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夏
8.
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随分、高い観覧車だなと思う。ジェットコースターに乗った時に気が付いた事なんだけど、どうやら僕は高い所が苦手みたいだ。何となく高い所が苦手だったというのは前からあったんだけど、それをそれをはっきりと自覚してしまった。それを分かった上での観覧車と言うのが緊張する。
この遊園地の目玉のひとつらしいので、乗らないという選択肢はないんだと思う。彼女もきっと楽しみにしているだろうと思うと、頑張らないといけないと思う。頑張って乗る観覧車と言うのもどうなんだろうと思ったりするが、でも、頑張ると心に決める。彼女は楽しみにしている気がした。
でも、並んでいると口数が減ってきた。僕は話して、怖さを誤魔化したかったけど、もしかして、彼女も高い所が苦手なのかなと思う。でも、ジェットコースターではそんな感じでは無かった。嫌がっているというよりは、緊張しているようにも感じて、何でだろうと思う。でも、その理由が観覧車に乗って、分かった気がする。二人きりになっているんだ。
そういう瞬間がこれまでになかった事は無いけど、これだけ狭くて、閉じられた空間での二人きりと言うのは、初めてで、そう思うと緊張してしまう。こういうのが彼女は分かっていたのかもしれない。確かに緊張する。
僕は高さが気になっていたけど、二人きりの緊張感と言うのもしっかりと感じていた。でも、高さに対する怖さの方が徐々に増していき、少しパニックを起こしそうだった。
沈黙の時間が続いてしまう。列に並んでいる時には、周囲の雑音があって、それが話すのに丁度良かったんだなと思う。黙る瞬間があっても、そういう雑音で紛れていたんだと思う。でも、今は黙ってしまうと、沈黙のままだ。風の音とかは聞こえるけど、僕たちの沈黙をどうにかするほどではなかった。
まもなく、一番上と言うところになる。気が付いたら、じっと彼女と見つめ合っていた。そうすると、少し落ち着いた。何か言うべきなんだろうか、そう思う。
でも、次の瞬間。ガタっと揺れてそれどころではなくなる。軽くパニック。しかも、一番上だ。どうしようもない。風で揺れたようだ。血の気が引くのを感じる。
その時、彼女がそっと手を握ってくれた。大丈夫だよ。言葉では言ってなかったけど、そう言われている気がした。僕も手を握り返すと、彼女が優しく笑ってくれた。そこから、降りるまでも黙ったままだったけど、手はそのままだった。観覧車から降りた後、遊園地を出るまでずっと手は握ったままだった。そんな風にして遊園地デートは終わる。
この遊園地の目玉のひとつらしいので、乗らないという選択肢はないんだと思う。彼女もきっと楽しみにしているだろうと思うと、頑張らないといけないと思う。頑張って乗る観覧車と言うのもどうなんだろうと思ったりするが、でも、頑張ると心に決める。彼女は楽しみにしている気がした。
でも、並んでいると口数が減ってきた。僕は話して、怖さを誤魔化したかったけど、もしかして、彼女も高い所が苦手なのかなと思う。でも、ジェットコースターではそんな感じでは無かった。嫌がっているというよりは、緊張しているようにも感じて、何でだろうと思う。でも、その理由が観覧車に乗って、分かった気がする。二人きりになっているんだ。
そういう瞬間がこれまでになかった事は無いけど、これだけ狭くて、閉じられた空間での二人きりと言うのは、初めてで、そう思うと緊張してしまう。こういうのが彼女は分かっていたのかもしれない。確かに緊張する。
僕は高さが気になっていたけど、二人きりの緊張感と言うのもしっかりと感じていた。でも、高さに対する怖さの方が徐々に増していき、少しパニックを起こしそうだった。
沈黙の時間が続いてしまう。列に並んでいる時には、周囲の雑音があって、それが話すのに丁度良かったんだなと思う。黙る瞬間があっても、そういう雑音で紛れていたんだと思う。でも、今は黙ってしまうと、沈黙のままだ。風の音とかは聞こえるけど、僕たちの沈黙をどうにかするほどではなかった。
まもなく、一番上と言うところになる。気が付いたら、じっと彼女と見つめ合っていた。そうすると、少し落ち着いた。何か言うべきなんだろうか、そう思う。
でも、次の瞬間。ガタっと揺れてそれどころではなくなる。軽くパニック。しかも、一番上だ。どうしようもない。風で揺れたようだ。血の気が引くのを感じる。
その時、彼女がそっと手を握ってくれた。大丈夫だよ。言葉では言ってなかったけど、そう言われている気がした。僕も手を握り返すと、彼女が優しく笑ってくれた。そこから、降りるまでも黙ったままだったけど、手はそのままだった。観覧車から降りた後、遊園地を出るまでずっと手は握ったままだった。そんな風にして遊園地デートは終わる。
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