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カギを失くした夢
2.
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「失くしたカギはこれ?」
そう言って現れたのは髪の長い女の子だった。手に良くある家のカギみたいなカギを持っている。
見ただけでは瞬時に判断する事が出来ない。でも、女の子が言っているから、そうなのだろうと僕は思う。
「たぶん、そうだと思う」
あまり自信があった訳ではないけど、そう答えた。
「本当?」
「…」
そう言われると自信が無い。
「見ただけで必要なカギかどうか分からないんだ」
少し意地悪そうに言い、クスッと笑う。表情はいつも通り見えないけど、何だか意地悪だなと思う。
「開けてみれば分かるだろ」
負け惜しみの様に言うが、それは間違っていないと思う。
「確かにそうかもしれないけど…」
ちょっと困ったように言う。
「良いから貸してよ」
少し乱暴にカギを奪って、カギを差し込もうとする。でも、大きさが合わない。カギが大きいようだ。
「あれっ」
一回やれば分かるはずだけど、ちょっと意地になって何度もカギをはめようとした。でも、カギの大きさは変わる事は無かった。
「もしかして、こっちかな?」
そう言うと、別のカギを取り出して見せた。見た目はさっきと全く同じようなカギだ。大きさも変わらないような気もしたけど、小さいような気もする。
女の子のその態度にますます、苛立った僕はもう一度、乱暴にカギを奪った。でも、また大きさが合わない。今度はカギが小さいようで、カギ穴には一応入るけど、スカスカな感じだった。
「じゃあ、これ?それともこっち?」
今度は二つ同時に鍵を取り出した。こうなると意地だ。僕は黙ってカギを奪い。順番に試してみる。今度は両方とも大きさは合うようだが、ひとつは空回りして開く気配が無く、もうひとつはがっちりとはまって動かなかった。
これは間違いなく意地悪をされていると感じた僕は、じっと女の子をにらんだ。女の子は、怖いという風に肩をすくめた。
「カギを探して欲しいって頼んだのに、自分のカギを失くしてしまうのはダメなんじゃない」
そんな風に女の子は言う。さっきまでのちょっとふざけた感じとは違って真剣な言い方になっている。その変化にちょっと戸惑い、ちょっと冷静になった僕は、さっきの自分の態度の悪さもあって、何だか急に恥ずかしくなってしまった。
「いや、でもさ…」
ちょっと言い訳して誤魔化そうとするが言葉が続かなかった。
あたふたしている僕を見て、女の子はクスッと笑い、
「本当に失くしたの?カギは閉まっているの?そもそも、ドアを開ける必要があるの?」
と、続けて聞いてきた。
「まあ、何でも良いんだけど」
女の子はそれだけ言うと、サッと姿を消した。
そう言って現れたのは髪の長い女の子だった。手に良くある家のカギみたいなカギを持っている。
見ただけでは瞬時に判断する事が出来ない。でも、女の子が言っているから、そうなのだろうと僕は思う。
「たぶん、そうだと思う」
あまり自信があった訳ではないけど、そう答えた。
「本当?」
「…」
そう言われると自信が無い。
「見ただけで必要なカギかどうか分からないんだ」
少し意地悪そうに言い、クスッと笑う。表情はいつも通り見えないけど、何だか意地悪だなと思う。
「開けてみれば分かるだろ」
負け惜しみの様に言うが、それは間違っていないと思う。
「確かにそうかもしれないけど…」
ちょっと困ったように言う。
「良いから貸してよ」
少し乱暴にカギを奪って、カギを差し込もうとする。でも、大きさが合わない。カギが大きいようだ。
「あれっ」
一回やれば分かるはずだけど、ちょっと意地になって何度もカギをはめようとした。でも、カギの大きさは変わる事は無かった。
「もしかして、こっちかな?」
そう言うと、別のカギを取り出して見せた。見た目はさっきと全く同じようなカギだ。大きさも変わらないような気もしたけど、小さいような気もする。
女の子のその態度にますます、苛立った僕はもう一度、乱暴にカギを奪った。でも、また大きさが合わない。今度はカギが小さいようで、カギ穴には一応入るけど、スカスカな感じだった。
「じゃあ、これ?それともこっち?」
今度は二つ同時に鍵を取り出した。こうなると意地だ。僕は黙ってカギを奪い。順番に試してみる。今度は両方とも大きさは合うようだが、ひとつは空回りして開く気配が無く、もうひとつはがっちりとはまって動かなかった。
これは間違いなく意地悪をされていると感じた僕は、じっと女の子をにらんだ。女の子は、怖いという風に肩をすくめた。
「カギを探して欲しいって頼んだのに、自分のカギを失くしてしまうのはダメなんじゃない」
そんな風に女の子は言う。さっきまでのちょっとふざけた感じとは違って真剣な言い方になっている。その変化にちょっと戸惑い、ちょっと冷静になった僕は、さっきの自分の態度の悪さもあって、何だか急に恥ずかしくなってしまった。
「いや、でもさ…」
ちょっと言い訳して誤魔化そうとするが言葉が続かなかった。
あたふたしている僕を見て、女の子はクスッと笑い、
「本当に失くしたの?カギは閉まっているの?そもそも、ドアを開ける必要があるの?」
と、続けて聞いてきた。
「まあ、何でも良いんだけど」
女の子はそれだけ言うと、サッと姿を消した。
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