まる。

持ち時間は一組二十分。

MEBIUSの出演は五番目だ。

初めてライブハウスを訪れたわたしはステージから一番離れた場所でライブのスタートを今か今かと待っていた。

「わたしも昨日はなかなか寝付けなかったわ」


隣にいる持永さん改め海音ちゃんと一緒に。

我妻くんがわたしをマネージャーだと説明した日から、海音ちゃんがよく話しかけてくるようになった。

休み時間は本を読み、お昼休みは旧校舎に消えるわたしと我妻くん(MEBIUS)にしか興味のない海音ちゃん。

クラスにあまり馴染めていなかったわたしたちが一緒にいるようになると担任の先生はほっとしていた。

おそらく、ぼっちのわたしたちを心配してくれていたんだと思う。

わたしと海音ちゃんは好きなことがバラバラで休み時間も別々に過ごすことのほうが多い。

だけど、移動教室には一緒に向かったり、放課後にはMEBIUSの話をしたりして少しずつ距離を縮めていった。

つかず離れずの関係がわたしたちには合っているんだと思う。

今ではすっかり『海音ちゃん』『咲茉』と
お互いを名前で呼ぶようになった。


初めてライブハウスを訪れたわたしに来場方法やライブ中のマナーを教えてくれたのも海音ちゃんだ。

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