すみません、その悪役公爵令嬢……私の嫁です

御剣刃金

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セレスティア王立学園編

14.講師からの連絡

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――セレスティア王国王城。

 山を背に街と海を見下ろすその王城は、建国以来その立地故に他国からの侵攻が無い。
 そんな王城の一室にて、午後の紅茶を飲みながら街を見下ろしていた――


――私はアンドレ・セレスティア。
 セレスティア王国、第二王子だ。
 だが長男である兄は既にこの世におらず、弟である私が王位継承第一位に就いている。
 一つ下の弟に6つ下の妹。
 二人とも優秀だった兄の面影を垣間見る事が多い。
 なので王位継承は一位ではあるが、いずれ弟に譲れればと考えない日はない。
 だが周囲はそうは考えず、私に付き従いまた私もその期待に応えようと必死だった。

 そんな必死な私ではあったが、父の命により婚約者をあてがわれた時に闇に落ちそうな私は救われる事になる。


 婚約式が行われる前、用意された服が気に入らず駄々をこねていた。
 式が始まってもたかが服でイライラがつのる。どう見ても道化の様な服に、挨拶に来る者達が私の服を褒める事で更に苛立ちが増していった。

 だがその時、目の前に美しい少女が現れる。
 そう、それが婚約者であるテルマイル嬢。

 そんな彼女が私に最初に掛けた言葉は挨拶でも周りと同じような美辞麗句でも無い。

「……ピエロみたいですわね」

「(ピッ、ピエロだと!?)」

 そう!その通り!どう見てもピエロなのだ!
 あとは赤鼻を着けるだけでもう完成品と言って間違いない!

 そこで私は目の前の美女にピエロと言われた事に急激に恥ずかしくなりその場を逃げ出したのは良い思い出だ。

 あれから彼女に会いたくて何度か茶会へ招待したのだが体調が優れないと断られ、ならばこちらから会いに行こうと面会を取り付けるも、王族が婚約者と会うために何度もハイネケン邸へ訪れるのは王家としては好ましくないらしく、年に一度彼女の家に花を届ける事が唯一あの美しい顔を見る事が出来る機会だった。

 だが学園に通えば毎日の様にテルマイル嬢の顔が見れる。こんな素晴らしい事はない。
 これまで数度しか会えなかったが、それが毎日なのだ。

「テルマイル嬢、お待ちください。明日から私が貴女をお守りします」

 そう誓いティーカップをテーブルへと置いた――

――翌日。


 多くの学生達の中で、野に咲く一凛の白い花の様に咲く女性が居た。
 間違いなくテルマイル・ハイネケン嬢だ。
 出来れば直ぐにでも彼女の近くに行きたいが、入学式が始まる為そうも出来ずグッと我慢をする。

 しかし挨拶をするはずの主席が遅刻とは情けない。こんな事であれば私が先に入学の挨拶をするべきだったか?
 
 漸く主席の挨拶も終わり最後に私が王家の人間として入学の挨拶をする為に席を立ったその時。


――「テルル様、どうぞ先に足を上げて頂けると幸いです」

 
 見れば先程の主席があろうことかテルマイル嬢の足を触ろうとしているではないか!
 しかも、しかもだぞ?
 テルマイル嬢をテ、テルルなどと!

 私は自分の立場も忘れその男に詰め寄る。

「貴様!どういうつもりだ!」

 その後の事は怒りであまりよく覚えてないが、私はあの男に決闘を申し込んだはずだ。
 入学早々問題を起こすとは王家の人間として恥ずべき行為であるのは間違いない。
 間違いないのだが、これをほって置ける程私は大人ではないと言う事だ。

 そしてザクスに王家の影を使ってでもあの主席の男を調べろと命じたのだが、そこで奇妙な事が起こる。
 翌朝、主席の男がサイフォン家と言う事までは分っていたが、そこに配置されていた王家の影が1人行方不明となったと暗部から連絡が入ったのだ。

 武門の家柄とは言え、王家の影を葬る事が出来る程の者が居るとは思えない……どういう事だ?
 まぁ昼にでもザクスに聞いてみるか。あいつも軍務大臣の息子だし何か掴んでいるかもしれないしな。

 そして昼。私は初日から学園を休んでいるテルマイル嬢を心配しながらも、ザクスに現在の状況を聞く。
 だが驚くべき報告はザクスからではなく、デリファンからとんでもない話を聞かされたのだ。
 
 何故テルマイル嬢がサイフォンの家に居るのだ!!婚約者の私はここに居るのだぞ!!

 散々怒りを露わにしてしまい自分の立場を思い出す。

「す、すまん二人とも。今の怒りは忘れてくれ」

 オロオロとする二人に謝罪し再び着席する。

「ふぅー。では本日の授業が終わり次第、事情を確かめにサイフォン家へ伺うとしよう」

 そこでふとザクスの報告を思い出す。
 そう、影の行方がまだ不明なのだ。

 暗部も威信をかけ捜索して居る事だろう……ここは暗部からの報告を待ってから――その時、背後から一人の講師が現れる。

「アンドレ王子、よろしいですか?」

 セレスティア学園は名前の通り王家が直接関わる学園である。
 なので講師陣も王家の家臣と言っても過言ではない。
 そんな講師が声を掛けて来たと言う事は、王家からなにかしらの連絡かもしれない。

「うむ」

「暗部の影が生きて戻りました」

「なに!?容態は」

「はっ、腕を無くしはしましたが命に別状はありません」

「……腕を無くして今までの時間どこに行っていたんだ」

「自身で止血したあと、気絶していた様です」

「成程。で、影をやったのはやはりサイフォン家の人間か?」

 言いながらサイフォン家に対して怒りが最高潮に達している事を自覚する。
 暗部は幼い頃から私の身を直接守って来てくれた集団だ。
 そんな部隊の人間の顔は全員覚えているし、中には兄や姉の様な存在に感じている人も居るのだ。

――だが以外にも首をふる講師がそこに居た。
 そして講師は更に顔を近づけ私に耳打ちする。

「影を襲った者は既に他の影が討ち取っております、ですが国難に繋がる事やもしれません。一度王城へ」

 私はうなずき、ザクスとデリファンを残し学園を後にした。



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