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福引する夢
7.
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境内までのちょっとした階段を上って、いきなりガッカリしてしまった。大きなマンションが立っていて、見事に周囲が見渡せなくなっていた。このマンションに住んでいる人たちだったら、花火が見えるのかもしれないけど、ここの神社の境内からは全く見えなかった。期待していた訳ではないと自分で思う事にして、誤魔化そうとしたけど、本心としてはどこかで期待していて、その分、ガッカリしてしまった。
急に白けた気分になる。花火は音だけが聞こえてきていた。辛うじてマンションの間のわずかな隙間が少し明るくなったり暗くなったりしているのが見えて、微かに雰囲気を感じるというぐらいだった。何か無理矢理にここで花火の雰囲気を味わった気分になるくらいなら、素直に花火が見えるところまで近づいていけば良いのではと思ったりした。
ちょっと冷静になり、落ち着いてくるとせっかくだからそうしようかなと思った。頭の中で花火が行われているメイン会場の場所をイメージする。今まで行った事が無いので、正確な位置は分からなかったけど、何となくなら分かる。大きな川があり、川沿いに進んで行けば迷う事もないだろう。そう思い、僕は神社の階段を降りようとした。
その時、丁度、神社の目の前を通っていく浴衣姿の女の子が目に入った。一瞬、その場で止まってしまった。そして、あれっと思う。これはまた夢なのかと。すぐに女の子は僕の目の前から姿を消してしまった。慌てて階段を下りて左右を見渡したけど、誰もいなかった。見間違いだろうか、勘違いだろうか。でも、とりあえず、夢ではなく現実だったようだ。あの髪の長い女の子だった気がする。ちょっとドキドキしてしまった。
花火の事は瞬間的に忘れて、その女の子を探したいと思ってしまった。でも、全く当てが無かった。とりあえず、向かった方向に歩いてみる事にした。でも、全くその姿は見えなかった。きょろきょろしている姿は怪しい人に見えるか、それとも迷子の人を探しているように見えるか、どっちなんだろう。そんな事を思いながら、探していたけど、全く手がかりは見つからなかった。
結局、見間違いだと思った。もしかしたら、夢の中の女の子がまたいたずらしたのかもしれないと思うと、それも何だか説得力がある答えのような気もした。花火に対する興味は一気に失せて、もう家に帰ろうと思った。夢の中の女の子が言っていたちょっとした幸運と言うのは結局何だったんだろうと少し思った。
急に白けた気分になる。花火は音だけが聞こえてきていた。辛うじてマンションの間のわずかな隙間が少し明るくなったり暗くなったりしているのが見えて、微かに雰囲気を感じるというぐらいだった。何か無理矢理にここで花火の雰囲気を味わった気分になるくらいなら、素直に花火が見えるところまで近づいていけば良いのではと思ったりした。
ちょっと冷静になり、落ち着いてくるとせっかくだからそうしようかなと思った。頭の中で花火が行われているメイン会場の場所をイメージする。今まで行った事が無いので、正確な位置は分からなかったけど、何となくなら分かる。大きな川があり、川沿いに進んで行けば迷う事もないだろう。そう思い、僕は神社の階段を降りようとした。
その時、丁度、神社の目の前を通っていく浴衣姿の女の子が目に入った。一瞬、その場で止まってしまった。そして、あれっと思う。これはまた夢なのかと。すぐに女の子は僕の目の前から姿を消してしまった。慌てて階段を下りて左右を見渡したけど、誰もいなかった。見間違いだろうか、勘違いだろうか。でも、とりあえず、夢ではなく現実だったようだ。あの髪の長い女の子だった気がする。ちょっとドキドキしてしまった。
花火の事は瞬間的に忘れて、その女の子を探したいと思ってしまった。でも、全く当てが無かった。とりあえず、向かった方向に歩いてみる事にした。でも、全くその姿は見えなかった。きょろきょろしている姿は怪しい人に見えるか、それとも迷子の人を探しているように見えるか、どっちなんだろう。そんな事を思いながら、探していたけど、全く手がかりは見つからなかった。
結局、見間違いだと思った。もしかしたら、夢の中の女の子がまたいたずらしたのかもしれないと思うと、それも何だか説得力がある答えのような気もした。花火に対する興味は一気に失せて、もう家に帰ろうと思った。夢の中の女の子が言っていたちょっとした幸運と言うのは結局何だったんだろうと少し思った。
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