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42話
しおりを挟むザックside
フューリー、アシュトン、ハルシュター
ディレインが集まった当主執務室で
ミーレニア専属と使用人、護衛を呼び
ミーレニア報告会が開かれた
1週間に1回開かれ
各々ミーレニアの様子を語る。そんな会。
一通り、家での様子を
全員報告し終えた所で
フ「残るは学校での報告だな、ザック」
ついに自分の番が来てギクリとする
俺は今日の事を報告するか悩んでいた。
あの事件後、お嬢様専属の我々には
1つだけ必ず守らなければならない決まりがあった
それは、絶対に“大丈夫”と言わせない事。
発見時からボロボロな姿で
大丈夫と言い続けていたんだと
詳細を聞いた我々専属は
言わせない、という事に尽力した。
大丈夫ですか?なんて聞いた日にはクビだろう。
今でこそ元気でいらっしゃる様に見えるが
マクリア卿と合わなくなってからの1年間は
毎日大丈夫だから、と言っていたお嬢様
ダイエットと言って部屋から出る様になってからは
自然と言わなくなっていたのに
今日、また言ってしまったのだ。
フ「なぜ何も言わない?」
「召喚学を1番楽しみにしており、とても集中してお受けしています。次回やっと召喚出来るとお可愛らしくはしゃいでおりました。」
覚悟を決めたつもりだが
これで誤魔化されてくれないかと
ありもしない期待もしてしまう。
ア「あぁ、入学式の日の報告でも楽しみにしてると言っていたね。」
ハ「ミアは何召喚するんですかね?」
ア「なんだろうね。……父上?」
誰が話してもずっと俺の目から
目を逸らさない閣下の視線を皆辿り
注目される
フ「それで?」
「……入学式の日に会った王女殿下と名乗る者達と昼食をとりました。」
どこで気付かれたのか観念し報告する
それだけじゃないだろう?という視線に耐えられず
頭を下げ謝罪する
「すみませんっ!!“大丈夫”と言わせてしまいましたッッ!!」
一瞬で凍てついた空気に変わり
頭を上げることが出来ない
「……ッこちらを」
緊急時用の魔道具を差し出すと
アシュトン様がサッと取り再生する
―それがなにか?
お嬢様の声から始まった声を保存出来る魔道具
聞くのは2回目だが腹立たしくて仕方ない
―被害妄想♪
その一言で殺気が部屋を包んだ
―私は大丈夫だから
そうして終わった魔道具
本当に悔しかった。不甲斐なくて申し訳ない。
「本当に、申し訳ございませんでした……っ」
フ「……ふぅ」
閣下からの殺気は止んだが
アシュトン様、ハルシュター様はそのままで
使用人は少し辛そうだった
フ「来週からゴーシュもミアに付け。それにこいつは王女殿下ではない。次から容赦なくていい。そしてもう1人の女、名前を調べてこい」
ゴ「「はっ!!」」
首の皮ひとつって所だが
もう一度チャンスをもらえた事に感謝し
一層護衛に励む事を誓った。
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