夢ノコリ

hachijam

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福引する夢

6.

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時計を見ると、夕方でちょっとウトウトしていた時に、見た夢だったようだ。何だかやけにリアルでいつもとは違いすぐに夢だと気が付けなかった。わーっと大声を出して叫び出したくなったけど、馬鹿らしい気がして、そのまま、ぐったりとしていた。

改めて日付を確認してみる。夢の中と同じで、今日が花火大会と言うのは事実だった。もしかしたら、まだ夢の中なんだろうか。ぼーっとした頭の中でははっきりとしない。はっきりしないという事は現実なんだろうと思ったりした。何かこのままじっとしているのも悔しい気もしたし、夢の中と同じ様に花火を見に行くのも、何だか悔しい気がして何も出来ないでいた。

時間はゆっくりと過ぎていく、花火を見に行くのなら、そろそろ出かけないと間に合わない。でも、出かけるという事は、夢の中で期待していた事と同じことを期待しているという事なんだろうか。買わない宝くじは当たらないというけど、大概の宝くじは買っても当たらない。それと同じような気もした。時間だけが過ぎていき、気が付くと花火が始まる時間になっていた。

耳を澄ませてみると、遠くに花火の音が聞こえる気がしてきた。そうなるといろいろと気になってくる。何も期待しない、ただ花火を見たいだけ、あの場所がどうなっているのかを確認するだけ。誰に対しての言い訳か分からないけど、そういう言い訳をいくつか用意して、僕は出かける事にした。面倒くさそうなふりをわざとしている気もして、ちょっと苦笑いしてしまった。

夢と同じ様に神社を目指した。ただ夢とは違い、途中で迷いそうになった。実際に迷う事は無かったけど、周囲の建物がいくつか変わっていて、本当にその道が正解か自信が持てなかったのだ。前だったら、近道と言ってそこに住んでる人しか知らないような細い道を通っていたけど、そこがそのまま通れるのか自信が持てなくて、結局、少し遠回りして大きめの道を進むことにした。

花火の音は、はっきりと感じられるようになっていた。でも、それ以外は至って変化はなく、非日常の花火の音と、ごく当たり前の日常の風景が存在している何とも不思議な感じだった。特別ではないという事が特別なのかもしれないと思ったりした。

そう言えばと思い出す。何年か前、僕が花火に行かなくなったころから、花火大会を盛り上げるためにいろいろとイベントをやるようになったという話があった気がする。花火に興味がある人はそういうところに行くようになっているのかもしれない。そんな事を思っていた。そうこうしている内に神社にたどり着いた。
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