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【14】ライブの終わりに
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「MEBIUSのラブソング⋯⋯最高だったわ」
ライブ会場から出て廊下を歩いている間、海音ちゃんはずっと目をうっとりさせていた。
「あの歌詞を咲茉が書いたなんて⋯⋯なかなかやるじゃない」
わたしの腕を肘で小突いてくる海音ちゃん。
「あ、ありがとう⋯⋯」
わたしは三日前、海音ちゃんに本当のことを話した。
マネージャーは表向きのポジションで実はMEBIUSのラブソングを書いていること。
わたしは小説を書いていて、我妻くんがそのことを知って声をかけてきたこと。
仲良くなっていくうちに隠し続けているのが心苦しくなったんだ。
せっかく友達になれた海音ちゃんに本当のことを話すのは怖かった。
MEBIUSの歌詞をわたしが書くなんてファンにとっては嫌なことかもしれないと思ったからだ。
だけど、海音ちゃんの反応はわたしが思っていたものとは少し⋯⋯いや、大分違った。
『咲茉は小説を書いていて、MEBIUSの歌詞も書くことになったのね』
『う、うん。今まで黙っててごめんね』
『ふーん。じゃあ今度、わたしがMEBIUS全員から告白される逆ハー小説でも書いてもらおうかしら』
『わ、わかった。頑張ってみる⋯⋯!』
『冗談よ、冗談。そんなことよりMEBIUSに最高の歌詞を書いてよね。お⋯⋯応援してるから友達として』
『友達⋯⋯?』
『何、文句でもあるの?』
『な、ない! わたしも海音ちゃんのこと友達だと思ってる』
だから、本当のことを話したんだよ。と言うと、海音ちゃんは照れた様子でそっぽを向いた。
なんとなく一緒にいたわたしたちが友達になった大切な日──。
長い廊下を歩いていると、壁際に並ぶ長蛇の列が目に入った。
「あれ、何に並んでるんだろう?」
「物販よ。グッズやCDを売ってるの」
「そうなんだ。MEBIUSのCDも売ってるのかな?」
「ええ。でも、たった今、今日の分は売り切れたらしいわ」
スマホでMEBIUSのアカウントをチェックする海音ちゃん。
他のお客さんもSNSの情報を見たのか、列からMEBIUS目当ての人が大勢去っていった。
学校内だけじゃなくて、学校外でも大人気なんだ。
「咲茉、わたしお手洗いに寄ってから帰るわ。出口はわかる?」
「わかるけど、待ってるよ?」
「待ってもらっても、この後ファンクラブ会員の集まりがあるから帰る方向は別々なの。咲茉も来る?」
「あー⋯⋯、遠慮しときます」
海音ちゃんとは仲良くなれたけど、ファンクラブ会員の人たちの中にまざる勇気はない。
「でしょう? じゃあ、また明日。学校で」
「うん。またね」
海音ちゃんと別れたわたしは前の人に続いて出口を目指す。
ライブの余韻にひとり浸っていると、物陰から腕をつかまれた。
「⋯⋯っ」
声を発する間もなく、手で口を覆われる。
わたしを大きなロッカーの裏に連れ込んだのは、さっきまでステージに立っていた我妻くんだった。
「静かに」
周りのお客さんにバレないように小声で話す我妻くん。
口をふさがれたままのわたしはコクコクと縦に頷いた。
ライブ会場から出て廊下を歩いている間、海音ちゃんはずっと目をうっとりさせていた。
「あの歌詞を咲茉が書いたなんて⋯⋯なかなかやるじゃない」
わたしの腕を肘で小突いてくる海音ちゃん。
「あ、ありがとう⋯⋯」
わたしは三日前、海音ちゃんに本当のことを話した。
マネージャーは表向きのポジションで実はMEBIUSのラブソングを書いていること。
わたしは小説を書いていて、我妻くんがそのことを知って声をかけてきたこと。
仲良くなっていくうちに隠し続けているのが心苦しくなったんだ。
せっかく友達になれた海音ちゃんに本当のことを話すのは怖かった。
MEBIUSの歌詞をわたしが書くなんてファンにとっては嫌なことかもしれないと思ったからだ。
だけど、海音ちゃんの反応はわたしが思っていたものとは少し⋯⋯いや、大分違った。
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『う、うん。今まで黙っててごめんね』
『ふーん。じゃあ今度、わたしがMEBIUS全員から告白される逆ハー小説でも書いてもらおうかしら』
『わ、わかった。頑張ってみる⋯⋯!』
『冗談よ、冗談。そんなことよりMEBIUSに最高の歌詞を書いてよね。お⋯⋯応援してるから友達として』
『友達⋯⋯?』
『何、文句でもあるの?』
『な、ない! わたしも海音ちゃんのこと友達だと思ってる』
だから、本当のことを話したんだよ。と言うと、海音ちゃんは照れた様子でそっぽを向いた。
なんとなく一緒にいたわたしたちが友達になった大切な日──。
長い廊下を歩いていると、壁際に並ぶ長蛇の列が目に入った。
「あれ、何に並んでるんだろう?」
「物販よ。グッズやCDを売ってるの」
「そうなんだ。MEBIUSのCDも売ってるのかな?」
「ええ。でも、たった今、今日の分は売り切れたらしいわ」
スマホでMEBIUSのアカウントをチェックする海音ちゃん。
他のお客さんもSNSの情報を見たのか、列からMEBIUS目当ての人が大勢去っていった。
学校内だけじゃなくて、学校外でも大人気なんだ。
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「わかるけど、待ってるよ?」
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「あー⋯⋯、遠慮しときます」
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「でしょう? じゃあ、また明日。学校で」
「うん。またね」
海音ちゃんと別れたわたしは前の人に続いて出口を目指す。
ライブの余韻にひとり浸っていると、物陰から腕をつかまれた。
「⋯⋯っ」
声を発する間もなく、手で口を覆われる。
わたしを大きなロッカーの裏に連れ込んだのは、さっきまでステージに立っていた我妻くんだった。
「静かに」
周りのお客さんにバレないように小声で話す我妻くん。
口をふさがれたままのわたしはコクコクと縦に頷いた。
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