夢ノコリ

大きなカラスの夢

３．

一気に仕事を片づけたのは良かったのだけど、次の仕事がやってこなかった。途端に暇になる。今日は無理しないでねと、社長に言われた事を思い出すけど、ただのんびり過ごすのは違うだろうと思った。やる気がいつもより余っているから、そう感じたのかもしれない。

そう言えばと思い出す。三戸さんの配送の手伝いをしていた時に、考えていたことを実践しようかなと思った。大がかりになりそうなことは、下山さんに相談してからでないと出来ないだろうけど、まずは自分で実践してみて、効率が良くなるか試してみるのが良いだろうと思った。そのために何が必要なんだろうとか考えてみた。

考えてみると、それが簡単に出来ると思ったり、そんなに効果があるのかとか、思い始めて、だんだんと訳が分からなくなる。でも、他にやる事もないので、とりあえず、やってみようと思う。気になっていたのは、ちょっとした配置でそれを変えてみた。配置を変えるのは大変では無かったけど、これで効率よくなるんだろうか、一応、頭の中でのシミュレーションでは上手くいきそうだ。これで手間がひとつ減っている事になる。ただ、実際、やったらどうなるだろうか。

これまでの手順がひとつ減るのは間違いない。その分、作業が楽になる。単純に言えば、その通りだ。でも、これまではその手順がある事が前提で作業をしていた。だから、その手順を意識しないでやってしまうのではと思った。そうなったら、どうなるんだろうか。慣れれば大丈夫だと思うけど、慣れるまでは意識する事が必要だ。同時に仮にミスがあった場合、そのミスに気が付かないといけないと思う。それが大変かもしれないと思った。

今までのやり方を変えるというのは、大変なんだなと実感する。それだったら、多少効率が悪くても、同じやり方を続けて、ミスが無い方が良いのかとか考えてしまう。いや、それではいつまでも、同じだ。ここはやっぱり変えてみよう。何だか偉そうにそう考えた。

やり方を変えたことに気が付く人はいるのかなと思う。下山さんだったら気が付くだろうか。下山さんがどう作業しているのかを考える。やり方はいつも一緒だろうか。そう考えて、自分がそういうのをあまり気にしていなかったなと思う。大きくは変わっていないけど、少しずつ変えているような気もする。気のせいだろうか。そういうのも確かめてみようかなと思った。

そう言えば、下山さんはいつから戻ってくるんだろう。そんな事を思ったら、三戸さんの事も考えてしまった。