夢ノコリ

hachijam

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福引する夢

5.

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記憶と言うのは面白い物で、全然忘れていた事がその場所にたどり着く事で一気に思い出したりする。いろいろな記憶がごちゃ混ぜになっているので、ちょっと曖昧だったり、混同しているのもあったりするけど、懐かしい思い出がその場所にはあったなと思う。まあ、簡単に言ってしまえば、青春時代の思い出と言うところだろうか。

大学生の今も青春時代なのかどうか分からないけど、今よりもう少しは純真だったのかなと思ったりした。何だか甘酸っぱい記憶なんて言うと、自分の過去を美化しすぎだろうか。でも、そんな風に感じてしまったというのは事実だった。

そこは小さな神社の境内で、そこから見える花火の記憶がよみがえってきた。単純に花火を見るのであれば、打ち上げ場所の近くに行く方が良い。それが分かっている人は大勢いると思う。ただ、地元の花火の場合、何気ないところで普通に見える花火と言うのがとても贅沢なんだなと思ったりもする。

そういうのを以前よりも実感するようになっていた。前から分かっていた気もするけど、だんだんとはっきりと自覚できるようになってきたのかもしれない。そんな事をそこにたどり着いた時に思っていた。何か予感していたというか、期待していたというか、そういうのがあった。

きっと、それが幸運な事に違いないと勝手に思っていた。気持ちが高揚していて最後の方は小走りになっていた僕はそこで息を整える。少し冷静になって勝手に盛り上がっていた自分が恥ずかしく思ってしまった。そこは昔と全然変わっていなかった。そこから見える風景も全く変わっていなく、花火も見えるはずだった。ここで待っていれば、その人は来るはずだ。そんな風に思う。そして、その人はやってきた。

ただ、僕が考えていたのとは違う人だった。

「あれ、もしかして、別の誰かを期待していた?」

長い髪の毛の女の子が意地悪そうに言った。そういう事か、その時、ようやく理解した。

「だから、言ったでしょう。ちょっとだけ幸運な事をプレゼントって」

クスクスと可笑しそうに言う。

「何か、意地悪だね」

僕はふてくされたように言った。

「うーん」

女の子は首をかしげるように考えながら、

「でも、チャンスはあるかもよ?」

意味深に意地悪そうに言う。何か煽られている気がする。そもそも、何のチャンスなんだろうと思って、少し不機嫌になった。

と、そこで目を覚ました。やっぱり、夢だった。長い髪の毛の女の子が現れた瞬間、理解したけど、改めてそうだと実感すると何だかぐったりとしてしまった。
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