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夏

１．

六月と言うのは土日以外の休みが無い上、梅雨で鬱陶しい天気が続くから、他の月よりも長く感じる気がする。でも、高校三年生の六月はあっという間に過ぎた気がする。気が付くと、期末テストを迎えて、慌てふためく。でも、その期末テストも一瞬で終わってしまった気がする。返ってきたテストは、悲惨だった。

中間テストでそこそこの点数を取れていたからと、油断していた訳でもないし、彼女との勉強も続けていたから、大丈夫だと思っていたのだけど、とにかく良くなかった。何よりも悲惨だったのが、得意だったはずの物理だった。テストが返ってきた時、見間違いだと思って何度もその点数を見直してしまった。確かに感触は良くはなかったけど、もう少しは出来ていると思っていた。

ただ、その物理のテストが悪かったのは僕だけで無く、クラスの大部分が悪かった。だから、平均点も低くなっていて、そう考えれば、そこまで落ち込む必要はなかったんだけど、でも、その点数と言うのは、単純にショックだった。後で知った話だけど、物理のテストが三年の一学期期末から急に難しくなるのは、毎年の事だそうだ。範囲の関係もあるけど、受験に向けて気合を入れさせるために難しくしているなんて、本当だか、嘘だか分からない噂があったりもした。

英語だけが前回と同じような結果で落ち着いてくれたのは救いだったけど、得意科目で点数が取れないのは、受験に向けて不安になる。そう思わせるためにやっているのだとすれば、見事に作戦に乗っけられている気がしたけど、夏休みは真面目に勉強しないと大変な事になると自覚する事になった。

一年生、二年生の時には、期末テストが終わったら、一気に夏休みモードで頭の中から勉強のべの字も無くなっていくけど、さすがに今年はそういう訳にはいかないと思っていた。期末テストの結果が出るまでは、夏休みも自分で頑張って勉強しようと考えていたけど、予備校の夏期講習とか考える必要があるのかもしれない。親にそういう心配をされていた事を思い出す。

彼女はどうするんだろうと思って聞いてみたら、もうすでに夏期講習の申し込みはとっくに済ませていた。声かけてくれればよかったのにと、思ったけど、もしかしたら、言われていたのかもしれないと思ったので、深くは言わなかった。一緒に勉強できないかもしれないと思うと、少し寂しい気持ちもしてしまった。やっぱり、彼女の事を気にする事が多くなっている気がした。