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暑い夢
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夏だから暑いのは当たり前なんだけど、それにしても暑いと感じていた。異常気象と言う表現はあまり好きではないけど、異常気象だと叫んでみたくなる。でも、叫んだって変わらないだろうし、叫ぶ気力もなかった。外から、太陽の光に照らされて暑いのと同時に、体の節々も痛くて熱い。やっぱり、叫びたい。何も変わらないだろうし、むしろ、より暑く感じるのではと思いながら、そう思った。思ったと同時に
「あー、暑い」
と叫んでいた。そして、予想通り、更に暑く感じた。
目の前に髪の長い女の子が現れた。日差しを避けるためだろうか。麦わら帽子をかぶっている。しかも、右手にアイス、左手にうちわと万全な態勢だ。見た感じ、ちっとも暑そうでは無い。汗をかいている様子も無く、涼しげな表情だった。うちわをパタパタとさせている。
「暑いね」
アイスを食べながら女の子が言う。僕は羨ましそうにそのアイスを見る。
「冷たくて美味しいよ」
僕の視線に気が付いてそう言う。
「暑いんですけど」
女の子に言っても仕方ないけどそう言う。
「うん。知ってる」
「うちわ貸して」
本当はアイスの方が欲しかったけど、そう言う。
「えー、やだよ。暑いもん」
このやろうと思ったけど、言うと更に暑くなりそうなので自重した。
「意地悪だと思った?」
多分、口には出していないけど、表情で物が立っていたんだと思う。だから、頷いてしまった。
「良い事があったから罰が当たったんじゃない」
女の子は言う。良い事に心当りがある気がしたけど、だからと言って罰が当たる事なのかと思う。じっと女の子を見る。
「そんな怖い顔をしないでよ」
女の子が言う。
「分かった、分かった」
そう言いながら、うちわを差し出した。ありがたく、それを受け取り、仰ぐ。心地よい風を感じる。
「夏なんて過ぎるのあっという間だよね」
女の子がそう言った。
暑いと思いながら目を覚ます。手にはうちわがあり、それで思いっきり仰ぐ。別に夢の中のうちわではない。寝る直前まで使っていたうちわだ。それで、少し暑さが和らぐ。
暑い夢
アイスを食べる女の子
うちわを借りる
なんて書く。夢と同じ様に暑い。だから、そのままの夢を見たのだろう。体の節々が痛いのは海に行ったせいだ。筋肉痛で痛かったり、日焼けで痛かったりと散々だった。楽しんだ罰だとすれば、現実のが酷いとか思ったりする。でも、楽しい思い出になった事と考えると、それを罰と呼んではダメだろうと思った。しかも、更に続きがあるかもしれないと思うと、知らず知らずのうちにニンマリとしてしまう。
「あー、暑い」
と叫んでいた。そして、予想通り、更に暑く感じた。
目の前に髪の長い女の子が現れた。日差しを避けるためだろうか。麦わら帽子をかぶっている。しかも、右手にアイス、左手にうちわと万全な態勢だ。見た感じ、ちっとも暑そうでは無い。汗をかいている様子も無く、涼しげな表情だった。うちわをパタパタとさせている。
「暑いね」
アイスを食べながら女の子が言う。僕は羨ましそうにそのアイスを見る。
「冷たくて美味しいよ」
僕の視線に気が付いてそう言う。
「暑いんですけど」
女の子に言っても仕方ないけどそう言う。
「うん。知ってる」
「うちわ貸して」
本当はアイスの方が欲しかったけど、そう言う。
「えー、やだよ。暑いもん」
このやろうと思ったけど、言うと更に暑くなりそうなので自重した。
「意地悪だと思った?」
多分、口には出していないけど、表情で物が立っていたんだと思う。だから、頷いてしまった。
「良い事があったから罰が当たったんじゃない」
女の子は言う。良い事に心当りがある気がしたけど、だからと言って罰が当たる事なのかと思う。じっと女の子を見る。
「そんな怖い顔をしないでよ」
女の子が言う。
「分かった、分かった」
そう言いながら、うちわを差し出した。ありがたく、それを受け取り、仰ぐ。心地よい風を感じる。
「夏なんて過ぎるのあっという間だよね」
女の子がそう言った。
暑いと思いながら目を覚ます。手にはうちわがあり、それで思いっきり仰ぐ。別に夢の中のうちわではない。寝る直前まで使っていたうちわだ。それで、少し暑さが和らぐ。
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