夢ノコリ

hachijam

文字の大きさ
186 / 275
大きなカラスの夢

2.

しおりを挟む
今日が一週間連続でのバイトの最後の日になる。終わり良ければ総て良しとして、良いのか分からないけど、最終日に万全の体調で臨めるのは悪くはないだろうと思った。バイトの事は気になっていて、昨日、自分がいなかった事でどうなったんだろうと思った。今日もまた三戸さんの相手をするのかと考えると、少し憂鬱な気持ちにもなったが、体調不良が解消された事、昨日一日休んで間が開いた事、そして、今日が最後と思えば頑張れるなとは思った。

今日のバイトが終わった後の事は、その時に考えれば良いという気持ちになっていたのも、体調が良くなっている証拠かもしれない。何か、いろいろとネガティブに考えるようになっていたのは、元々の性格もあるけど、何だかんだで疲労を感じていたせいなのかもしれないと思ったりした。

良しと気合を入れてバイトに向かう。でも、その気合はあまり必要が無かったようだ。朝、事務に向かうと社長がいて、体調大丈夫とやたら心配された。どうやら、バイトで無理をさせてしまったと思ったようだ。バイトでの疲れも体調不良の理由の半分だと思うけど、もう半分はクーラーつけっぱなしだったからだよなと思うと、ただただ、恐縮してしまう。今日は無理しないでねと言われ、倉庫の仕事をするように言われる。

「あの、三戸さんとの配送の方は?」

と、恐る恐る聞いてみたら、

「うん、大丈夫。僕が手伝っているから」

と言っていた。本当に手伝っているんだと驚くと同時に、社長ならやりそうだなとも思った。三戸さんが逆に苦労しているのではと思ったけど、社長が決めた事なら、何も言わない方が良いだろうと思った。

倉庫の仕事は少し滞っていた。僕が休んだ分、人手が足りなくて、後回しにされた昨日の仕事が残っていたのだ。自分がいないと影響が出るんだというのを知って、申し訳なかっと言う気持ちと、自分の存在意義を感じて、僕がいないとダメなんだという少し誇らしげな気持ちも感じた。

とりあえず、張り切って、その作業を片づける。後回しにしても良い仕事だったので、急ぎでも無かったのだが、早めに片づけておくのが、昨日休んだ自分の役割だろうとか思ったりした。張り切っていたからか、元々、大した仕事では無かったのか、すぐにその作業は終わってしまった。一気に片づけてしまうと、ちょっと張り切りすぎたかなと、恥ずかしくなってしまうところもあった。いつも通り、作業した方が良いと思う。少しホッとしながらそう思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

航空自衛隊奮闘記

北条戦壱
SF
百年後の世界でロシアや中国が自衛隊に対して戦争を挑み,,, 第三次世界大戦勃発100年後の世界はどうなっているのだろうか ※本小説は仮想の話となっています

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

処理中です...