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カギを失くした夢
8.
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少しどきりとした発言だった。何だか、ちょっと恥ずかしくなって、顔が赤くなっていくのを感じた。何に照れているのだろうか。
「人の恋愛話の方が無責任に言えて、面白い気もするけど…」
そう反論してみる。
「あー、そうか。それはあるかもしれない」
うんうんと納得してもらえた。
「そう言えば、加山さんはどうなってるの?」
と、別の人の恋愛話にまた持っていく。
「どうって?」
「三ヶ嶋君の事」
「んー。やっぱり、気にはなっているみたい。でも、美加は岬ほど、分かりやすく積極的ではないからね。どうなんだろ。三ヶ嶋君の方は?」
「それは何とも。悪い感触ではないと思うけど、はっきりした事は聞いたことない。聞いた方が良い?」
「んー。美加の気持ちもどこまでか、あんまり、はっきりしないし、無理に聞いて、期待されても困る気もするし…」
「なるほど」
「三ヶ嶋君が自分から美加の事を誘いたいとかあれば、良い展開になるかもしれないけど、周りが煽るのはどうなんだろう…」
「そうか。難しいね」
納得したように頷いてみた。そう言えばと思い出す。
「どっかまた行こうって話を沢島さんと充でしたって聞いたけど」
「そうだね。どっか遊びに行きたいね」
「充がやたらと張り切ってる。たぶん、沢島さんの事があるからかな」
「そうなんだね。うん、ちょっと考えてみる。美加も喜ぶと思うよ」
すんなりと話が進みそうでホッとした。それだけでなく、何となく嬉しいと感じるのは自分も何だかんだで楽しみにしていて、期待しているからだろうと思う。でも、何に期待しているのか。多分、みんなでワイワイと楽しむことだと思う。それ以上の何かを期待しているのだろうか。
「結局、他の人の話ばかりだね」
また、少し笑ったように赤岡さんが言った。僕が無理に話題をそらした事をちょっと非難しているようにも聞こえたけど、それは聞こえなかったふりをした。電車の音がうるさいというように、
「えっ?何?」
とか言ってみる。
「何でも無い。夏だし、やっぱり、アウトドアかな…」
多分、僕が誤魔化した事に赤岡さんは気が付いていたのだと思う。だから、それ以上は言わず、話を変えてくれた。僕はホッとしながらも、赤岡さんが本当は何を聞きたかったのかなと思った。
そして、どうして僕は話をそらしたいと思ったのだろう。何か聞かれて困るような事があったとも思えないなと思ったけど、何となく聞かれても困る事があるなと、心の中では気が付いていたのかもしれない。
「人の恋愛話の方が無責任に言えて、面白い気もするけど…」
そう反論してみる。
「あー、そうか。それはあるかもしれない」
うんうんと納得してもらえた。
「そう言えば、加山さんはどうなってるの?」
と、別の人の恋愛話にまた持っていく。
「どうって?」
「三ヶ嶋君の事」
「んー。やっぱり、気にはなっているみたい。でも、美加は岬ほど、分かりやすく積極的ではないからね。どうなんだろ。三ヶ嶋君の方は?」
「それは何とも。悪い感触ではないと思うけど、はっきりした事は聞いたことない。聞いた方が良い?」
「んー。美加の気持ちもどこまでか、あんまり、はっきりしないし、無理に聞いて、期待されても困る気もするし…」
「なるほど」
「三ヶ嶋君が自分から美加の事を誘いたいとかあれば、良い展開になるかもしれないけど、周りが煽るのはどうなんだろう…」
「そうか。難しいね」
納得したように頷いてみた。そう言えばと思い出す。
「どっかまた行こうって話を沢島さんと充でしたって聞いたけど」
「そうだね。どっか遊びに行きたいね」
「充がやたらと張り切ってる。たぶん、沢島さんの事があるからかな」
「そうなんだね。うん、ちょっと考えてみる。美加も喜ぶと思うよ」
すんなりと話が進みそうでホッとした。それだけでなく、何となく嬉しいと感じるのは自分も何だかんだで楽しみにしていて、期待しているからだろうと思う。でも、何に期待しているのか。多分、みんなでワイワイと楽しむことだと思う。それ以上の何かを期待しているのだろうか。
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