葛城依代の夏休み日記~我が家に野良猫がきました~

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8月24日 火曜日 『一人きりの日』

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8月24日 火曜日 天気:台風
 
 警察が来てから二日が経った。たまに外をのぞくと、近所の曲がり角から私の部屋を見ている男の人と目が合う。きっと見張られているんだろう。こんな状況じゃ、もうマオは帰ってこない。そう思うとひどく寂しい。
 お母さんが仕事に出かけた後、一人っきりの家はこんなに静かだっただろうか。自分以外動くものがなく、聞こえる音と言えば窓の外から聞こえるセミの鳴き声と、家に置いてある冷蔵庫や時計といった電子音のみ。まるで世界から隔離されたかのような錯覚を起こす。いないとわかっていても、諦めきれなくて朝から何度も茂みを覗きに行った。

「マオ……」

 お昼を作っても、見守ってくれる人も食べてくれる人もいない。味気ない食事に食欲もなくなる。

 ――プルルルル

 電話が鳴り、慌てて受話器を取る。

「もしもし?」
『依代、ご飯は食べた? 朝は何してたの?』
「今食べたとこ。朝は本を読んでたよ」
『そう。今日はお父さんが出張から帰ってくるから、外食にしましょ』
「わかった」
『お菓子を食べすぎないようにね』

 最後にそう釘を刺され、返事をするより早くガチャンと切られた。
 警察が来てからというもの、お母さんは仕事中に電話をかけてくるようになった。何をしていたの? と毎回聞かれるけど、マオのことを考えてぼんやりしていたとは言えない。この監視のような電話にもうんざりとしていた。お父さんが帰ってくるといっても、どうせまたすぐに仕事でずっといないのだ。お母さんは嬉しいのだろうけど、私にとっては読み終わった本を送ってくるだけの人。今のこの心境では、どんな顔で会えばいいのかもわからなかった。
 家にいては息が詰まりそう。あんなに一人で過ごすのが好きだったのに、今は早く学校が始まってほしいと強く願っていた。学校のなんでもない会話、たまにわからないところのある宿題で気を紛らわせたい。夏休みの宿題を計画通りに進めた自分が恨めしくもあった。

 ――マオに会いたい。
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